お金には「魔力」がある 生かすも殺すも経営次第ダイタングループ会長 丹道夫氏(下)

飲食チェーンの多くは「今年の出店目標は何店」と決めて、それをいっぺんに達成しようとするでしょう。でも、僕はしない。出店のペースはゆっくりでいい。

というのも、立ち食いそばは予定が立たないんです。いい物件はめったに出ないから。辺鄙(へんぴ)なところにお店を出しても、誰も振り向いてくれません。ステーキだったら来るかもしれないよ。だけど、立ち食いそばですから。「あったらいいな」という場所になかったら、誰も食べに来ませんよ。

基本は駅から近くて、人通りの多いところ。出店に関しては、今でも必ず僕が最終判断しています。案件が上がってきたら、必ず見に行く。ダメなところはすぐにわかります。何秒とかからずに「ここはダメ」と判断するから、みんな「瞬殺だ」って笑います。

どうしてわかるのかと言えば、これはもう経験です。小さい店舗でも、店を1つ出したら5000万円は吹き飛ぶ。5000万円もうけようと思ったら、大変ですよ。下手をすると、店が潰れちゃう。だからいいところにしか出せないし、ここの判断は非常にむつかしいの。

これまで赤字で撤退した店はひとつもありません。飲食店で前年比を上回る売り上げをあげるってことは、店も清潔に、サービスも良くして、味も良くして、という努力のたまものなんです。戦争がない限り、景気がいいだの、悪いだの言いながらも、文化は進んでいく。文化が進めば、人はよりおいしいものを求めます。人間の舌も成長するからね。だから、安くておいしいものを出し続ければ、この商売は続くと思う。

雨が降ったら傘になるのが経営だ

だまされたことですか? そりゃあ、たくさんあります。過去には、売上金を持ち逃げされたことも何度もありました。だから、うちは券売機を置いているの。

お金には魔力があります。人間は弱いから、目の前にお金があったら欲しくなる。そういう欲望を起こさせないようにしなくちゃいけない。それが経営でしょ?

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