その保険必要? 自分に万一のとき国からもらえるお金

日経ウーマンオンライン

2017/3/2
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万一のときに備える保険。でも本当に必要かどうかを考えるときに、知っておきたいお金のしくみをお伝えします。あなたが「子どもがいる女性」と想定してみていきましょう。

あなたが0歳の子どもと夫を残して、亡くなったと想像してみてください。このとき、国から総額でいくらのお金が受け取れると思いますか?

(1)0円
(2)1800万円
(3)2300万円

答えは……すべて正解です。実は、あなたの職業や夫の年齢、収入など、人によって答えが異なるのが遺族年金なのです。正解は最後にお伝えしますから、まずは遺族年金の仕組みを知りましょう。

会社員の人は、「厚生年金保険料」を毎月納めています。

具体的にいうと、私たちは、1カ月の給料が20万円なら1万8182円、30万円なら2万7273円の「厚生年金保険料」を毎月会社を通じて納め、その保険料と同額の会社負担保険料を合わせて、会社が国に納めています。

自営業者の場合は、毎月1万6260円の「国民年金保険料」を納めます。

年金保険料を納めているからこそ、あなたが障がい状態になったときには「障害年金」、老後には「老齢年金」、そして、亡くなった場合には遺族に「遺族年金」が支払われるのです。

さて、女性が亡くなったときの遺族年金のカギを握るのは、子どもです。

ここでいう「子ども」とは、18歳になった年度末の3月31日までにある未婚の子、または、障がい等級1.2級で20歳未満の未婚の子をいいます。

遺族年金の額は勤務年数や納めた保険料によって異なる

子どもを残して女性が亡くなった場合は、「遺族基礎年金」を、子どもが18歳の年度末の3月31日になるまでの間(障がい等級1.2級の場合は、20歳まで)、受け取ることができます。遺族基礎年金の金額は、残された子どもの人数によって異なります。

夫と子どもが受け取る遺族基礎年金の金額

さらに、亡くなった女性が会社員や公務員など、自分で厚生年金料を納める国民年金第2号被保険者だった場合は、上記の遺族基礎年金に加えて、「遺族厚生年金」を受け取ることができます。

遺族厚生年金の金額は、亡くなった人の勤務年数やその間に納めた厚生年金保険料(給料等)によって変わります。原則は、その女性が生きていれば受け取る予定だった年金の4分の3ですが、厚生年金に加入していた期間が300カ月に満たない人は、特例で計算します。ちなみに、ご相談にいらっしゃる子育て女性の遺族厚生年金は、年間30~40万円ほどが多いように思います。

なお、国の年金は、あくまでも最低限の生活を送るためのサポートです。そのため、子どもがいても、夫の年収が850万円以上ある場合は、遺族基礎年金も遺族厚生年金も受け取ることができません。夫の年収が850万円以上あるのなら、妻の遺族年金がなくても子どもを育てることができると考え、必要な人のところに年金を贈る制度になっているのです。

なお、シングルマザーで子どもだけが残った場合は、子どもに遺族基礎年金が支給されますから、安心してください。

子どもが受け取る遺族基礎年金の金額

夫の年収が850万円以上ならもらえない

それでは、いよいよ冒頭の問題の答えです。

問題は、「もしもあなたが0歳の子どもと夫を残して、亡くなったとした場合、国から総額でいくらのお金が受け取れるか」というものでしたね。

(1)0円の場合

子どもがいても、夫の年収が850万円以上の場合は、遺族年金はもらえないため、ゼロ円です。

(2)1800万円の場合

専業主婦(国民年金第3号被保険者)や個人事業主(国民年金第1号被保険者)の女性が亡くなり、年収850万円未満の夫と子ども1人が残された場合、遺族基礎年金年間100万円を18年間受け取れます(子どもが18歳の年度末まで)。その合計金額が1800万円です。

(3)2300万円の場合

会社員や公務員(国民年金第2号被保険者)の女性が亡くなり、年収850万円未満の夫と子ども1人が残された場合、遺族基礎年金年間100万円に加えて、遺族厚生年金額を受け取ることができます。遺族厚生年金額を年間30万円とすると、年間130万円を子どもが18歳の年度末を迎えるまで18年間受け取れるので、その合計は、約2300万円です。

このように、子どもがいる女性が亡くなった場合でも、加入している制度や夫の年収、子どもの人数により、受け取る年金額は異なります。

もしもの不安があると民間の死亡保険に頼りがちになりますが、そんなときこそ、国が準備している遺族年金を思い出してください。私たちはそのために、毎月、あるいはボーナスからも年金保険料を納めているですから。

前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャル・プランナー。中学校・高校の保健室の先生を経て、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経てFPに転身。自らの住宅ローンで800万円、生命保険で1000万円の見直しを行った実績を持つ。講演やテレビでも活躍中。著書多数。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

[nikkei WOMAN Online 2017年2月6日付記事を再構成]

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