お取り寄せに乗り切れぬ、不器用なお店も一興立川談笑

「おいおい、持ち帰るんだったら、『お取り寄せ』じゃないだろう!」という声が9750メートルの上空まで聞こえる気がしました。ふむ。この売店でたくさんしたお買い物は大きな発泡スチロールの箱にドライアイスとともに入れてくれます。すぐ隣に大手運輸会社の配送センターがあるので、そこから自宅に発送する。そういうお客さんが多いんだそうです。言うなれば、半お取り寄せ。ちょっと不便。最近はやりの「お取り寄せ」紹介本なんかに登場しないものをご案内しようという構えだということです。ご理解いただけたでしょうか。そろそろ奄美大島を通過しました。ノートPCのバッテリーがやばいなあ。

年末になると食堂スペースがそっくりお正月用食品売り場になって、それはそれは大混雑だそうです。行ってみたい。

お取り寄せ、通販とは便利なものですが、その便利さに乗り切れていない人々に注目したくなるのです。性分でしょうか。小手先でチャッチャとお金もうけできてしまうクレバーな起業家の皆さんより、不器用ながら実直なおじさんやおばさんの応援をしたいですねえ。

そろそろ着陸態勢。座席のテーブルが使えなくなりました。山形県の東根だとか天童あたりの「さくらんぼ」の通販も良かったなあ。ちょうど時期でもあり、お中元で使わせてもらいました。最高級の「佐藤錦」が市価の半値といえるくらいの安さ。さくらんぼ農家のおじいちゃんにお願いするのだけど、FAXでしか受け付けてくれないんです。

「果物は、冷やさずに常温で食べるのが一番おいしいんだよ」

と教わりました。冷やしちゃいます。おじいちゃん、ごめん。

私が本気で取り寄せているのは、海苔(のり)です。一度週刊誌でも紹介しました。談志が住んでいた上野の根津にある「今井園」さんの海苔は近くに立ち寄ったときには店頭でも買いますし、発送もしてもらいます。香りや風味はもちろんですが、何より「口どけ」がいい。ラーメンなんかに入れようものなら、しっかりした厚みがあるのにすぐ溶けてなくなっちゃう。

不器用なお店です。確かメールで注文は受け付けてもらえるけど、その後に振込用紙でやり取りをした記憶があります。今はどうなってるんだろう? Webで調べてみたら、現在はホームページは改装中でメールも不可。電話でのご注文だけお受けしていますとのことでした。やっぱりー!

そしてあるときの話。お店にうかがうと、いつもの棚に普段よりずっと高価な海苔が目につきました。そこのおばあちゃんに

「じゃあ、今日はあっちの方をもらっていきます」

って言ったら、

「いつものこっちで十分おいしいよ」

と止められました。

指先ひとつで手軽に何でも買える「お取り寄せ」。見ようによっては味気ないものですよ。そこになんとかして心を通わせたいじゃないか、とは、きっと生産者も思い悩むところじゃないのかなあ。

よーし、那覇とうちゃく!!!

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次回は「肉。肉。肉。」。笑二、頼むよっ。

(次回、3月12日は立川笑二さんの予定です)

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>吉笑(二ツ目)、笑二(同)、笑坊(前座)の弟子らとともに開く一門会は3月29日、4月28日の予定。独演会は3月18日、4月5日の予定。
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