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過重労働が大きな社会問題となるなか、『震源地』の電通が働き方改革に奔走している。「労働環境の改善」へ向けて人員増強や機械化を推進するため、2017年12月期は単体の純利益が31%減となる見通しだ。山本敏博社長は14日の決算記者会見で、「仕事量を無理して追いかけるより、社員の心身の健康を優先する」と明言した。まず問題の解決には成長が続くインターネット広告を取り巻く過酷な労働環境の改善こそが不可欠といえそうだ。

仕事の質と社員の健康がトレードオフになる

電通は17年12月期、働き方改革を進めるために70億円を投資する計画だ。その柱は「増員と機械化による業務体制の充実」「デジタル体制の強化」「顧客向けのマーケティング投資」の3つ。「増員」は200人以上の緊急増員と、中長期的な視点に基づいた採用の両方をにらみ、25億円を投じる。

こうした取り組みなどから、17年12月期の連結業績予想では、国内事業の売り上げを前年比0.8%減と見込む。減収減益もいとわず、労働環境を改善して「現状の業績が踊り場となっても、持続的で中長期的な成長を選ぶことを決めた」(山本社長)という。

山本社長は決算発表の席上、2015年12月に過労自殺した新入女性社員、高橋まつりさん(当時24)について、「先輩社員として痛恨の極み」とした。過重労働の原因については、「あくまで私見」とした上で、「仕事の最前線で、法令順守や一人ひとりの社員の健康を守ることが、仕事の品質や顧客からの評価、業績の向上と『トレードオフ』の関係になりがちだった。その危険性をわれわれ経営陣が認識しきれていなかった」と語った。

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