レノボのYOGA かっこよさ抜群、拡張性には難あり戸田覚のPC進化論

日経トレンディネット

2017年1月20日に発売された「YOGA 910」は狭額縁と大画面が進化したポイント
2017年1月20日に発売された「YOGA 910」は狭額縁と大画面が進化したポイント
日経トレンディネット

レノボのパソコンと聞けば、「ThinkPad」シリーズを思い浮かべる人が多いだろう。ビジネスの現場ではThinkPadシリーズを見かけることが多い。しかし実際には、今回取り上げる「YOGA」シリーズのように、ずいぶん前からラインアップされているにもかかわらず、どうも認知度が低いものもある。

このYOGAシリーズに魅力的な新モデル「YOGA 910」が登場した。前モデルの「YOGA 900」は13.3型液晶モデルだったが、YOGA 910は13.9型液晶を搭載している。ベゼルを極めて細くすることで、旧モデルとほぼ同サイズの本体に、一回り大きな画面をはめ込んでいる印象だ。

YOGA 910で特徴的なのが、キャタピラーのような多軸構造になっている独特のヒンジだ。このヒンジによって、どんな角度でもピタリと止まり、また液晶を360度回転させられる。

独特なヒンジが特徴で、どんな角度でもピタリと止まる

薄くてコンパクト、しかも大画面

YOGA 910のボディーはアルミの削り出しで、これが恐ろしいほどの完成度だ。天板と底面はサンドブラスト仕上げのようにきめの細かなつや消し、側面にはつやのある切削跡を残している。側面から見るとボディーの中央部分がくぼんで見える凝ったつくりもいい。パーツの合わせ目は極めて少なく、しかも隙間がほとんどないので、とても高級感がある。見た目はとてもスタイリッシュで、細い額縁は非常に格好がいい。

まさに今どきのパソコンたる外観は、2015年末に発売された「Let's note SZ」と比べると明らかだ。最近のパソコンはどんどん薄型化、峡額縁化しているのだ。本体サイズは323×224.5×14.3mm(1.38kg)となっており、324×225×14.9mm(1.29kg)の旧モデルとほとんど変わらない。重量が100gほど増しているものの、6mmも薄くなっているのは立派なところだ。

画面サイズが小さいと文字が見づらくなるが、ほぼ14型のYOGA 910なら快適だ。従来のモバイルノートの液晶サイズは13.3型が最大だったのだが、最近は14型も少しずつ増えてきている。取引先などで顧客に画面を見せる際も、文字は大きいほうがいいに決まっている。

天板と底面はシルキーなつや消しで手触りがとてもいい
12.1型のLet's note SZと比べるとスタイルの違いは明らかだ

キーボードは合格だが、カメラの位置が問題だ

YOGA 910のキーボードは、YOGA 900に比べるとずいぶん良くなっている。YOGA 900は「Enter」キーの右側に1列キーが並んでいたため、入力ミスが多かった。その点、一般的な配列を採用しているYOGA 910だと入力ミスが減るように思う。

ただし、矢印キーが一段下がっていないし、Enterキーに文字が食い込んでいるレイアウトも美しくない。キータッチはストロークがやや浅く感じるが、ほどほどの打ちやすさと言っていいだろう。

とても残念なのが、タッチパッドにボタンが用意されていないことだ。実用性を考えると、左右の独立したボタンはぜひ搭載してほしかった。

最大解像度3840×2160ドットの液晶はタッチ操作に対応しているが、16対9とワイドなのが気に入らない。タブレット的に使う際には、もっと縦が広いほうが使いやすい。

また、ウェブカメラにも欠点がある。液晶の下部分に位置しているために、下から見上げる角度で顔が写ってしまうのだ。液晶下部分のスペースもやたらに広く、画面が腰高な印象を受けるのもマイナスポイントとしたい。

Enterキーの周囲が妙なレイアウトになっている
タッチパッドはサイズこそ大きいのだが、ボタンが用意されていないのが残念

指紋センサーは縁取りがダイヤモンドカット仕上げだ
ウェブカメラは下から見上げる角度になるのが許せない

USB Type-C搭載でモバイルバッテリーから充電可能

極薄モデルらしく、YOGA 910の拡張性は最低限で、通常サイズのUSB端子を1基と、USB Type-Cを2基搭載するのみだ。外部ディスプレーへの出力にもUSB Type-C端子を利用する。最新の薄型パソコンらしい構成と言えるだろう。ただし現時点では、外部ディスプレーとの接続には各種のアダプターが必要になる。相性が悪いと使えないこともあるので注意してほしい。

バッテリー駆動時間は、カタログ値で15.9時間と十分に長い。ACアダプターもコンパクトだ。しかも、モバイルバッテリーからの充電も試したところ可能だった。完全な放電から充電完了までをテストしたわけではないが、充電中のランプが点灯したので問題はないと思う。

なお、個人的にはLTE内蔵モデルがないのは残念だ。これから登場するモバイルノートは、すべてLTEモデルが選べるようにしてほしい。

直販サイトでの購入時に選択できる構成としては、Core i7、16GBメモリー、512GBのSSDで21万6000円。さすがにハイエンドモデルだ。Core i5、8GBメモリー、256GBSSDを選択すれば16万7400円に抑えられる。記事執筆時点では、Eクーポン利用で税込み14万7312円となっていたのだが、残りは18台……。レノボのパソコンは、実際の価格がいくらなのか、買いどきがいつなのかがさっぱり分からないのが困りものだが、少なくとも14万円台なら割安感は十分にある。

とはいえ、僕が購入するなら同じレノボの「ThinkPad X1 YOGA」を選ぶ。14型液晶の360度回転モデルで重量と価格帯も近く、完全にキャラクターが重なっている。画面サイズが大きいモバイルノートはメインマシンとしても使えるだけに、格好の良さよりも拡張性の高さ、キーの打ちやすさを求めたいのだ。

拡張性は最近の薄型ノートらしく、USB Type-Cポートが軸になる。外部ディスプレーへの出力もUSB Type-C経由になる
戸田覚(とだ・さとる)
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2017年2月7日付の記事を再構成]

MONO TRENDY連載記事一覧