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超薄・発色で本命 有機ELテレビ発売ラッシュの正体

西田宗千佳のデジタル未来図

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NIKKEI STYLE

東芝は、2017年2月末にも同社としては初の有機EL(OLED)テレビとなる「REGZA X910」を発売する。国内家電メーカーのうち、ソニーパナソニックは、1月に米ラスベガスで開催されたテクノロジー関連展示会「CES」にて、有機ELテレビを発表済み。日本市場向けのアナウンスはこれからだが、両社ともに日本市場でも展開することを確約している。海外メーカーでは、すでにLGエレクトロニクスが日本でも商品を展開しており、国内メーカーはそれを追いかける格好になる。

有機EL搭載スマートフォン(スマホ)はもはや珍しくない。2017年に登場する見込みの次期iPhoneに搭載されるという噂も根強い。噂の真偽はともかく、今年はスマホへの有機EL採用が、さらに広がるのは間違いない。テレビはどうなるのだろうか。

有機ELテレビ向けパネルの量産で市場が変化

有機ELがテレビに搭載されると何が良いのか?

簡単にいえば「コントラストの悪さ」「発色の濁り」「動きのキレの悪さ」という、液晶の弱点が解決されることだ。

液晶は背後からの光(バックライト)を「遮ること」によって、色をコントロールする。「光を遮る技術」と言える。その性質上、「完全な黒」を実現するのが難しく、画面のすべての領域で均一に遮るのも難しくムラが出やすい。色も濁りやすい。液晶の物理的性質から、素早い映像も苦手だ。素早い変化が苦手なことは色が混ざって見えることにもつながり、コントラストと発色を悪くする。

これに対し有機ELは、ドット一つ一つが光る「自発光」であり「黒を表現できてコントラストが上がる」。また「反応が早いので動画に強い」という特性を持つ。そのため、テレビには最適なデバイスといわれてきた。

今の有機ELテレビにもこれらの特徴はあてはまる。すなわち、黒がしっかり締まり、発色に濁りが少なく、キレの良い映像が楽しめるわけだ。だから、映画・音楽ライブなどを楽しむには、いままでの液晶テレビ以上に向いている。映像好きな人には、魅力的な製品だ。

一方で、テレビ用の巨大なパネルを製造するのは非常に困難である。赤・緑・青それぞれの色で発色する画素を使うのが理想的だが、その量産にはまだどのメーカーも成功していない。ソニーもパナソニックも、サムスン電子も失敗した。

その中で、LGディスプレーは画素の色はすべて「白」と構造を単純にした。その上に赤・緑・青そして「完全透過=白」のカラーフィルターを使うことで色を表現する。液晶におけるバックライト+液晶によるシャッターを白色の有機ELにした構造、といえる。これで量産にこぎつけた。

現在使われているテレビ向け有機ELパネルは、全てLGディスプレー製である。LGディスプレーはテレビ向け有機ELパネルの工場に大規模投資をした関係上、積極的にパネルを外販し、工場稼働率を維持する必要がある。同社の有機ELパネルの品質が向上したことに加え、そうしたビジネス上の事情もあり、2017年は有機ELテレビが増えてきた……、というわけだ。

液晶と一長一短の部分も。「液晶テレビからのノウハウ」の蓄積が重要

現状の有機ELテレビと液晶テレビを比較すると、「ハイエンドな液晶テレビに限っては」という条件がつくものの、有機ELテレビよりも液晶テレビの方が勝っている点があり「当面共存」というのがメーカー側の見方だ。

有機ELテレビの弱点は「輝度」「階調性」「焼き付き」の3点である。輝度は現状、ハイエンド液晶の製品が1000nit(ニット)を超えてきたのに対し、有機ELテレビは2017年モデルであっても800nit。液晶の方が上だ。また、暗いところにほんのり色が乗るような表現では、液晶の方が得意である。有機ELは闇夜の花火のようにコントラストが高い映像では無類の強さを発揮するものの、夏の日差しやほの暗い木陰などの表現では、まだ液晶に分がある。

