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介護保険料に「総報酬制」 人数から収入連動に

2017/2/28

健保組合は負担増になるところが多い

 2017年度から会社員が支払う介護保険料に、収入連動の新方式が導入されると聞きました。保険料が大きく増える健康保険組合もあるとか。どんな仕組みか教えてください。

 介護保険の給付費は半分を国や自治体が負担し、残り半分を65歳以上の第1号被保険者(22%)と40~64歳の第2号被保険者(28%)の保険料で賄っている。

 第2号の保険料は健康保険組合などの医療保険を通じて納めるが、その金額は国が各組合に割り当てている。割当額は加入する第2号の人数(加入者割)で決めていたが、第2号の収入の総額(総報酬割)に変えていくのが今回の趣旨だ。

 総報酬割の導入は今年8月から。年度途中の実施となる17年度は総額の3分の1、18年度2分の1、19年度4分の3と増やし、20年度に全面導入する予定だ。

 医療保険は会社員が加入する健保組合、公務員の共済組合、中小企業の社員が入る全国健康保険協会(協会けんぽ)、そして自営業者らの国民健康保険に大きく分かれる。介護保険料はこれらに加入する第2号被保険者が支払うが、総報酬割は国保以外の被保険者に適用される。

 まず各健保、各共済、協会けんぽの第2号被保険者の年間の給与などの報酬(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の合計額(総報酬額)を算出する。そして、すべての組合の合計額に対する各組合の総報酬額に応じて負担を割り当てる。負担のばらつきは平準化されるが、給与水準が高い被保険者が集まる組合では負担増になり、逆に低い被保険者が多い組合では減るところが出てくる。

 厚生労働省の試算では、1030の健保と84の共済で負担が増え、379の健保と1つの共済、協会けんぽで負担が減る。被保険者数では負担増1272万人に対して負担減は1653万人。減るのはほとんどが協会けんぽ(1437万人)だ。これに伴い、協会けんぽに対して国が拠出していた補助金はなくなる。

 健保の中でも差は大きく、月額5125円(労使合計)の1人あたりの負担額が、同1万793円と2倍以上に増えるところもあれば、3465円と約7割に減るところもある。

 2000年の介護保険スタート時は保険料は低かったが、その後、給付額の増加で保険料は上昇。負担の公平性を議論する中で、報酬が少ないところと多いところで負担割合が異なる加入者割から総報酬割への移行が決まった。

 国は各健保などに負担額を割り当てるが、集め方はそれぞれに任せている。増加分を財政のやり繰りで吸収し、すべてを保険料に転嫁しない組合もあるかもしれない。総報酬割は健康保険の一部で負担する「後期高齢者支援金」でもすでに段階的に導入されている(17年度に全面実施)。中には給付費や事務費の削減で負担増を補った組合もあったという。

[日本経済新聞朝刊2月22日付]

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