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新任マネジャーに贈る、心を開くビジネスマナー

2017/2/27

PIXTA

 春は人事の季節。「女性活躍推進」の風を受けて新しく誕生する女性管理職も多いことでしょう。今回は管理職・マネジャーにとって大切なビジネスマナーとは何かをマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。

■好き嫌いを超えて気持ちをニュートラルに

 ビジネスマナーの基本は、マネジャーになったからといって変わりません。ただ、部下から認めてもらい、指示や注意を受け入れて行動してもらうためにはまず自分自身が基礎・基本を徹底できている必要があります。

 マナーの5原則は「表情、態度、あいさつ、言葉、身だしなみ」です。私のところに相談にこられる女性マネジャーの方たちがよくおっしゃるのが「自分ではやっているつもりなのに」という言葉です。でも、部下は上司のことをものすごくよく見ているものです。この基本の原則に関しては、まずは自分がお手本を示すというくらい徹底した意識を持つことです。

 表情や態度には心のうちが表れます。上に立つ人にとって特に重要なのが、好き嫌いをなくすことです。部下には当然さまざまなタイプがいます。だれでも何となく気を使う人、やりにくい人、逆に気の合う人、やりやすい人がいるでしょう。自分が忙しいときは特に、やりにくいタイプとは距離を置きたくなるもの。でもそういう相手ほど自分にはないものを持っているものです。その人がいないと成立しないプロジェクトもあるでしょう。

 ですから上に立つ人は、好き嫌いとか気が合う・合わないなどの感情を超越して気持ちをニュートラルにしなくてはいけません。マネジャーはチームの監督であり指揮者です。指揮者がバイオリンばかり見ていたらオーケストラが成立しませんよね。難しいことではありますが、その目的、ゴールを達成するためのプロジェクトであり、それを遂行することも仕事です。広く深く大きな視野で相手や物事を見ていくように心がけるとよろしいかと思います。

 また、人にはそれぞれのキャラクターというものがあります。マネジャーがしっかりしすぎていると、部下や後輩が育たないという面もあります。肩肘を張りすぎずに、自然体で。時には自分のダメな部分、足りない部分を最初からさらけ出して伝えてもいいと思います。完璧であろうと努力することは良いことです。しかし、完璧な人などはいないのですから。特に周囲の期待も集めている新任マネジャーであれば、「○○はちょっと苦手なので、フォローをお願いしますね」などと、自分からコミュニケーションをとり、受け入れてもらえる自分になることが大切です。結果、あなた自身が楽になります。

■「心を開いている」ことを相手に伝える手法

 言葉遣いはとても重要です。こちらが伝えることを受け入れ、行動してもらうためには、何よりも相手に心を開いてもらわなければなりません。

 例えば何か注意をしなくてはいけないときは、以前「ネガティブなことを伝えるときのビジネスマナー」(2016年8月2日公開)でお伝えした「ハンバーガー話法」で。まず「褒める(プラス)」ことで心を開かせ、次に「注意する(マイナス)」。そして「励ます(プラス×2)」という話し方です。また、特に若い人に対しては、普段はやさしくても注意するときは厳しくと、ギャップを見せるのも効果的なようです。

 そして、これは面倒だと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、褒める、感謝を伝えることはとても大事です。「ありがとう」の一言で救われることもあります。対面でできないときはメールでもかまいません。そして、もし自分の判断など、間違いがあった場合には、素直に率直に礼を尽くして謝ることです。

 相手に心を開いてもらうためには、こちらが先に心を開いていることを伝えなくてはなりません。日ごろのあいさつもそのためのものです。「おはよう」「お疲れさま」「助かるわ」「ありがとう」などの言葉は必須です。

 また、言葉以外の動作でも、心を開いていることを、サインとして伝えることができます。そのひとつが、手のひらを上にしておくこと。これは、相手と話すときなどに自分の手のひらをあえて上向きにすることで、相手は自分を受け入れてもらっているという気持ちになるため、心を開きやすくなります。

 中国では手のひらを「陽」、手の甲を「陰」と考えるといいます。例えば、お行儀よくひざの上で手を重ねると、普通は手の甲が上になっていると思いますが、あえて手のひらを上に向けて手を重ねると、相手に対して心を開いていますよ、あなたの考えや思いを受け入れますよ、という無意識のメッセージになります。お釈迦(しゃか)さまの座禅を組んだ手のひらも、上を向いていますね。

 さらに欧米では、相手の心に入り込みたいときは相手の体の左側に位置するといいといわれています。これは心臓が左側にあることと関係しているのかもしれません。自分の左側から入ってくるものは、受け入れやすい気になります。私も、部下に指導をするときや自分の意見を受け入れてもらいたいとき、商談のときなどには相手の左側に位置するようにしています。これは、プライベートの人間関係でも有効です。

■基本のマナーを押さえた上で自分らしさの表現を

 身だしなみという点では、服装のTPPPO(Time, Place, Person, Position, Occasion)をわきまえること。特に、冠婚葬祭のマナーの基本をきちんと知っておくこと。これは自分にとっても必要な知識ですが、部下に適切なアドバイスができるようにという意味においても大切なことです。

 また、マネジャーになると人前で話す機会も増えることでしょう。話をするときの服装、ヘアメーク、姿勢、表情、声のトーン、目線の動かし方、間の取り方などなど。これを機に、自分の立ち姿や話し方をもっと能動的にするために研究してみることもよろしいかもしれませんね。マネジャーになったのをきっかけに自分磨きを始める方もたくさんいらっしゃいます。

 基本を身につけた上で自分なりに型をくずしていくマナーの「守・破・離」もマネジャークラスの方なら可能でしょう。自分の人間力を表現する「型」としてマナーを生かすことで、周囲の人たちと良い関係を築いていけると同時に、自分自身にもさらに磨きがかかるわけですから一石二鳥ですね。自分がプラスに変わることで、周囲もプラスに変化します。その結果、仕事の場にもより大きな価値が生まれることでしょう。

西出ひろ子
 マナーコンサルタント・美道家。英国の民間企業WitH Ltd.ウイズ・リミテッド日本支社代表を務めたのち、ヒロコマナーグループの代表として、ウイズ株式会社、HIROKO ROSE株式会社、一般社団法人マナー教育推進協会を設立。企業や教育機関における研修・コンサルティング、マナーを軸に健康、美容、ファッションなどトータルな人材育成、人材プロデュースも行う。「日本文化を気軽に日常に!」をコンセプトにMade in JAPANのフォーマルバッグをプロデュース。著書は70冊以上、近著は『運のいい人のマナー』(清流出版)。

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