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グラミー賞5冠のアデル 世界と日本に、なぜ人気格差

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NIKKEI STYLE

第59回グラミー賞が2月12日(現地時間)に発表された。米国音楽界で最大の栄誉とされる同賞は、アーティストやスタッフ、楽曲、アルバムを中心に様々なジャンルを対象に選ばれる。今年の授賞式では、強敵ビヨンセと対決する形になったアデルが、主要3部門を含む5部門を制覇する快挙を成し遂げた。

アデルが受賞したのは最も権威があるとされる、年間最優秀レコード(『Hello』)、年間最優秀アルバム(『25』)、年間最優秀楽曲(『Hello』)の主要3部門に、最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)(『Hello』)と最優秀ポップ・ボーカル・アルバム(『25』)を加えた5部門である。

グラミーと無縁の人気スターは数多くいるし、一度受賞したとしても、翌年以降は賞レースから外れる場合がほとんどだが、アデルは唯一無二的な同賞の常連。2009年の第51回では新人賞を含む2部門で受賞しているし、12年の第54回では主要3部門を含むノミネートされた6部門全部を制覇した。前回に続いて今回も主要3部門に選ばれたことは、グラミー史上特筆すべき出来事である。

際立つボーカリストの魅力

もっとも、当然といえば当然の結果で、彼女が出したサードアルバム『25』(15年)は自身の過去2作を上回るボーカル表現をなし遂げた傑作として高い評価を得ている。特にアルバムのヒットのけん引役を果たした失恋の曲『Hello』は、ボーカル表現はもちろんのこと彼女自ら書いた歌詞も群を抜いている。「後悔するくらいなら1000回でも電話すればよかった」と切々と訴えかける歌声は、世界中の人々の共感を呼んだ。21世紀を代表する名曲として、ずっと歌い継がれるだろう。

ビヨンセを筆頭とする他の対抗馬がリズムを強調した音楽表現だったのに対して、アデルだけがオーソドックスなボーカルアルバムのスタイルを取り入れていたことも勝因。エタ・ジェイムズやロバータ・フラックといったアメリカの伝説的なシンガーに影響を受けた彼女らしく、古いスタイルを巧みに料理したような独特のソウルフルな歌声をたっぷり聴かせることとなり、ボーカリストとしての魅力が際立った。

同アルバムは発売から半年で1800万枚を突破。英米を含む世界各国でチャート1位を記録している。このアルバムの成功で、デビュー以来のトータルセールスは3000万枚を超えたが、これは21世紀に入ってから最大の売り上げ記録である。

日本でも彼女の知名度は高く、アルバムも売れてはいるものの、チャート1位をとることはなく、他の英語圏諸国と比べると人気もセールスも低いと言わざるをえない。邦楽が洋楽のシェアを上回る音楽市場だから、彼女の場合に限ったことではないのだが、それにしても天下のアデルだ。今やエルビス・プレスリーやビートルズ、ボブ・ディラン、マイケル・ジャクソンといった音楽レジェンドと肩を並べる存在感であることを考えると、世界と日本のギャップは大きいと思う。

プライベートの切り売りとは無縁

来日公演が実現していないなど様々な要因が考えられるが、最大の理由はアデル自身のアーティストとしてのアピールが極めて正攻法で、日本のメディアからすると面白味に欠けるからではないだろうか。要するに、アデルの世界的な人気を支えているのは「歌」そのもので、ウェブの時代には珍しいほどプライベートの切り売りをしない稀有(けう)な存在なのだ。

ツイッターやフェイスブックなど情報発信には熱心だが、あくまでも音楽に関する内容が中心。必然的にプライベートでの言動が話題の中心になる日本のメディアでは、彼女の露出は限られてくる。プロモーションのために話題作りをするよりも、表現したいことは全部曲に込めて、歌だけで直球勝負に出るのが、本人やマネジメントの方針なのだろう。

そんなアデルの正攻法を物語るエピソードが、12年に起こったレディー・ガガの失言事件。ガガの大先輩ジャネット・ジャクソンやマライア・キャリーもそうだが、ディーバ(歌姫)系のアーティストにはダイエット・ゴシップはつきものであり、その常連のレディー・ガガは自虐ネタ的な部分も含めて常にシーンに登場している。そして当時、激太りをして、メディアから揶揄(やゆ)されていたガガが、自らを擁護するためにアデルのぽっちゃり系の体形を引き合いに出した発言をしたのだ。

他のアーティストならすぐに反論して論争が巻き起こり、それが話題になって結果として人気につながるのだろうが、アデル側は無視を貫いた。結局、きっかけを作ったガガが批判を浴び、アデルに謝罪して幕引きとなった。音楽以外の雑音にぶれることなく、常に直球勝負の歌だけでファンの支持を得たアデルならではのエピソードだと思う。ちなみに、『25』のリリース時には、アデルはダイエットに成功して大きなスポットを浴びている。

待たれる日本公演はいつ?

アデルは本名をアデル・ローリー・ブルー・アドキンスといって、1988年5月5日イングランドのロンドン・トッテナム生まれ。BBCの人気投票企画「サウンド・オブ・2008」でトップに選出されて注目を集め、08年にデビューアルバム『19』をリリース。世界各国でNo.1に輝き、グラミー賞では計4部門でノミネートされ、2部門を受賞した。11年のセカンドアルバム『21』は世界19カ国で1位を獲得し、全米ビルボードチャートではマイケル・ジャクソンの持つ38週連続トップ5の記録を抜いて39週連続トップ5と歴代1位になったほか、3つのギネス記録にも認定されている。また、映画『007 スカイフォール』(12年)の主題歌『スカイフォール』でアカデミー賞主題歌曲賞を受賞している。私生活では、サイモン・コネッキーとの間に第1子を授かっている。

アデルは現在、大規模なツアーを実施中。残念ながら日本は予定に入っていないが、日本公演が実現したら世界との人気のギャップは埋まるかもしれない。あるいは、彼女の実力が一般に知られるきっかけ(例えば『NHK紅白歌合戦』へのゲスト出演)があれば、そのボーカル力に大きな注目が集まるはず。日本でも、もっとスポットライトを浴びてほしい、いや浴びて当然のディーバである。

(音楽評論家 村岡裕司)

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