ネット広告業務は作業量が膨大

決算会見で語る電通の山本敏博社長 (14日、都内で)

「当社に内在する問題は、複数の問題がからみあっている」。山本社長は決算会見で、こう繰り返した。その問題の一つは、高橋さんも担当していた「ネット広告」が抱える構造的な問題だろう。2016年12月期、電通グループのデジタル領域の売上総利益は全体の37%を占める。海外事業では52%を超える大きさだ。

国内広告費の約2割を占めるなど、成長を続けるネット広告市場だが、労働環境は過酷だ。ネット広告は新聞やテレビなどの「マス広告」に比べて、作業量が圧倒的に多いという。

ページ閲覧件数や表示した広告のクリック数だけでなく、どれだけ顧客の購買や資料請求などに結びついたかまで、効果が数字で明確にわかることがネット広告の特徴。広告代理店のデジタル広告の担当者は、掲載した広告の結果を毎日顧客に報告し、結果が悪ければその都度施策を変える「PDCA」(計画、実行、評価、改善)を毎日繰り返すことになる。

残業100時間超すネット広告専業も

ネット広告専業大手に勤める20歳代の男性社員は、「残業時間は毎月100時間を超える。しかも、顧客とは交流サイトサービス(SNS)でつながっているから、自宅でも連絡があればすぐ仕事」と語り、勤怠表に書かれることのない『残業』に苦しむ。

しかも、総合代理店に比べてネット広告専業の給与は低い。「給与は月額25万円程度。離職率は非常に高い」(関係者)という。昨年まで大手広告代理店に勤務していた男性は「ネット広告業務は、現代の女工哀史」と、その過酷さを例えた。

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