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人気ゲームが韓国進出 「シャドウバース」の戦略

2017/2/28

韓国市場開拓へ意気込む(左から)木村氏、小布施氏、金氏

サイゲームス(東京・渋谷)が人気のスマートフォン(スマホ)向けカードゲーム「シャドウバース」の韓国語版の配信を2月7日に始めた。日本語版と英語版の開始以来、半年で600万ダウンロードを超え、順調にユーザーを増やしている。シャドウバースの現状と韓国市場攻略策をキーマンに聞いた。

■開始半年で600万ダウンロード

――シャドウバースのダウンロード数は2016年12月に600万を突破しました。大ヒット作「グランブルーファンタジー(グラブル)」が1年7カ月かかったのに比べても速いペースです。うまくいった要因をどう分析していますか。

木村唯人常務

木村唯人常務(シャドウバースのプロデューサー)「ある意味ではニッチなジャンルだと思っていて、出してから1年くらいかけてカードゲームの楽しさを広げていこうと考えていた。思いのほか、スマホゲームのユーザーが複雑なゲームを求めていて一気に受け入れられた。いままでいろんなゲームが出てきて、みなさんのゲームの理解度のレベルが全体的に上がっている。シャドウバースはちょっと難しめのゲームだが、すんなり入れる土壌ができていたのもうれしい誤算だ」

「ほかのゲームタイトルでCMを出していて、サイゲームス自体の認知度も『グラブル』を出した当時に比べ上がっていたのも大きい」

――(ゲームをスポーツ競技に見立てる)eスポーツとしての展開はどうですか。

「eスポーツ的な展開も並行して行っており、お店で大会を開くのをサポートしている。それとは別に大きな大会にも取り上げてもらっている。(複数ジャンルのゲーム最強王者を決める)RAGE(レイジ)やファミ通カップなど大規模な賞金制大会も開かれ、浸透はすすんでいる」

広報チームの小布施祐佳氏

小布施祐佳氏(広報チーム)「やはり大会になると開くほうも参加するほうも身構えてしまう壁がある。イベントサポートは10~15人くらいから開催できるようになっている。開催する際にマニュアルや告知用のポスターを提供し、シャドウバースの公式ツイッターで告知するなどの支援をしてきた。盛り上がりが各地で広がっている」

――韓国語版の配信が始まりました。これまで日本のゲーム企業は韓国市場の攻略に苦戦してきましたが、苦戦の原因をどうみていますか。

金瑞香執行役員(アジア市場担当)「まず韓国はゲーム大国。人口は日本の3分の1だが、人口比で考えると市場は大きい。ネクソンやNCソフトなど大きなゲーム企業との競争が激しい」

「それ以上に(日本のゲーム会社は)ユーザーサービスの面で後れをとってきた。スマホゲームはゲーム内のイベントを通してユーザーに楽しんでもらう。リソースの問題で日本と韓国でイベントの開催頻度や濃さに差が生まれる。ユーザーからすると『日本ではあんなに活発にイベントを開いているのに、なぜ韓国ではしてくれないんだ』といったような不満が生じる。韓国はゲームユーザー同士のコミュニティーが非常に発達しており、ユーザーに不公平感や不平等感があるとネガティブな意見が広がり、ユーザー離れが起きるという悪循環が起きていた。日本企業はユーザーサービスという点で今まで十分に対応できていなかった」

■「現地化」すすめ普及へ

――攻略のためのどんな策をとっていますか。

執行役員の金瑞香氏

金氏「韓国進出にあたって重要なのはローカライズ(現地化)だ。言語という単純なくくりではなく、ユーザーサービスでローカライズをすすめる。シャドウバースはグローバル・ワン・ビルトで作られており、ゲーム内のイベントは全世界で同時に進行される。韓国のユーザーも不公平感を感じないようになっている。日本で大規模な賞金制の大会が開催されているので、こちらもしっかりと策を立てていきたい」

「eスポーツも重要なキーワードになる。韓国ではeスポーツの浸透度が高い。この文化はシャドウバースの普及の助けになるだろう」

――社内の体制も見直しました。

金氏「海外事業部を2月1日に立ち上げた。日本ではノウハウがたまっているが、海外ではたまっていない面もある。ローカライズやマーケティング、PRが垣根なくやれる組織にして、積極的にスピード感をもってできる体制にした」

「事業部は40人。言語のローカライズに力を入れている。外注に出す会社も多いが、当社は必ず社内で各言語をチェックする体制にしている」

小布施氏「当社はゲームが本当に好きな社員が多い。ローカライズの部分でも外注よりなるべく自社の中で意見交換しながら作っていくことを重視している」

木村氏「音声もローカライズしている。日本のゲームでは珍しい。字幕だけというのも多いが、シャドウバースは音声も韓国語にした」

金氏「近く繁体字版の配信も始まる。台湾のコミケにも初出展した。多くのユーザーに足を運んでもらった」

■「日韓戦」開催も

韓国語版「シャドウバース」の画面

――当面の目標はなんですか。

木村氏「事前登録は30万ダウンロードを超えている。韓国語版はアプリのダウンロードの人気ランキングでiOSだとゲーム部門3位、全体で8位に入っている。アンドロイドも14位に入っている。トップセールス10位内が目標だ。100万ダウンロードは軽くいけそうな気もする」

小布施氏「数字的な目標とは別に韓国内の大会はもちろん、年内の近いうちに日韓戦を開きたい。国際大会を開催したい」

――木村常務は「グランブルーファンタジー」のプロデューサーにも復帰しました。大きなタイトルを複数抱えるのは大変ではないですか。

木村氏「グラブル以外にももっとやっている。昔、開発や運営をやっていたのでよく分かっているゲームだ。忙しいが、横断的に多くのゲームをみているのでシナジーを出しやすいという面もある」

「このゲームは10年は続けるように作ったゲームだ。全世界のDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)も100万人以上と高い水準だ。韓国でのシャドウバースの出足も好調で手応えを感じている」

▼シャドウバースとは スマートフォンでプレーできる対戦型オンラインゲーム。ユーザーはそれぞれが用意したデッキを用い、別のユーザーと1対1でバトルする。バトルではユーザーは交互にターンを行い、フォロワーを召喚して攻撃したり、スペルやアミュレットでフォロワーを支援したりする。対戦相手の体力をゼロにすれば勝利となる。現在、日本語版と英語版で全世界 150カ国以上で展開している。

(村野孝直)

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