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会社員、経費申告で税還付 領収書こまめに保存

2017/2/21

 税金が給料から天引きされる会社員も、確定申告をすることで税金の払い戻しを受けられる仕組みがいくつかある。その一つが「特定支出控除」。あまり知られていないが、仕事のために自分で払った費用を申告すると節税の余地がある。金額面などで制約はあるものの、将来の節税に備え、どんな仕組みかを見てみよう。

 所得税や住民税の額を計算するとき、業務上必要な経費は収入から差し引くことができる。この必要経費が多ければ、その分、納めるべき所得税・住民税額は少なくなる。自営業者は実際に支払った経費を自分で集計して確定申告する。

 サラリーマンなどの給与所得者にも、必要経費に相当する仕組みがある。

 年間の給与収入の水準に応じて一定額が、必要経費分として収入から差し引かれる(計算式は図参照)。「給与所得控除」といい、勤務先が税額の計算に反映させている。この仕組みがあるから、サラリーマンは経費の領収書を保存したり確定申告をしたりしなくてすむ。

 だが実際には、給与所得控除の金額より多くの経費が必要となり、自分で払うケースもありうる。そこで設けられている仕組みが「特定支出控除」だ。仕事で実際に支払った費用が一定額を超えたら、確定申告することで、所得税額が再計算され、払い過ぎていた税金が還付(払い戻し)される。

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 この控除について知っている会社員はさほど多くないだろう。税理士の望月茂氏によると、「支出の範囲や金額の制限もあり利用者は限られる」と話す。「申告の際、領収書とは別に、会社からの証明書を提出する必要があることも要因」という。

 ただし、2013年分から、控除が適用される支出の範囲や金額が拡大され、それまでより利用しやすくなっている。ではどんな費目が、特定支出として認められるのか。対象を図に示している。

 例えば業務に必要な資格を取るために専門学校などに通い、授業料を自費でまかなったケースがあてはまる。技術や知識を得るために通ったセミナー費用も対象。このほか図書の購入費や、仕事場で着る背広や制服などの購入費、得意先との交際費といった費目も含まれる。

 もちろん、すでに勤務先から金銭面で補助を受けていれば、その分は控除対象から除かれる。資格取得については、雇用保険制度に教育訓練給付金という補助があり、給付を受けていれば、その分は除外する。

 勤務先から支給されるのが一般的である通勤費や、単身赴任者が自宅との往復時に使う旅費(帰宅旅費)も、ケースによって控除の対象になる。「新幹線で通勤しており、会社から支給される通勤手当以上に交通費がかかっている場合が考えられる」と望月氏は話す。

 外資系企業などで、通勤手当や帰宅旅費が会社から支給されないというケースでも利用できる。望月氏は「弁護士や税理士といった資格を取る際も控除を活用できるケースがある」という。一つの費目では無理でも、複数の費目を合算すれば活用できることがあるかもしれない。

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 控除の計算で収入から差し引けるのは、給与所得控除額の2分の1を超えた分()。仮に実際に払った特定支出が年間合計で120万円だったとする。年収が800万円なら給与所得控除額は200万円。その2分の1を超えている20万円分を収入(給与所得控除後)から、さらに差し引けるという流れだ。

 ちなみに、自分の給与所得控除の額は、年収がわかれば計算できるが、源泉徴収票に記されている「支払金額」から「給与所得控除後の金額」を差し引くことでも求めることができる。

 確定申告の際に提出する書式は「特定支出に関する明細書」など。支出額を証明する領収書や、給与支払者(会社)による証明書を添える。証明書の書式は、国税庁のサイトからダウンロードできる。

 例えば資格取得費であれば、資格名などを記入して勤務先の担当部署に提出。職務上必要だった旨を証明してもらうためハンコを押してもらう。帰宅旅費については移動に使った駅や空港の窓口などでダウンロード書式により証明を受ける。

 特定支出に該当する支出があるかないか、あった場合にその金額がいくらになるかは、1年が終わってみないとわからない。サラリーマンも経費感覚を持って、領収書をこまめに保存しておくとよいだろう。

(ファイナンシャルプランナー 馬養 雅子)

[日経プラスワン2017年2月18日付]

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