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ファッションにもトランプの影 NYコレクション報告 宮田理江のおしゃれレッスン

2017/3/9

BROOKS BROTHERS 2017-18年秋冬NYコレクション

 米トランプ政権の誕生はファッションの風向きにも影響を与えそうです。2月に開催された、2017-18年秋冬シーズン向けのニューヨーク・ファッションウイークでは、「政治」が最大のテーマとなりました。主なブランドのランウエーから、基軸トレンドは前シーズンを引き継ぎながらも「ダイバーシティー(多様性)」をキートーンに一段と主張を強めた新トレンドをピックアップしてみましょう。

■ALEXANDER WANG(アレキサンダー ワン)

ALEXANDER WANG 2017-18年秋冬NYコレクション

 移民に厳しく、白人男性の支持を集めるトランプ政権の姿勢は、世界有数の移民都市であるニューヨークのモード界から反発を浴びています。デザイナー自らもアジア系である「ALEXANDER WANG(アレキサンダー ワン)」は、アフリカ系が多く住むハーレム地区にある廃劇場を会場に選びました。マンハッタン島中心部のミッドタウンでの開催が一般的なファッションショーがハーレムで開かれるのは、極めて異例なことです。ショーの音楽もヒップホップを流し、ブラックカルチャーの気分を濃くしました。

 装い自体も黒ジャケットに黒タイツといった全身真っ黒のカラーリングを軸に据えています。レザーのショートパンツをはじめ、黒革のウエアを押し出して、ストリート感や反骨スピリットを強調。太いチェーン付きバッグ、スタッズ(金属びょう)を打ったハイヒールでゴシックやパンクの雰囲気もかもし出しています。ニューヨークはトランプ大統領のお膝元でもあるだけに、地元に根付いた人種的なダイバーシティーへの敬意を示したショー構成にはデザイナーの「NY愛」がうかがえました。

■CALVIN KLEIN(カルバン・クライン)

CALVIN KLEIN 2017-18年秋冬NYコレクション Photo Credit: 2017 Giovanni Giannoni

 米国のシンボリックなブランド「Calvin Klein(カルバン・クライン)」のデザインを任されたベルギー出身のラフ・シモンズ氏は、デビューコレクションで米国へのオマージュをささげました。星条旗を写し込んだウエアや、開拓史を連想させるウエスタンブーツなどを取り入れて米国の風土へのリスペクトを示しました。濃いインディゴブルーのデニムのセットアップ(上下そろい)も米国服飾史を象徴しています。カウボーイシャツやキルティングはアメリカンなカントリーライフを印象づけていました。

 つややかなプラスチック、ふわふわのフェザー(羽根)など、風合いの異なる素材をあえて混在させて、さまざまなバックボーンや立場の「アメリカ人」が同居する国の特質を表現するかのよう。紳士服の仕立てを利かせた端正なウィメンズのスーツには、「強い女」のイメージが託されていました。

■THOM BROWNE(トム ブラウン)

THOM BROWNE 2017-18年秋冬NYコレクション Photo Credit: Dan and Corina Lecca

 ミシェル・オバマ前米大統領夫人が着たことでも知られる「THOM BROWNE(トム ブラウン)」。もともとスーツに強みを持っていますが、今回はテーラードスーツをキーアイテムとして打ち出し、ドレス(ワンピース)はゼロ。タキシードまで女性向けに仕立て直して、「女性は女らしい服を」という保守的な発想にシニカルなまなざしを注ぎました。グレーを主体にメンズとウィメンズを巧みにねじり合わせています。

 英国紳士服でおなじみのヘリンボーンや千鳥格子、アーガイルなどの柄を上質生地に落とし込んでトラッド風味のスーツルックを構築。でも、細部に透けるチュールやロマンチックなリボンをあしらってフェミニンさを薫らせています。メンズ風ジャケットとプリーツスカートを引き合わせ、性別を軽やかにまたぎ越えるかのようなスタイリングを提案。ペンギンのモチーフで朗らかさも添えています。

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