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業績が思うようにつくれないとか、不運やミスが重なって責任が果たせないというような仕事上のスランプは誰にでもやってきます。そんな時にどんな対応を取るのかという行動習慣が、ときにその人の業務遂行能力をあらわにしてしまうことがあります。特に、人をマネジメントする立場になると、上司・部下・顧客など360度、多様な角度からの評価を受けることになります。

今回は、マネジャーが気をつけておきたい一つの観点についてお話しします。

「なんでアイツがうちの部署に来たのか?」と呪う課長

私の前職時代の取引先(といっても顧客というよりは事業パートナーに近いのですが)に、Aさんという営業課長がいました。当時30代後半。新人時代から営業で素晴らしい成績を残して、30代前半で同期の中で一番先にマネジャーに昇格したということでした。仕事でのお付き合いが数年間あり、四半期の変わり目や忘年会やプロジェクト関係者の送別会など、飲みに行く機会も何度かありました。その中で一度だけ、その場にいたメンバー全員が「ドン引き」するような事件が起きたのです。

私自身もまだ若手リーダー時代のかなり古い話なので記憶がやや不明瞭なのですが、たしか上半期の業績の結果がわかるタイミングで、Aさんが率いる課の売り上げ目標がどうしようもないくらいの達成率で終わったという状況でした。なおかつ、その前の半期もひどい業績だったので、1年間連続でどん底の業績が続き、社内の組織別の売り上げランキングでも最下位になりそうだという話だったと思います。

普段よりハイペースで飲んでいたAさんは、途中から急に青ざめた表情になって、突然、人が変わったように悪態をつき始めました。

「なんでアイツがうちの部署に来たのか、まったく意味がわからんのですよ。アイツのせいでうちの課はムチャクチャになってしまった。とんでもない疫病神ですよ」

アイツと呼ばれていたのはAさんの直属の部下の営業リーダーBさんで、プロジェクトでもご一緒することが多かったベテラン営業マンでした。営業にしてはややおとなしそうなキャラクターではあるものの、我々から見た目には好青年で、まったく悪い印象がある人ではありません。

そこから小一時間あまり延々と続いた悪態、悪口の限りに辟易(へきえき)して、結局その日は早めに解散、泥酔したAさんをタクシーに乗せて家に帰しました。

後でAさんの同僚マネジャーCさんに話を聞くと、AさんとBさんは違う部署にいたころのトラブルがきっかけで相性がよくなかったらしく、その相手がよりによって同じ部署に配属されてから、さらに悪化していったようです。上司と部下の関係とはいえ、Bさんの年齢はAさんと近く(浪人か留年のせいで年齢は同じだが入社が1年違いの先輩・後輩というパターンだったと思います)、ライバル関係的なことがあったのかもしれません。

しかし、

「アイツのせいでうちの課の業績が上がらない」

「アイツのせいでチームの和も乱れてまとまらなくなった」

と、業績不振を、あからさまに部下の責任にする上司を初めて目撃して、私自身にとっても衝撃的なできごとでした。

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