アイロン嫌いの救世主 人気「衣類スチーマー」の実力
ビジネスパーソンにとって、しわのないスーツやシャツを着用するのは最低限のマナー。しかし、アイロンがけは面倒くさい……。そんなジレンマを解決してくれるのが、人気上昇中の衣類スチーマーだ。今回は、その中からおすすめの3点を紹介する。
アイロンより先に買うべきは衣類スチーマー
清潔感のあるスーツや洋服を着用することは、ビジネスで成功したい人が心がけるべき最低条件。どんなに仕事ができたとしても、スーツにしわがあったり不潔にしていたりしたら、それだけで自身の評価を下げることになりかねない。異動の季節で初対面の人と会う機会が増える新年度だからこそ、特に第一印象には気をつけたい。
とはいえアイロンがけは実に面倒くさい。主婦の間でも、アイロンがけが好きな人はまれだといわれるほど。アイロン台を出すのが面倒だし、服に立体感があればあるほど、かえってアイロンじわもできやすい。また生地の素材によっては、当て布をしなければならず、これまたアイロンがけから気持ちが遠のく一因だろう。
そこでおすすめしたいのが、冒頭に述べた衣類スチーマーだ。これはスチーム機能に特化した衣類ケアアイテムで、最大の特徴は衣類をハンガーにかけたまましわ伸ばしができる点。アイロンのようにコツが要らず、アイロン台も出さず、ひたすらしわにスチームを当てるだけなので、誰でも簡単に使える。アイロンの購入を検討しているが、うまく使いこなす自信がないという人は、まずは衣類スチーマーを買うといいだろう。
実際、衣類スチーマーは売れている。調査会社GfKジャパン(東京・中野)の調査によると、衣類スチーマーが属する「スチーマブラシ」カテゴリーの家電量販店における販売は、2016年、数量、金額ともに前年比1.6倍と好調だった。アイロンとスチーマブラシの販売数量比率も、2015年は80対20だったのに対し、2016年は69対31と、需要が移行しているのがうかがえるという。
衣類スチーマーが役立つのは、しわ伸ばしだけではない。スチームには繊維に吸着したニオイを吸収して放出する作用があることから、消臭効果も期待できる。特にスーツは自宅で洗えないものが多いため、汗やたばこ、食べ物のニオイが気になるが、そんな不快なニオイも、しわ伸ばしついでに消せるというわけだ。
今回は、そんな衣類ケアが気軽にできる衣類スチーマーを3点紹介する。
パナソニック「衣類スチーマー NI-FS470」/コンパクトかつ軽量で出張にも便利
2013年に初代衣類スチーマーを販売して以来、右肩上がりで売り上げを伸ばし、2016年8月には累計出荷台数100万台を突破した人気商品。1分間に約11グラムのスチームが噴射して、衣類のしわを伸ばしてくれる。30~50秒でスピーディーに立ち上がり、質量約690グラムと軽いのも、手軽に使いたくなる要因だ。
旧モデルは構造上、右に傾けるとスチームが出にくかったが、最新モデルは左右どちらに傾けても使えるようになったことで、稼働範囲が360度に広がった。そのため右に傾けることが多い左利きの人も使いやすくなっている。さらにスチームを噴射するトリガーが押しやすくなったのも新モデルの特徴だ。
アイロン面がフラットなため、パンツなどはアイロンのようにプレスして折り目を付けることも可能。衣類に密着させて使うことで、除菌やダニ・花粉などのアレル物質対策にもなるという。バッグにすっぽり収まるコンパクトサイズなので、出張が多いビジネスパーソンやスタイリストたちの間では定番となりつつあるスチーマーだ。
ティファール「アクセススチーム DR8085J0」/毎分23gの大量スチームが短時間にしわをケア
アイロンにおいては80年の歴史があるティファール(※)から、2016年9月に登場した衣類スチーマー(※「ティファール」が属するグループセブのアイロンの歴史)。ハンディーながらスピーディーに衣類ケアできると早くも注目が集まっている。特徴は、最大23グラム/分というたっぷりのスチーム量。スチーム面も広いため、シャツなら約2分、ジャケットなら約2分45分でケアできるという。また18分間連続噴射できるので、衣類ケアの途中でスチームが出なくなる心配も無用だ。
グリップが握りやすい形状のうえ、トリガーロックを使えば、ボタンを押し続けなくてもスチームの連続噴射が可能。コードも約3メートルと長いため、衣類だけでなく、カーテンやカーペット、布団、ソファの除菌、消臭、花粉・ダニ対策など、家中の布製品のケアにも重宝する。持ち歩きには向かないが、たっぷりスチームで手軽に衣類ケアしたい人におすすめだ。
コンエアージャパン「デュアル パワー スチーマー GS-88J」/高温高圧スチームを60分連続噴射
衣類用に特化した、より本格的なスタンドタイプのスチームアイロン。ハンガー型になっているため、ジャケットやズボン、スカートなどを直接かけて使用できる。タンクとかけ面のスチームノズルで2度加熱する「デュアルヒーター」搭載で温度が下がりにくく、常に高温高圧でスチーム噴射が可能。しかも連続運転は約60分と、まさに業務用レベルの性能を誇る。
さらにズボンなどのプレスができる「部分仕上げモード」も搭載。モードを切り替え、スチームノズルのプレス板部分に衣類を挟むと、挟んだ部分からスチームが出てズボンプレスが気軽にできる。ハンディータイプに比べると、かなり大がかりではあるが、使わないときはポールを縮めて収納も可能。アイロンを使わず、スーツをビシッと決めたいなら検討したい製品だ。
三者三様の衣類スチーマー、こんな人にオススメ
以上、3種類の衣類スチーマーを紹介したが、それぞれ形も特徴も大きく異なる。
軽量かつコンパクトなパナソニックのNI-FS470は邪魔にならないサイズなので、出しっ放しにして頻繁に使いたい人にオススメ。出張先でのスーツやシャツのしわが気になるという人にも最適だ。ハンディーながらスチーム量が多いティファールのDR8085J0は、アイロンより手軽に、でもしっかりしわは取りたい人向け。一度にまとめて数枚の衣類を手入れするという使い方に合う。コンエアージャパンのGS-88Jはパワフルスチームが60分間持続するので、大量の衣類をまとめてケアしたい人、アイロン並みの仕上げを求める人に向いている。
コードレススティック掃除機の選び方(「一人暮らしなら出しっ放しで 魅せるスティック掃除機」)でも書いたが、どんなに高性能な家電を購入しても、押し入れにしまいっぱなしでは意味がない。自分に合った1台を選び、しわのないすっきりとした衣服で新年度を迎えてほしい。
(家電ライター 田中真紀子)
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