吉田羊がCM女王になれた理由 13社で4役柄演じ分け
愛されるCMタレントの条件(3)
今の時代に愛されるCMタレントの条件を探る連載の3回目は吉田羊。2016年の年間CM起用社数は女性タレント部門1位の13社(ニホンモニター調べ)で、自身初のCMクイーンに輝いた。
吉田の出演CMを見ると、大きく4タイプに分類ができる。「働く女性」「母親」「妻・恋人」「吉田羊としての出演」だ。
彼女が知名度を上げるきっかけとなったのは、ドラマ『HERO』(14年7月期)のクールビューティーな検事・馬場礼子役。「働く女性」は彼女の得意とするところで、出演CMの半数近くでこの役柄を演じている。しかも「ENEOS」では仕事に厳しいデキるキャリアウーマン、住友生命保険「1UP」では保険外交員、ヱスビー食品「ゴールデンカレー」ではカレーショップの店主と、多彩な「働く女性」をこなしている。
家庭的な役のCMも多い。サンヨー食品「サッポロ一番 グリーンプレミアムゼロ」では、テンポよく謎掛けをし合う仲のいい夫婦を、夫役の高橋克実とともにチャーミングに演じている。大塚製薬「ポカリスエット」CMは、現在11歳の鈴木梨央の母親役。おそろいのファッションに身を包み、コミカルな掛け合いを披露する。一方、「トヨタホーム」CMでは娘役の松岡茉優を、優しく見守る母親を演じている。
同世代女性のライフシーンを一手に
なぜ吉田は、大人の女優に求められるさまざまな役柄を一手に引き受けることができるのか。
吉田は年齢非公開ではあるが、アラフォー世代と言われている。他に活躍するこの世代の女優たちはベテランの域に入っており、それぞれの色がある。対して、吉田は長い下積み期間を経て近年ブレイク。まだ、どんな役にも染まれる存在だ。昨今は出演者の多いストーリー仕立てのCMが増加。脇役もこなす彼女は、そのなかでしっかり自分の役割を果たすことができるのだ。
16年度の「CMタレント好感度ランキング」(CM総合研究所調べ)の女性部門でも、前年の14位からアップして7位にランクインしているが、上位10人中でアラフォー女優は彼女のみ。仕事や家庭、恋愛など、同世代女性のライフシーンをすべて担える存在として重宝されていることがわかる。
ここ最近は、セイコーエプソン「カラリオ」のように役の設定がなく、「吉田羊」として出演するCMも多い。自身のタレントパワーが増している証といっていいだろう。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント!3月号の記事を再構成]
3月14日(火)菅田将暉
3月15日(水)西島秀俊
3月16日(木)吉田羊
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