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乳酸菌は生きて腸に届く?ビフィズス菌との違いは? ここまで分かった 発酵食品(2)

日経Gooday

2017/3/17

知っているようで知らない「乳酸菌」に関する素朴な疑問について、発酵博士に聞いてみました(c)Brent Hofacker -123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 日本人にとって発酵食品は身近な存在だが、知っているようで知らないことが実にたくさんある。そこで今回は、「植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違いは?」「乳酸菌は生きていないと無意味なのか?」「乳酸菌とビフィズス菌の違いは?」など、「乳酸菌」に関する素朴な疑問にお答えする(第1回は「ヨーグルトと納豆 微生物が生きてる発酵食品の魅力」)。

■「動物性乳酸菌」はおぼっちゃま、「植物性乳酸菌」は野生児

ぬか漬けなどに含まれる植物乳酸菌は、胃酸にも負けずに腸に到達する(c)jedimaster-123rf

 一般的な野菜の漬物は、野菜の塩漬けに乳酸菌や酵母などが繁殖してできたものだ。野菜などの植物を発酵させる「植物性乳酸菌」は、牛乳に繁殖してヨーグルトをつくる「動物性乳酸菌」よりも強く、胃酸や胆汁酸にも負けずに腸に到達する可能性が高いという。それはなぜなのだろう?

 「植物性乳酸菌は厳しい環境でも育つからです。動物性乳酸菌は牛乳の乳糖をエサにして、30~35度に保温され、厳密に衛生管理された環境でつくられます。これは、低温だと育たず、他の菌と共生することができないから。一方、植物性乳酸菌は豊富とはいえない野菜のブドウ糖をエサに育ちます。漬物だるの中は塩分や酸が多く、しかも、寒い場所に置かれます。これは、菌にとっては過酷な環境。さらに、ヨーグルトほど衛生面は厳密に管理されないため、入り込んできたさまざまな細菌や酵母と生存競争をしながら生き延びます。動物性乳酸菌が大事に育てられたおぼっちゃまだとすると、植物性乳酸菌は過酷な環境で生き延びた野生児といえます」(東京農業大学名誉教授の小泉幸道さん)

 植物性乳酸菌は生きて腸に到達する可能性が高いため、強い整腸作用が期待できるといわれている。植物性乳酸菌は味噌や漬物などに含まれるが、現在、市販されている漬物には、生きた植物性乳酸菌が含まれているものは少ないという。

 市販の漬物は、調味料で味を付けた“発酵した漬物風”のものが多い。また、発酵させたものであっても、乳酸菌が生きたままだと味が変化してしまうため、乳酸菌を死滅させて発酵をとめてあるものも多い。もちろん、これらには生きた植物性乳酸菌は含まれない。

 「漬物から生きた乳酸菌をとりたい場合、手作りのぬか漬けやキムチがおすすめです。手づくりが難しければ、ぬか漬けは青果店の店先などで売られているものを買うといいでしょう。キムチは時間がたつと酸っぱく変化するタイプのものを選んで」(小泉さん)

■菌数のピークと出荷時期が一致しないものも

 ただし、酸っぱく変化してしまったものを積極的に選べということではない。野菜が発酵した漬物は、時間がたつと酸っぱくなる。酸っぱいものほど乳酸菌が多いように思うが、「1年以上漬けたものには乳酸菌はほとんどいません」(小泉さん)。発酵が進む、つまり、乳酸菌が排出した乳酸が漬物内に多くなると、乳酸菌は自らが作りだした酸により死滅してしまうのだという。

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