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地方の消滅危機、スポーツが食い止める 鈴木大地長官 編集長インタビュー

2017/3/2

スポーツ庁の鈴木大地長官

国のスポーツに関する総合的な政策をまとめた第2期スポーツ基本計画の内容が1日、鈴木大地スポーツ庁長官に答申された。2020年の東京五輪・パラリンピックをまたぐ17年度からの5年計画で、15年に設立したスポーツ庁として初めて打ち出す計画となる。地域振興やインバウンド(訪日客)対策、障害者スポーツをはじめとする共生社会の実現、超高齢社会対策など様々な課題に対してどのように取り組んでいくのか。鈴木長官に取り組みの理念を聞いた。(聞き手はオリパラ編集長・和佐徹哉)

――今回のスポーツ基本計画はどのような施策が目玉になるのでしょうか。

「役所が出す計画というのは一生懸命まとめた割にはあまり読まれていなかったが、今回は皆さんにわかりやすく書こうと取り組んできました。年々、スポーツに対する社会からの期待が大きくなっています。スポーツによって『人生が変わる』『社会を変える』『世界とつながる』『未来を創る』という4つの観点で取り組むことがテーマです。一億総スポーツ社会の実現に取り組むことを主な内容としています」

「スポーツを通じ経済的にも地域を豊かにすることも目指します。急速な定住人口の減少で地方都市の消滅の危機が指摘されています。これに手をこまぬいているだけでなく、何がしかの手を打つ必要があり、その効果的な対策としてスポーツが注目されています。スポーツは都会でしかできない競技もあれば、地方でしかできないものもある。そうした中で都会から地方に人が流れる交流人口をつくりたい。具体的にはサッカーJリーグやバスケットのBリーグなど全国各地に地元チームができて、試合ができるスタジアムやアリーナの建設が進んでいます。そういう場所を核にして地域の皆さんが集まって交流する場として使ってもらい、地域の一体感を向上できる機会になっている。スタジアムやアリーナなどを舞台に、ひいきのチームの応援で都会と地方で交流人口が生まれ、やがて『住んでみようか』ということになる、そんな形で流れをつくりたい」

――確かにスポーツの試合は地域のお祭りに匹敵するか、それ以上の集客効果を生むイベントとなります。

大宮アルディージャのNACK5スタジアム大宮(さいたま市)に整備されたWi-Fi設備

「例えば『地方に行けばいくらでもスポーツができる場所があるだろう』と考えがちですが、逆に人が少ないので女性が夜に一人でジョギングができないなどの治安や安全上の問題が起きています。しかし、スタジアムがあればそこに車で来て、コンコース内でジョギングできるなど、試合のない時でも常日ごろから市民に親しまれるという使い方も出てきています。経済産業省などと進める『スタジアム・アリーナ改革』というプロジェクトでは、Wi―Fi(ワイファイ)環境の整備や施設を核とした街づくりの実現を後押ししていきます」

「五輪・パラリンピックは1%のアスリートのためではなく、残る99%の協力がなければ成立しません。地域的にも東京や首都圏だけではなく、事前キャンプの誘致や大会終了後の地方での子供たちとの交流イベントを進めなければ。これは最近、本当に強く思っています。地方自治体とスポーツ・観光などの団体が協働で活動する組織である『地域スポーツコミッション』が全国で設立されており、今年1月時点で56の組織がある。スポーツ庁としては、これらの数を21年までに170まで増やすことを目標としています」

――単にハード面の整備だけでなく、障害者がスポーツに親しみやすい環境づくりや、訪日客をどのようにもてなすかというソフト面の充実が求められています。

「オリパラを契機に、車いすの人を通りがかりの人がスロープやエレベーターにエスコートするといった海外でよく見かける光景が普通になればいいですね。テクノロジーの面では、日本語で話しかけるとスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)が訪日客に外国語で案内してくれる多言語通訳ソフトが増えています」

「メーカーなどの企業からも協力を得て、20年の東京大会は日本をすべての面でいい形で紹介するイベントになってもらいたいと思います。訪日客はあちこち巡るのではなく、滞在型でどっしり構えて観光するスタイルが多いといいます。地方に行って土地の文化を体感して、日本のファンになり、日本の伝道師として戻ってもらいたいですね。そうした面からもスポーツ庁は地方のスポーツイベントを増やしていきたい」

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