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『ラ・ラ・ランド』監督が語る 共感を呼ぶ3つの理由

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アカデミー賞で6冠、ゴールデン・グローブ賞で史上最多7冠ほか数々の受賞歴を重ね、世界的に大ヒットしている『ラ・ラ・ランド』。映画史を変えたといわれるほど高く評価され、観客の共感を呼んでいる。その理由は3つある。夢と現実が一体となった世界観、あふれる映画愛、そしてテーマの現代性だ。

1月に来日したデイミアン・チャゼル監督は、観客にどこが受け入れられたのかという質問に対して、こう答えた。

「ミュージカルには、ほかの映画にない楽しさがあり、特有の恍惚(こうこつ)感や高揚感がある。それと同時に、本作には現実的でリアルなストーリーも必要だった。つまり『かなう夢もあるが、かなわない夢もある』というところが、観客の心に響いたのではないか。ミュージカルを作るうえで、幻想的な部分とリアルな部分のバランスが難しいと思っていたが、我々が思っていた以上に、見た人はそこを楽しんでくれたよ」

映画の舞台はロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)は女優を目指しているが、オーディションには落ちてばかり。ある日、場末のバーでピアノを弾くセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。彼は自分の店を持ち、好きな本格ジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて2人は恋におち、互いの夢を応援しあうが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功して、すれ違いが始まる…。

「ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)」とは、チャゼル監督によると「ロサンゼルス(LA)をからかうような感じで呼ぶときの言葉」。映画の舞台を表すのに加えて、空想にふけるという意味もある。夢を見るのはすてきなことだ、という気持ちも込めてタイトルにしたそうだ。

高揚感と現実感が一体となって展開

だが、実際に映画で描かれるのは、甘い夢や希望だけではない。ミアはオーディションに落ち続けるし、セバスチャンは店長の選曲に従わないとピアニストをクビになる…。久しぶりに再会した2人がディナーを共にすると、楽しく始まった会話がふとした言葉のあやから互いを責め合う内容になり、最悪のディナーに変わる…。そんな、誰もがあるあると感じるような、仕事の厳しさや気持ちのすれ違いがリアルに描かれる。

歌やダンスによるミュージカルならではの高揚感と、ドキュメンタリーを見ているような現実感。この2つを見事に融合させて、「夢と現実が一体」となった世界に観客を連れていくのが本作が創造した新しいミュージカルのスタイル。そこが観客が共感し、批評家からも高く評価された第1の理由だ。

ドキュメンタリー的な手法は、俳優の演奏や歌唱の場面にも使われている。ジャズピアニストにふんしたライアン・ゴズリングは、3カ月間かけてピアノを習得。全編で本人による演奏を見せる。手元のクローズアップも代役の演奏者を使っていない。

エマ・ストーンがオーディションの場面で歌う『オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)』は、事前に収録した音源ではなく、撮影時に実際に歌ったものだ。普段ミュージカルを見ない人にも共感してもらえるように、カットが変わると突然声を変えて歌い出したりするのではなく、普通に話しているうちに歌に変わって、同じ感情が続いていくという自然な流れは、チャゼル監督がこだわった演出。見る人の感情を途切らせないために、できるだけカメラを長回ししてワンカットで撮った。

昔のミュージカル映画をオマージュ

一方、歌やダンスによる華やかなミュージカルらしい場面は、チャゼル監督が影響を受けた名作ミュージカル映画のオマージュがちりばめられている。「無意識のうちに、いろんな映画のオマージュが含まれていると思うよ。たくさんの映画を研究して、さまざまな映画の思い出の中を泳ぎながら、本作を作っていたようなところがあるからね」と会見でも語った。

昔の映画の雰囲気を出すために、通常より横長画面のワイドスコープ、鮮やかな色合いのテクニカラーを再現。フレンチ・ミュージカルの名作『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』をはじめ、『雨に唄えば』『バンド・ワゴン』『巴里のアメリカ人』といった1950年代のMGMミュージカル、主役2人のダンスシーンではフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの『スイング・タイム<有頂天時代>』、さらにフランシス・フォード・コッポラ監督が全編セットで撮った『ワン・フロム・ザ・ハート』、マーティン・スコセッシ監督がサックス奏者と歌手の恋を描いた『ニューヨーク・ニューヨーク』などを連想させる場面が次々と出てくる。

今年32歳のチャゼル監督は、名門音楽学校に通うジャズのドラマーと彼を指導する鬼教師の関係を描く『セッション』(14年)で脚光を浴びた新鋭。高校時代は自身もジャズドラマーで、昔のミュージカル映画が大好きだったという彼にとって、本作はようやく製作にこぎつけた念願の企画だった。

「昔のミュージカル映画から色彩や音楽の使い方、セットと衣装と物語を完全にひとつのものとして描く手法といった、映画の世界だけができることを学んだ」という思いがあふれ出すような「映画愛」。それが観客の心をつかんだ2つ目の理由だ。

『レ・ミゼラブル』や『オペラ座の怪人』『シカゴ』といった近年話題になったミュージカル映画は、いずれもブロードウェイでヒットした舞台の映画化。それに対して、本作は映画オリジナルである点が高く評価されている。

圧巻のエンディングシーンの意味

そして、観客の共感を呼んだ3つ目の理由が「テーマの現代性」だ。ライアン・ゴズリングは、「監督と一番話し合ったのは、この映画をいかに現代的にするか。今の人たちに共感できるものにするかということだった。キャラクターも同じで、あまり演劇的にしないで、見ている人が気持ちを分かち合えるような人物にしたいと思った」と言う。

クラシカルなムードで、ジャズや多彩な音楽が鳴り響くなかロマンチックな恋物語が繰り広げられる。しかし、この映画が投げかけるのは、「夢と現実の折り合いをどうつけて生きていくのか」という、きわめて現代的でシビアな問いだ。

本作に影響を与えたとされる『シェルブールの雨傘』で若き恋人たちを引き裂いたのは、戦争という運命だった。だが『ラ・ラ・ランド』では、恋人たちの運命を決めるのは自分自身だ。今の時代を生きる誰もが抱える「自分探し」の物語なのだ。それに対してチャゼル監督は、「究極のテーマは、夢を追いかけるということだよ。星に向かって手を伸ばし続けるのは、それ自体が美しいことなんだ」と答えている。

そんなチャゼル監督の思いが集約されたともいえるのが、圧巻のエンディングシーン。エマ・ストーンも、最後の10分間が大のお気に入りだ。「とにかく美しくて、心を打たれるの。見る人によって、いろいろな受け取り方ができるシーンだしね」と語っているように、観客のそれぞれが違った感想を抱くだろう。見終わった後は、誰かとこの映画について語り合いたくなるに違いない。そんな拡散力が、『ラ・ラ・ランド』の評判を広げた。

ライアン・ゴズリングは「最初から監督と話し合っていたのは、映画は映画館で大勢の人たちと一緒に見るものだ。そういう映画を作りたい。やはりスマートフォン(スマホ)で見るもんじゃないよね、ということだった。公開されたら、実際に多くの人が映画館に足を運んでくれて、同じ体験をする素晴らしさを分かち合ってくれた。それが何よりもうれしいよ」と語った。

彼の言葉通り、『ラ・ラ・ランド』は多くの人に愛されている。昨年12月から公開された米国での興行収入は1億4100万ドル(2月26日時点)を超え、『シカゴ』の記録(1億7070万ドル)を抜いて、ミュージカル映画史上で最大のヒット作になるのは時間の問題。2月24日から公開された日本でも、どこまでヒットするか、業界の関心の的だ。

(日経エンタテインメント!小川仁志)

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