「経営者は攻殻機動隊から学べ!」 夏野剛氏編集委員 小林明

人工筋肉を用いた「身体防御スーツ」
作品中の「義体」 (c)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

■「義体」――身体防御スーツ、臓器設計技術……

「義体」の技術開発も進んでいる。

筑波大学の学生チーム「シフト」が考案したのが人工筋肉を用いた「身体防御スーツ」。危険が差し迫ったときに空圧式で人工筋肉を膨らませて外部からの衝撃を吸収・拡散させる仕組み。また横浜市立大学の小島伸彦研究室の「臓器設計技術」も大きな関心を集めている。生体の機能や構造を備えたミニチュア臓器を試験管の中でつくるという研究で、生体には存在しない高機能・新機能をもった臓器の開発にも取り組んでいる。

これらは「攻殻機動隊」をヒントにした技能やアイデアを競うコンテスト「ハッカソン」で発表された研究。「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」事務局の統括顧問/事務総長、武藤博昭さんによると、「電脳」「人工知能」のソフト面、「義体」「ロボット」のハード面、さらに「サイバー空間」などの都市・環境面でそれぞれ技術を育てていきたいという。

これ以外にもサイバー攻撃対策技術などを競うコンテストも実施している。

■中国企業からの参加断る、日本のものづくりを元気に

昨年11月には中国・深圳の企業集団から「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」に参加したいとの打診があったそうだが、「あくまでも日本発の技術を通じて具体化するのがプロジェクトの目的なのできっぱりと断った」と武藤さんは言う。

「攻殻機動隊」は原作者の士郎正宗氏を中心に劇場向けアニメ映画、テレビアニメ、続編など様々な派生作品を許容したことで「パラレルな世界が共存する集合知になった」。劇場版アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」などのプロデュースを手掛けてきた石川光久さん(プロダクション・アイジー社長)はこう指摘する。

漫画・アニメは、日本の文化をソフトパワーとして世界に発信する「クール・ジャパン戦略」の屋台骨を支える重要コンテンツ。「日本の製造業はやや元気を失っているが、活力を取り戻すための有効なアイデアや発想が漫画やアニメには詰まっている。これらを生かせば、日本のものづくりはまだまだ元気になれるはず」と夏野さんは訴えている。

サイバー攻撃対策技術を競うコンテスト
作品中のサイバー空間 (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

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