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孤高の画家「田中一村」も魅了、奄美をゆく(上) 鹿児島県の奄美大島

2017/3/14

奄美大島の田中一村記念美術館

 2月1日、沖縄本島北部や西表島などと共にユネスコの「世界自然遺産」への登録が推薦された奄美大島(鹿児島県)。島全体を覆い尽くすように亜熱帯照葉樹林が広がり、希少野生動物が生息する手つかずの大自然が残る貴重なエリアだ。大島紬や島唄など島人が脈々と育んできた文化も息づく、この緑豊かな島の魅力を2回にわたって紹介する。1回目は南国の風景に魅せられ、晩年に移り住んだ孤高の画家の足跡をたどった。

■一村 50歳の時に奄美に移住

 画家の名は田中一村(1908~77)。幼少期から才能を発揮し、東京美術学校へ入学するも中退。同期に東山魁夷や橋本明治らがいた。中央画壇に背を向け、生活苦の中で画業に打ち込んだ。50歳の時、奄美の自然に魅せられて移住。以来、紬(つむぎ)工場で染色工として働きながら亜熱帯の植物や鳥などを描き、新境地を開いた。生涯独身を貫き、作品を発表することもなく69歳の生涯を閉じた。その名が全国に知られるようになったのは死後、NHKの「日曜美術館」で紹介されてからだ。

奄美の自然を描いた絵が展示されている奄美時代のコーナー(田中一村記念美術館)

 奄美空港に降り立つと、真っ先に訪ねたのが空港にほど近い公共施設、奄美パーク内にある「田中一村記念美術館」。高倉と呼ばれる奄美地方独特の高床式倉庫を模した斬新な建物に、一村が命を削りながら描いた作品の数々が展示されている。「わざわざ絵を見るためだけに全国から足を運ぶファンもいる。残念ながら中央画壇からは認められなかったが、その反骨心と奄美の風景が融合して出来上がった迫力ある作品が人々の心を打つのではないか」。そう話すのは同美術館の花山潤治学芸専門員だ。

 美術館は東京、千葉、奄美時代に分かれて作品を展示しているが、一村芸術の集大成になったのが奄美時代の絵だろう。その色彩は全体的に豊かで、細かな葉やひだを繊細なタッチで描いている。

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