また、有機ELのような自発光デバイスでは「同じ部分をずっと光らせ続ける」と輝度の劣化が進みやすい。俗にいう「焼き付き」である。特にゲームのスコア部や体力バー、PC画面のメニューなどで起きやすい現象だ。この問題を避けるために、有機ELテレビはゲーム向けのモードでは輝度を絞ることが多く、そこでも液晶との差が出る。

現状、どの有機ELテレビもLGディスプレーのパネルを使っていることから、「製品の画質も皆同じになる」と思うかもしれないが、そうではない。ここ数年、ハイエンド液晶テレビの画質が急速に向上しているが、その背景にはテレビメーカーが「画像処理エンジンの性能による差別化」に成功したことがある。ディスプレーパネルが有機ELに変わっても、画像処理エンジンの能力とノウハウが性能を決めることには変わりない。

液晶テレビで「画像処理エンジンの性能」を競い合っているパナソニック・ソニー・東芝の3社は、有機ELテレビでも、その競争を続けている。特にパナソニックは、画像処理エンジンとそのチューニングを有機ELに特化して進めており、映像製作会社で使われる「マスターモニター」にも似た、忠実な色再現に向けた開発をアピールしている。

画像処理エンジンにとっては液晶テレビと有機ELテレビは地続きの技術。各社の「絵作り傾向」も、現状のハイエンド液晶テレビを見れば、ある程度見えてくる。

「薄さ」を生かしてデザインでも差別化、ハイエンドの幅を広げる

有機ELのもうひとつの大きな特徴は「薄さ」だ。バックライトやフィルターの一部が不要になるため、液晶に比べ構造が非常にシンプルになる。スマホに有機ELが使われるのは、画質のメリット以上に薄型化できるメリットのためだ。ディスプレーが薄くできる分が、バッテリー搭載スペースの確保やデザイン自由度の向上に使われている。

テレビにおいては、デザインの自由度確保と「壁掛け」に有効だ。日本ではまだ少ないものの、テレビメーカー関係者のコメントによれば「米国市場では大型製品購入者の半数以上が壁掛けを望む」という。壁掛けにするには、パネル部を軽くする必要があり、構造がシンプルで薄い有機ELテレビは有望だ。

実際、東芝の「REGZA X910」は最薄部が6.5mmしかない。LGエレクトロニクスの2017年モデル「LG OLED TV W」は、ディスプレーの最薄部がなんと2.57mmしかない。壁にはマグネットで留めることができる。

ソニーは薄さよりもシンプルさを打ち出す。「BRAVIA A1E」は、画面のガラスそのものをスピーカーとして鳴らす構造をとり、テレビからスピーカーの姿を消してしまった。卓上カレンダーのように支えて(ここがサブウーファーになっている)立つデザインはかなり独自性が高い。

現状の有機ELテレビは高い。東芝の製品は70万円から、LGエレクトロニクスの製品も、2017年モデルは同様の価格帯と思われるし、他社も追随するだろう。現状では「もっとも高価な製品群」であり、競合するのはハイエンドの液晶テレビで、これもやはり高い。

逆に、液晶テレビの場合は安いものはぐっと安く、50型でも実売20万円を切るものもある。要は「手ごろな価格の液晶」「ハイエンドの液晶」「ハイエンドの有機EL」という3つの製品群がある、というのが今のテレビ市場であり、有機ELは「ハイエンドの選択肢を広げた」状態である。そういう意味では、「薄い」「軽い」という有機ELテレビの特徴は、前述のようにデザイン面に生かされることになる。これ以上の大画面化を進めるには、設置の面から壁掛けが望ましい、という事情もあり、有機ELテレビは「55型以上の大型」を主戦場として広がるだろう。

有機ELテレビの価格が下がるには、テレビ向け有機ELパネルの供給企業が増えることが必須である。スマホ向けの有機ELが増える、と予想されているのは、スマホ向けパネルの供給元が増え、生産量とコストが安定するからでもある。テレビにおける有機ELはまだまだその前の段階だ。

逆にいえば、画質・デザインの両面で「しばらく大きなアドバンテージが続く」のが有機ELテレビの特徴であり、そこに価値を求める人向けの市場……と理解するのがよさそうだ。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)
フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

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