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アマゾンCM「ライオン編」 好感度年間1位の理由

2017/3/7

2016年度の「作品別CM好感度ランキング」(CM総合研究所発表)で、auやソフトバンクを押さえて1位になったのは、Amazonプライムの「ライオン編」だった。本作の好感度は過去5年の比較でも最も高く、まれに見る大ヒットとなっている。

Amazonプライム「ライオン」編 ライオンのぬいぐるみがお気に入りの赤ちゃんは、ペットの犬が近づくと泣き出してしまう。そこで、パパがAmazonプライムでたてがみを買って 、ライオンに変身させると…。
「CM好感度」はCM総合研究所が1987年から実施する調査。関東1都6県在住の男女3000人のモニターが純粋想起で「好き」と回答したCMの得票数をランキング化

舞台は、赤ちゃんがいる家庭のリビング。ライオンのぬいぐるみを触ってごきげんな赤ちゃんだが、ペットの犬が近づくと泣き出してしまう。寂しそうな犬を見て、パパがAmazonで注文したのが、ライオンのたてがみのコスチューム。その日の夜、届いたたてがみを着けた犬が現れると、赤ちゃんがそっと手を伸ばす…。

有名タレントを使わずに好感度1位というのも快挙。パパ役は俳優の吉田悟郎。本作以降、野村不動産や大塚製薬「ネイチャーメイド」などのCMにも起用されている

この「ライオン編」が、なぜ、これほどの好感度を獲得したのか。要因について、アマゾンジャパンの桑田淳氏は「情報を減らすことで、伝えたいこと以上のものが伝わったのではないか」と話す。

「広告主としてはCMで伝えたいことはいっぱいあるのですが、ABCDと情報を詰め込んでも、15秒で覚えてもらえる量は決して多くない。だったら、俳句のようにABだけを伝えて、CDは想像してもらったり、感じてもらったほうがいい。頭ではなく、心に響くCMにトライしたことが良かったのかもしれません」(桑田氏)

ライオン編で訴求しているのは、「Amazonプライム」というサービス名称と「速く届く」の2点のみ。それをエモーショナルに表現したクリエイティブの力も大きいだろう。博報堂のクリエイティブディレクター・はばき節子氏は、「言葉があると、人は言葉に気を取られます。今回はみなさんに自由に想像しながら見てほしかったので、言葉やセリフをなくしたんです」と語る。

「赤ちゃん」と「動物」という好感度の高い鉄板要素を組み合わせ、誰もが共感できるようなストーリーを作り上げた点も大きいはずだ。

こうして完成したCMは、まるで短編映画のような、見応えのあるものに。昨年4月にオンエアすると、ネット上に「感動した」「心がなごむ」といった声があふれ、「たてがみをつけてみた」とペットの写真をアップする人も続出。反響を受け、年間を通して放送し続けたことも、「作品別好感度年間1位」につながった。

実はこのライオン編は、言葉がないことが幸いし、ネットで動画が世界に拡散。今ではアメリカ、イギリス、ドイツなど各国でもテレビCMとして放送されている。日本の広告界にとって快挙といえるCMだ。

16年末からは「ポニー編」の新しいCMも始まり、こちらも好評だ。

Amazonプライム「ポニー」編 16年末から放送がスタートした新CM
先輩を前に萎縮し、障害物も飛べないポニーに、インストラクターがあるものを買う……

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント!3月号の記事を再構成]

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