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「なくすをなくす」 小型の無線タグが人気 財布、かばん… 重要な小物につけて

2017/3/5 日本経済新聞 夕刊

スマートフォンやかばんといったなくすと困る物につける(2月中旬、東京・千代田)
財布やかばんといった普段使う、なくしたら困る物につける小型の無線タグが人気を博している。スマートフォン(スマホ)と連携して、一定距離離れると自動で通知を送る仕組みだ。日常生活の必需品として普及が進みそうだ。

■30メートル離れるとスマホに通知

MAMORIOを利用する沢田智裕さんは「忘れ物でそわそわしなくなった」と笑顔を見せる。

「先月カフェに忘れた小銭入れを簡単に見つけることができた」と満足げに答えるのは、忘れ物防止用の小型無線タグを利用する東京都新宿区の会社員、沢田智裕さん(32)だ。「忘れ物をすると、一日中そわそわしてしまい仕事が手に付かなくなるため、とても助かっている」と笑顔を見せる。

沢田さんが利用するのが、ベンチャー企業のMAMORIO(マモリオ、東京・千代田)が開発した小型タグ「マモリオ」だ。2015年11月から出荷を始めた。価格は1個3500円(税抜き)だ。

利用者はスマホに専用のアプリ(応用ソフト)をインストールし、タグを登録する。スマホとタグは近距離無線通信技術「ブルートゥース」を通じて連携していて、30メートル程度離れるなどして電波の接続が切れるとスマホにプッシュ通知を送る仕組みだ。

「『なくす』を『なくす』を実現したかった」と増木大己社長は開発の経緯を話す。増木社長は証券会社の出身。重要な書類を扱っていたため、紛失して減給の対象となる人もいたという。どうにかして困っている人を助けることができないかと12年に会社を立ち上げた。

増木社長によると、警察に届けられる落とし物の数は年間2300万件以上にもなるという。巨大な需要が眠る市場だ。

■紛失に備えて保険も提供

MAMORIOはスマホと連携して使う

マモリオのタグの大きさは縦35.5ミリメートル、横19ミリメートル、厚さ3.4ミリメートルと非常に小さいのが特徴だ。財布の中などに入れても邪魔にならない。

一般の家電量販店でも販売していて、人気商品となりつつある。ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京・千代田)では、出入り口すぐの「一等地」に専用コーナーを設置する。同社の担当者は「多い日は1日40~50個ととても売れている」と話す。 タグを付けていた物を万が一紛失してしまった際に備えて保険商品も提供する。昨秋、au損害保険と組んだ。利用料金は対象物1つにつき年1000円(税抜き)で、例えば財布をなくした場合は最大で3万円を補償する。

ソニーが出資するベンチャーのQrio(キュリオ、東京・渋谷)の小型タグ「キュリオスマートタグ」も注目を集める。

Qrio(東京・渋谷)の小型タグはボタンを押してスマホを鳴らすこともできる。

大きさは縦46ミリメートル、横26ミリメートル、厚さ8.5ミリメートルで、参考価格は3980円(税抜き)だ。

特徴的なのは、スマホとタグが相互に通信してアラームを鳴らせる点だ。

スマホを操作することで、タグのアラームを鳴らすことができる。部屋が散らかっていてタグを付けた鍵が見当たらない時などに有効だ。

タグのボタンを押すことでスマホを鳴らすこともできる。スマホをどこに置いたか分からなくなってしまった際に使える。開発に携わった高橋諒シニアマネージャーは「身近な物をなくさない環境をつくることに注力した」と説明する。

デザイン性にも凝った。シンプルなデザインで「様々な物につけてもオシャレ」(高橋氏)になることを意識した。ブラックなど5色をそろえ、1番人気はライムイエローだ。財布に入れやすいよう、さらに薄い新製品を構想中だという。

忘れ物を防ぐタグ型の商品は欧米では既に普及が進む。今年2月には、スティック型のタグを開発する仏Wistiki(ウィスティキ)が日本での販売を始めた。参考価格は5980円(税抜き)だ。全国各地の家電量販店で購入できるという。

スマホを誰もが持つようになった中で、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の流れの1つとして、日本でも人気となりそうだ。(企業報道部 黒田弁慶)

[日本経済新聞夕刊2017年3月4日付]

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