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差額ベッド代も保障 実費をカバーする医療保険

2017/3/12

入院日数が短くなる一方、入院1日当たりの医療費は増える傾向にある

 病気やケガで入院した場合にかかる医療費の3割自己負担分をそのまま保険金でカバーする「実費保障」タイプの医療保険があると聞きました。どんな仕組みなのでしょうか。

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 民間の医療保険は入院1日当たり5000円、1万円といった保険金が出る「入院日額」タイプが多い。生命保険文化センターのアンケート調査によると、医療保険の入院日額は平均9900円で、実費がこれを超えると保険金だけではカバーしきれない。

 「実費保障」タイプはほぼ不足のない保険金が出るのが特徴。ソニー損害保険が1月にインターネットで売り出した医療保険「ZiPPi(ジッピ)」は、医療費の3割自己負担分をカバーする基本保障に加え、差額ベッド代が1日当たり6000円か1万2000円まで実費で出るオプション契約を付けられる。

 全額自己負担の差額ベッド代は病院によって異なるが、個室でなければ6000円を下回ることが多い。ソニー損保はジッピについて「保障が足りるかどうかの不安をなくせるよう商品設計した」(下田誠司・執行役員)と説明。さらに「入院日数が短くなる一方、入院1日当たり医療費が増える近年の医療には、入院日額タイプより実費保障タイプが向いている面がある」(同)と指摘する。

 実費保障の医療保険はライフネット生命保険、ネオファースト生命保険なども手がけている。いずれも保険期間が10年、5年などの定期保険なのは、公的医療保険の診療報酬や薬価の改定を将来にわたって見通すことができず、終身保険の設計が難しいからだ。

 定期保険は若いうちの保険料が抑えられるのがメリットの一つ。期間10年のライフネット生命「じぶんへの保険プラス」は入院前後の通院治療についても3割自己負担分の半額を保障。さらに初めてがんと診断されて治療を受けた場合に100万円の一時金が出るが、30歳男性なら保険料は月1499円にとどまる。

 一般に住宅ローンを抱えて教育費もかさむ40~50歳代までは、万が一の保障を厚くしたい一方、保険料はできるだけ抑えたい。保険料の安い実費保障の定期保険は「必要な時期だけ保障を上乗せするニーズに応えられる」(ソニー損保)との見方もある。

 ただし、公的医療保険には過大な医療費で生活が困窮しないよう所得水準に応じて1カ月の自己負担分に上限を設ける「高額療養費制度」がある。年収が約370万~770万円の人なら、仮に1カ月に100万円の医療費がかかっても自己負担は8万7000円余り。さらに会社の健康保険組合による「付加給付」も頭に入れて、民間医療保険の必要性を検討したい。

[日本経済新聞朝刊2017年3月4日付]

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