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金・ヘッジファンド… 収益狙う個人、代替投資に活路

2017/3/4

 個人投資家の運用対象が株式、債券から「代替投資」と呼ばれる金、ヘッジファンドなどに広がっている。日銀のマイナス金利政策や米トランプ政権の始動で株式相場の不透明感が強まるなか、運用対象の拡大でリスク分散と収益の底上げを目指す。「投資のスパイス」としてメリットがある半面、価格変動の大きさなど注意点も多い。

 「あの投資信託をライバル視せずにはいられない」。運用担当者が話題にするのが、日興アセットマネジメントのバランス型投信「スマート・ファイブ」だ。設定は2013年7月。当初まばらだった資金流入は16年に入り急増し、純資産(毎月決算型)は昨年1年間で3.5倍に膨らんだ。

■株価と逆相関

 内外の株式や債券のほか、世界の不動産投資信託(REIT)と金の上場投資信託(ETF)も組み入れている。ファンドの収益率は昨年1年間で7%。同じ期間に日経平均株価は0.4%、商品市況の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数が9%上がったのに比べ、ファンドの収益率は突出しているわけではない。

 それでも資金が入っているのは、運用の安定度が評価されているためだ。中でも金は「株式、債券と値動きの相関性が薄いため、資産全体でリスク分散効果を得やすい」(安永哲次・資産運用サポート部長)。

 昨年は日経平均と金先物がほぼ正反対の値動きを見せた。日銀のマイナス金利政策で債券の投資妙味が乏しくなった一方、REITは相対的な利回り期待が高まった。シーソーのように複数の資産がプラスとマイナスを打ち消し、多くの代替投資関連のファンドは中国の景気不安が増した1月や、英国の欧州連合(EU)離脱ショックが走った6月でも値崩れを抑えた。

 代替投資はこれまで年金基金や生命保険会社など、運用規模の大きな機関投資家のお家芸とされてきた。それが中長期の資産形成ニーズとともに個人にも広がっている。今年1月からはほぼ全ての現役世代が加入できる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」がスタート。来年1月には積み立て投資に特化した少額投資非課税制度「積み立てNISA」が始まる。生活資金の一助として安定運用を望む個人も多い。

 金融教育を手掛けるプルーデント・ジャパン(東京・中央)の滝川茂一社長は金、REITについて「個人にとって実際に目に見える資産に投資している安心感は大きい」と話す。定期預金や貯蓄性の保険商品など元本確保型の金融商品から代替投資に資金を一部振り向ける動きがある。

 こうした声に応えようと、代替投資のもう一つの柱として注目されるのが「絶対収益型」だ。あらかじめ目標の収益率を決め、幅広い資産を選ぶヘッジファンドが代表例。従来の運用が株式、債券の収益を「足し算」するスタイルとすれば、目標の収益から組み入れ資産を割り出す「引き算」の運用と言える。

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