シニアにお得な鉄道・空の旅 企画切符や割引フル活用
JRで長距離移動する際に活用したいのが、割引サービスを付けた「企画切符」。上手に使えば、定額運賃の5分の1ほどで移動できる。一方、航空会社は特にシニア向けの割引を増やしていて見逃せない。それぞれのポイントを達人に聞いた。
「この会員証を見てください。つい昨日、JR九州のシニア限定会員になったばかり。九州新幹線が使えて3日間でたった1万6000円(税込み)。シニアになれば、こんなにいいことがある」
喜々として語るのは、今年63歳を迎えるフォトジャーナリストの櫻井寛さんだ。櫻井さんは1年の3分の2はどこかの鉄道に乗って過ごしているが、行く先々で「企画切符」を組み合わせ、お得な旅をしている。
JRの場合、企画切符の数は全部で160以上。その中から櫻井さんが8種類のお薦めを選んでくれた――。
下調べ入念に 制約に注意
「企画切符が特に充実しているのはJR四国です。『バースデイきっぷ』は誕生月の3日間、特急グリーン車が乗り放題で1万280円。3人まで同一条件で同伴できる。つまり、四国に行きたいと思ったその月に、誕生月の誰かと一緒に行けばいい」
ビギナーにお薦めは何といっても「青春18きっぷ」。年齢制限はない。利用できるのは普通・快速列車のみで、5枚つづりを5人で分け合える。その場合は1人2370円だ。「まずは青春18きっぷで鉄道旅に慣れましょう。ローカル線は不便ですが、各地で駅弁が食べられ、旅情があります」
企画切符は利用上の注意点もある。「購入できるのが利用開始日の1週間前までとか、使用エリアの主要駅でしか買えないとか、制約があることも。とにかく下調べを入念に」と櫻井さんは言う。
各社が充実 早割も狙い目
「航空会社は60歳または65歳以上を対象に、割引プランを出している。例えばJALの『当日シルバー割引』は、空港に行って空席があれば割引料金で乗れる。北海道や沖縄便も3分の1以下の安い料金でいけます」。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは話す。
プランによっては予約もできる。スターフライヤーの『スターシニア』やAIRDOの『DOシニア60』は2カ月前から、スカイマークの『シニアメイト1』は前日から予約できる。ANAの『スマートシニア空割』も最近、当日の午前0時からネット予約できるようになり、使い勝手がよくなった。
路線は限られるが、格安航空会社(LCC)も外せない。ネット上で不定期に行われるセールでは国内の主要路線が2000~3000円で販売されることもある。ピーチは60歳以上を対象にシニア割引『Active60定額運賃』を導入。行き先ごとに料金が定額で、例えば成田~関西空港間なら片道4800円だ。
このほか早割を狙うのも手だ。LCC以外の航空各社は、予約を早くすればするほど料金が安くなる割引プランを充実させている。これを利用すればシニア割引より安く旅行できることも多い。鳥海さんは「どんな割引サービスがあるかを調べて、それぞれ料金を比較検討して選びたい」と助言している。
(「日経おとなのOFF」3月号の特集「人生100年時代の逆転金持ち戦略」から再構成。文・鵜飼秀徳、井坂真紀子)
[日本経済新聞夕刊2017年2月18日付]
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