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大義のある逆境に挑む 35歳市長は夕張を再生できるか 北海道夕張市の鈴木直道市長に聞く

2017/3/7

夕張市の鈴木直道市長

北海道の夕張市が自治体の倒産に等しい「財政再建団体」(現・財政再生団体)になって10年。鈴木直道市長は新たな再生計画に挑む。約20年かけて353億円の負債を返す計画だが、同市の市税収入は約8億円。「ミッション・インポッシブル(不可能な任務)」ともいわれる厳しい財政状況が続くなか、ニトリやツムラなど企業も巻き込み、新たに138億円を調達して自治体再生のための新規事業に打って出る。手取り給与20万円に満たない35歳の市長は、全国で唯一の破綻自治体を本当に再生できるのか。

■折り返し地点・計画変更の理由

3月1日、夕張市は、2029年度までの13年間で、新規事業138億円を含む、新たな計画を発表した。とはいえ、夕張市は「負債の返済が最優先」、国の管理下にある。他の自治体と異なり、市が決めただけでは新しい行政サービスを始められない。7日、高市早苗総務相の合意をえたことでやっと計画が動き始める。

「この計画は、かなりの衝撃を持って受け止められるはず。大義のある逆境に挑戦する」――。鈴木直道市長はこう語った。夕張市は全国で唯一財政破綻した自治体。夕張再生は、少子化に苦しむ全国の地方自治体の再生にもつながる意義深い試みだと強調する。

追加された予算には、若年層や子育て世代への支援、新たなエネルギー源となる「炭層メタンガス(CBM)」の採掘など、新しい事業にあてられる予定だ。

2007年3月に破綻自治体となってから10年。20年におよぶ長い「借金返済のために生きる時間」はやっと折り返し地点を迎えた。残る返済額は、2017年3月末時点で237億円。26年度まで毎年、約26億円を返し続ける計画は変わらない。しかし、今回の大幅な計画の変更で、止まったままの『地域再生』の時計の針を動かすときがきた、と鈴木市長は意気込む。夕張市にとっては、再出発への大きな一歩となる。

■ゴールに向けた計画、一歩ずつ

夕張市役所

極限のリストラ、自治体で最高レベルの課税。破綻前に約13000人だった人口は今や3割減、9000人を割った。行政サービスも全国最低レベル、日々生活する上で夕張市民が困難な状況にあることは、誰でも容易に想像がつく。「しかし、ただ大変だ、といっているだけでは意味がない」と鈴木市長はいう。

何が大変なのか。どうすれば解決するのか。解決にかかる費用はいくらなのか。そしてその金の調達はどうやるのか。これらが伝わらなければ、国から計画変更は認められない。夕張市と鈴木氏は8年間、身動きの取れないルールブック、「財政再生計画」を変えるべく、この階段を1つずつ上ってきた。この過程のなかで「リーダーでなければ動かせないこともある」と、約6年前に鈴木氏は「首長への立候補」という決断をした。

「何が大変なのか、何が必要なのか」を伝えなければと、東京都庁から夕張市へ派遣されていた派遣職員時代には全世帯を対象にした住民基本アンケートを実施し、現状を当時の渡辺周総務副大臣に直訴した。市長になってからは、有識者を中心にした第三者委員会による夕張の現状を伝える報告書を作成。「夕張のことは国にも道にも自分ごとだと思ってもらわなければ」と、総務大臣と北海道知事、夕張市長との三者協議が定期的に実施されるようになったのも、鈴木氏が市長が就任してからだ。住民の声としてあがった「夕張を残すための、未来への投資」は、「若年層・子育て世代への支援」など、今回の138億円の新規事業の使い道として多くが反映される。

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