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高配当銘柄を見分けるコツ ETFも多彩に

2017/3/5

 3月末に多い企業の決算期末に向け、株主還元の一環である株式配当への関心が高まっている。低金利環境が続く中、株価に対する配当金の水準を示す配当利回りは東証1部市場の平均で2%程度と、国債などに比べ高めだ。株主還元への意識の高まりから、上場企業の配当額は増加傾向にある。運用成果を高めるためにどんな投資が有効か。配当投資の勘どころを探る。

■キャッシュ重要

 配当は企業が稼いだ利益の一部を出資者の株主に配分することだ。3月決算企業の場合、一般に3月末が権利確定日なので、2017年ならその3営業日前の28日までに株式を購入すれば期末配当を受け取れる。期末配当に加え、中間配当や四半期ごとの配当を実施する企業もある。

 配当投資でまず重視される指標は予想配当利回りだ。企業の1年分の予想配当を株価で割って算出し、投資額に対する配当の予想リターンを示す。例えば、17年12月期に1株当たり140円の配当を見込む日本たばこ産業の株価は23日終値で3811円。予想配当利回りは3.7%となる。

 予想配当利回りは算出が簡単な一方で、この指標だけに頼るのは危険だ。投資先企業の業績が大きく変動すれば、権利確定日以降でも企業が配当額を変更する恐れがあるからだ。予想配当利回りが高い企業の中には、市場での評価が高くなく、株価水準が低いために相対的に利回りが高くなっているところもあり、業績などの見極めが必要だ。

 高い配当利回りを安定継続できる銘柄をどう見分けるか。岡三証券の小川佳紀シニアストラテジストは「高い自己資本比率に加え、安定的にキャッシュを稼げる企業かどうかが重要だ」と助言する。例えば、23日終値で2.0%の予想配当利回りのセブン&アイ・ホールディングス。16年11月末時点の自己資本比率は41.6%と高く、17年2月期も7期連続の増配を見込む。現金のやりとりが多い小売業は営業キャッシュフローが安定しやすく、安定配当を続ける企業が多い。

 継続的に配当を増やす「連続増配銘柄」も投資先として有望だ。花王は17年12月期に28期連続の増配を見込む。背景には過去最高の営業利益を見込むなど好調な業績がある。連続増配企業はほかにも3期連続で営業最高益を見込む自動車部品商社のSPKや、4期ぶりに過去最高の純利益を見込むしまむらなど好業績企業が目立つ。こうした企業は本業の好調と増配への期待が株価を下支えする効果も見込める。

 配当に着目した投資信託も1つの選択肢だ。フィデリティ投信の「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」は市場平均を上回る配当利回りの企業や高成長が見込める企業を選別する。直近では丸井グループやヤマハ発動機などを組み入れる。「相場変動時も運用成績のブレが比較的小さく、長期運用に適した商品として需要が強い」(同社)という。

■関連指数に連動

 最近では、配当関連指数に値動きが連動する上場投資信託(ETF)も多彩になっている。野村アセットマネジメントが13日に上場させた「NEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型上場投信」は、新たに日本経済新聞社が算出を始めた「日経平均高配当株50指数」に連動する。

 同指数は日経平均採用銘柄から市場流動性を加味したうえで、予想配当利回りの高い50社を選んだスマートベータ(賢い指数)だ。01年末からのリターン(分配金再投資込み)は5倍を超える。野村アセットの奥山修氏は「ETFなので手数料を低く抑えられ、高配当企業に絞ることで安定収益も期待できる」と投資家にとっての魅力を語る。

 企業統治改革の進展もあって、上場企業の配当は増えている。日本経済新聞社の集計では16年度の配当総額は過去最高の11兆8千億円となる。株主へ利益を積極的に還元する企業は今後も増えそうだ。運用戦略に値上がり益(キャピタルゲイン)だけでなく、配当収入(インカムゲイン)をうまく取り込む重要性が増している。(小森谷有生)

[日本経済新聞朝刊2017年2月25日付]

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