マネー研究所

投信調査隊

自分の耐性は? 長期・積み立てに向く投信選び QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2017/3/1

資産運用を始める際に最初に考えたいのは、想定する積立期間だ。20代、30代の人が10年単位で積み立てを続けるつもりなら、株価が一時的に大きく値下がりしても、いずれは回復すると割り切って、大きなリターンが期待できる株式に投資するのはよいと思う。

一方、50代で積み立てを始める人が株式を投資対象に選んだ場合、大きな値下がりに見舞われると、回復を待つまでの時間が足りなくなる恐れがある。さらに、退職して資産を取り崩す段になって、運悪く大きな下げにでも見舞われたら目も当てられない。

もう一つ考慮したいのは、自分自身の損失に対する忍耐度だ。グラフBの試算では、外国株を投資対象に選んだ場合、リーマン危機の直後には含み損が最大で元本の約4割に達した。最後に投資の成果を享受できたのは、それでも「いつか相場は戻る」と信じて積み立てを続けた人だ。「そんな我慢はとてもできない」と思うなら、もっと価格変動の小さな投資対象を選んだ方がいい。

では、値動きの緩やかな国内外の債券がいいかというと、そうともいえない。00年以後は世界的なデフレ傾向などを背景に金利がほぼ一貫して低下(債券価格は上昇)した時期。これ以上の金利低下を見込む向きは少ないし、逆にこれから金利が上昇(債券価格は下落)する可能性も考えなければならない。

■信託報酬、積もると山になる

積立期間が長くない人、損失に対する耐性が乏しい人に向くのは分散投資だ。どの資産が上がりそうか、下げそうかなど、面倒なことを考えなくて済むし、価格変動も相対的に小さい。投信のタイプでいえばバランス型投信で、このうち、国内外の株式や債券に偏りなく分散投資しているファンドを勧めたい。

グラフBの試算では、たとえ4資産に均等額投資していても、リーマン危機後は元本割れの状態が3年近く続いたのが実情だ。しかし含み損の比率は最大でも元本の15%程度で、含み損を抱えた期間のうち、ほとんどの月は損失率が3%にも満たなかった。損をするのが嫌だという人でも、これなら我慢の度合いはぐっと小さくなるはずだ。

長期の資産運用では、投信にかかるコストも配慮する必要がある。特に保有期間中にかかる信託報酬(運用管理費用)は保有残高に応じて日々差し引かれるため、投資家はお金を払っているという意識が薄れがちになる。しかし、「チリも積もれば」で運用期間が長くなるほど、リターンに及ぼす影響は大きくなる。

例えば日経平均の連動型で、信託報酬が年0.5%と1.5%のファンドがあったとしよう。それをグラフBの積み立て投資に当てはめて試算すると、17年間に投資家が払った信託報酬の累計には約20万円の差が生じた。10年単位の長期の積み立て投資をするとき、期待リターンが同程度の投信の中から1本を選ぶとするなら、迷わず信託報酬の安いファンドを選んだ方がいい。その際には、インデックス型が有力な候補だ。

ただし、コストの低さだけに目を奪われてはならない。ファンド選びでは、まずは自身の運用期間、価格変動リスクへの耐性を考えるのが先決だ。積立期間がそう長くない退職前の人などは、多少コストは高くても、バランス型の中から下げ相場への抵抗力が強いファンドを選ぶ、という選択肢もある。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL