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『ラ・ラ・ランド』監督が語る 共感を呼ぶ3つの理由

2017/2/27

 アカデミー賞で6冠、ゴールデン・グローブ賞で史上最多7冠ほか数々の受賞歴を重ね、世界的に大ヒットしている『ラ・ラ・ランド』。映画史を変えたといわれるほど高く評価され、観客の共感を呼んでいる。その理由は3つある。夢と現実が一体となった世界観、あふれる映画愛、そしてテーマの現代性だ。

『ラ・ラ・ランド』 EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate. (c) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

 1月に来日したデイミアン・チャゼル監督は、観客にどこが受け入れられたのかという質問に対して、こう答えた。

来日会見でのデイミアン・チャゼル監督(左)とライアン・ゴズリング(右)

 「ミュージカルには、ほかの映画にない楽しさがあり、特有の恍惚(こうこつ)感や高揚感がある。それと同時に、本作には現実的でリアルなストーリーも必要だった。つまり『かなう夢もあるが、かなわない夢もある』というところが、観客の心に響いたのではないか。ミュージカルを作るうえで、幻想的な部分とリアルな部分のバランスが難しいと思っていたが、我々が思っていた以上に、見た人はそこを楽しんでくれたよ」

 映画の舞台はロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)は女優を目指しているが、オーディションには落ちてばかり。ある日、場末のバーでピアノを弾くセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。彼は自分の店を持ち、好きな本格ジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて2人は恋におち、互いの夢を応援しあうが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功して、すれ違いが始まる…。

 「ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)」とは、チャゼル監督によると「ロサンゼルス(LA)をからかうような感じで呼ぶときの言葉」。映画の舞台を表すのに加えて、空想にふけるという意味もある。夢を見るのはすてきなことだ、という気持ちも込めてタイトルにしたそうだ。

高揚感と現実感が一体となって展開

セバスチャン役のライアン・ゴズリング

 だが、実際に映画で描かれるのは、甘い夢や希望だけではない。ミアはオーディションに落ち続けるし、セバスチャンは店長の選曲に従わないとピアニストをクビになる…。久しぶりに再会した2人がディナーを共にすると、楽しく始まった会話がふとした言葉のあやから互いを責め合う内容になり、最悪のディナーに変わる…。そんな、誰もがあるあると感じるような、仕事の厳しさや気持ちのすれ違いがリアルに描かれる。

 歌やダンスによるミュージカルならではの高揚感と、ドキュメンタリーを見ているような現実感。この2つを見事に融合させて、「夢と現実が一体」となった世界に観客を連れていくのが本作が創造した新しいミュージカルのスタイル。そこが観客が共感し、批評家からも高く評価された第1の理由だ。

 ドキュメンタリー的な手法は、俳優の演奏や歌唱の場面にも使われている。ジャズピアニストにふんしたライアン・ゴズリングは、3カ月間かけてピアノを習得。全編で本人による演奏を見せる。手元のクローズアップも代役の演奏者を使っていない。

 エマ・ストーンがオーディションの場面で歌う『オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)』は、事前に収録した音源ではなく、撮影時に実際に歌ったものだ。普段ミュージカルを見ない人にも共感してもらえるように、カットが変わると突然声を変えて歌い出したりするのではなく、普通に話しているうちに歌に変わって、同じ感情が続いていくという自然な流れは、チャゼル監督がこだわった演出。見る人の感情を途切らせないために、できるだけカメラを長回ししてワンカットで撮った。

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