西島秀俊、高い好感度 芝居は硬派、CMはコミカルに
愛されるCMタレントの条件(2)
今の時代に愛されるCMタレントの条件を探る連載の2回目は西島秀俊。日本を代表する主役級俳優の1人だ。CM出演も多く、2014年は9社、15年は10社、16年は11社と契約社数を増やしている(ニホンモニター調べ)。
西島といえば、ドラマと映画が制作された『MOZU』シリーズ(14~15年)の公安エリートや、映画『クリーピー 偽りの隣人』(16年6月公開)の犯罪心理学者など、シリアスで硬派な演技の印象が強い。だが、CMでは一転。コミカルな一面を見せたり、家庭的な役柄を演じる作品が多い。
下表では、彼がこれまで出演したCMのうち、作品別CM好感度ランキング(CM総合研究所調べ)で高い順位を得たものを並べた。ベストテンのうち半数を占めたのが、13年から出演している日清食品「ラ王」の「食べたい男」シリーズ(14年秋~)。16年も、妻が寝ている隙にラ王を食べようとする「潜入」編や、出張に向かう西島秀俊に滝藤賢一が「ラ王を持って行け」とそそのかす「南国出張」編が高い好感度となった。
シュールな設定と迫真の演技
パナソニックのロボット掃除機「ルーロ」の「逃げ場がない」編も好感度を得たユーモラスなCMの1つ。西島がルーロに部屋の隅に追いつめられる<ゴミ>の役を演じる内容で、前年度に放映されたルーロの5倍以上の好感度を記録して、16年6月度のCM好感度ランキングで9位となった。
ちなみにCM総合研究所では、CMの「印象に残った点」や「好きな点」といった「CM好感要因」調査も行っている。ルーロのCMで、最も挙がった好感要因は「ユーモラス」。これに「出演者・キャラクター」が続く。設定のシュールさと彼の迫真の演技が生み出す、絶妙な面白さが視聴者に受けていることがわかる。「16年度のルーロの売り上げも、前年比135%を記録している」(CM総合研究所)という。
西島の出演CMは、<よきパパ、よき夫>の姿も好感度が高い。古くは、慣れない家事に悪戦苦闘する<主夫>を演じたライオン『香りとデオドラントのソフラン』、16年は、お笑い芸人の渡辺直美と仲むつまじい夫婦姿を見せたアフラックの「給与サポート保険」のCM「とある奥さま・夫の病室」編が人気となった。
ドラマや映画での硬派なイメージに、CMで見せるコミカルで家庭的なイメージが加わり、彼自身の魅力の幅が広がっているようだ。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント!3月号の記事を再構成]
3月14日(火)菅田将暉
3月15日(水)西島秀俊
3月16日(木)吉田羊
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界