検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

記憶をたどる、ひなの旅 酒田雛街道

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

3月が近づくと各地で桃の節句の催事が始まります。中でも、歴史あるおひなさまが数多く残るのが山形県酒田市。華やかな繁栄の記憶をとどめる建物の数々に、時を経てきた典雅なおひなさまはこの上なく似合います。「酒田雛(ひな)街道」(3月1日~4月3日)の期間中は県内外や関東からもたくさんの人が訪れます。

港町・酒田は、寛文12年(1672年)に開かれた「西回り航路」によって江戸、大阪、さらに北海道との交易を重ね、毎年春から秋にかけて3000隻もの北前船が活発に出入りしたといいます。北前船は庄内の米や紅花を積んで大阪や江戸に向かい、帰りは雑貨や古着、塩や茶、仏具、石材など「海のデパート」と表現されるほど多種多様な品物を積んで戻ってきました。

こうした取引で財を成した豪商が次々に誕生し、「西の堺、東の酒田」といわれる商都に成長。明治に入ってからも「金の置きどころがない」といわれる繁栄ぶりだったそうです。大名や豪商が注文した豪華なひな人形も上方から海路数カ月をかけて運ばれてきたことでしょう。

昔の姿をとどめる本間家のおひなさま

酒田の豪商といえば、「日本一の地主」といわれた本間家が有名です。「大名貸し」で窮乏する藩財政を立て直し、回船問屋としても事業を展開するなど金融・流通・不動産にわたって商売を展開。「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」とうたわれるように繁栄しました。米の先物取引で「相場の神様」と呼ばれ、株価チャートなどで今も使われる「ローソク足」を考案したといわれる本間宗久は本間家第3代当主・本間光丘のおじにあたります。

本間家が昭和20年5月まで住まいとしていた1768年築の屋敷(現・本間家旧本邸)には戦前まで、幅3間(約5.4メートル)、高さ2メートルの巨大なひな壇が飾られたそうです。屋敷は終戦まで軍司令部が使用。その後は長く公民館として使われており、人形は蔵にしまわれたままでした。本間家第11代当主の本間万紀子さん(本立信成社長)は「昔は男性しか蔵に入れなかったので、どこにしまってあるかも分かりませんでした。私たち自身のおひなさまはずっと小さいものでした」といいます。1982年、屋敷を「本間家旧本邸」として一般公開することになったのを機に、数十年ぶりに蔵から出したおひなさまは想像以上に状態が良く、展示公開することにしたそうです。

現在は往時の半分の規模、幅1.5間のひな壇が飾られています。ほかにも数多いおひなさまは、嫁入り道具として持参されたもの、お金を貸したお礼として贈られたものなど来歴はさまざま。飾りきれない人形は、かつて9月の重陽の節句に「後の雛」として人形を飾ったという故事にちなみ、今年の9月初旬から10月下旬に特別企画の一環として展示するそうです。

酒田駅近くには、かつて本間家の別荘だった本間美術館があります。こちらでは多くの収集家から寄贈された、時代・様式もさまざまな人形を見ることができます(雛祭 古典人形展、4月3日まで)。1813年に建築された本館「清遠閣」には豪商・白崎家のひな人形を展示。回遊式の庭園・鶴舞園の向こうに、春浅い雪の鳥海山が望めます。

記憶からよみがえったひなの膳、飾り菓子

本間家のおひなさまの復活をきっかけに、かつての節句のお膳やお菓子も再現されました。

おひなさまにお供えして、その後、皆でいただく本間家のお膳の記憶をよみがえらせたのが、「割烹食堂 伊豆菊」の「おひなさま膳」。地魚のちらしずし、3月1日から漁が解禁となるサクラマスの焼き物、地元では「ばんけ」と呼ぶフキノトウの味噌やてんぷら、うるいやタラノメなどの山菜、ソバの実をゆでた庄内独特の「むきそば」。白酒ではなく、お米の粒が残る甘酒がつくのも米どころらしさを感じさせます。酒田雛街道の期間中は、市内の各所でひな祭りランチや特別コースが提供されます。

本間家から依頼されて、酒田独特の飾り菓子を復活させたのが、竹久夢二や正岡子規が愛した銘菓「呉竹」で知られる御菓子司 小松屋です。92年、先代社長の故・小松久雄さんが記憶を頼りに、昔使われていた木型を使って復元しました。片栗粉、米粉、ヤマイモの粉、砂糖などを合わせて型打ち、乾燥させ、一つ一つ彩色。お多福、タイ、稲穂、孟宗竹など精緻で愛らしい飾り菓子を、正月から2月の中旬までかけて手作りします。「タイだけでも500尾をつくります。いまでは全国から注文が来ます」(小松尚社長)。食べるのではなく飾るためのお菓子で、3年くらいは持つそうです。時間と手間がかかるため、限定数の生産。期間中は酒田市内のあちこちのひな壇で美しい飾り菓子を目にすることができます。

つるし飾り「傘福」の由来は寺社への奉納飾り

活気ある港には名料亭がつきもの。酒田市内に今も残るかつての料亭の建物、相馬楼と山王くらぶでも華やかな旧家のひな人形を見ることができます。

かつて料亭「相馬屋」だった相馬楼(国登録文化財)は、株式会社平田牧場の創業者(現会長)、新田嘉一氏が文化財保存のために財を投じ、2000年3月に観光施設として生まれ変わりました。期間中はクラシックな旧料亭の空間に、相馬家に伝わるおひなさまなど華やかなひな壇が並びます。

やはり料亭だった山王くらぶ(国登録文化財)には、日本三大つるし飾りの一つとされる「酒田傘福」が常設展示されています。傘福は、幕をめぐらした傘の内側に、ちりめんなどの布でつくったさまざまな細工物をつるしたもの。かつては女性が祈願のためにつくって観音堂に奉納したり、商人が商売繁盛を願って祭礼などに奉納したそうです。他地域のつるし飾りのように、女児誕生を祝って母や祖母が作るものとは少し性格が違うようです。

酒田商工会議所の女性会では、傘福の制作に2005年から取り組んでいます。商都酒田らしく「小づち」「蔵の鍵」「宝袋」といった富と繁栄を象徴するモチーフをつるす「宝づくし」など、目もあやな傘福が並ぶさまは壮観。今年は傘福の展示会場が増え、市内4カ所で楽しむことができます。

(秋山知子)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_