検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

シェアビジネス、起業の動機は働く女性のニーズ

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

空いている場所や使わないモノ、余った時間、自分のスキルを必要な人と共有してビジネスにつなげる「シェアリングエコノミー」。担い手として女性の起業家が目立つ。新たなサービスのなかには、働く女性のニーズを反映したものも少なくない。彼女らが起業に踏み切った背景や、原動力を追った。

ハウスキーパーと依頼主を仲介 和田幸子さん

「このチキン南蛮、ボリューム感があって見栄えしますね」。1月下旬、東京・芝公園近くのビルの一室。エプロン姿の女性たちが料理を持ち寄り、レシピ談議に花を咲かせていた。

手間をかけない時短メニューづくりなど料理のノウハウを互いに教え合う。実はハウスキーパーとして働く主婦らの勉強会の一コマだ。輪の中には、彼女たちと家事を代行してほしい共働き家庭などとを結び付けるタスカジ(東京・港)の社長、和田幸子さん(41)がいた。

タスカジは従来型の家事代行と違い、独立したハウスキーパーたちと依頼主との仲介役だ。両者が直接契約するので、互いの都合に合わせて依頼する家事の内容や日程変更などの相談もしやすい。料金は1時間当たり1500~2600円。タスカジが手数料で約2割受け取る。ハウスキーパーは400人。利用者も口コミで8500人まで増えた。

依頼主がサイトに「急なお願いに応えてくれてありがとう」などと書き込む評価が、質を保つ仕掛けの一つ。寄せられたコメントが次の契約の料金にも影響するからだ。「満足してもらうためにスキルをもっと磨きたい」という熱意がレシピ勉強会にも足を運ばせる。

共働きの家事を解決

和田さんがこのサービスに情熱を注ぐのは「共働きで忙しく働く夫婦では子育てしながらの生活は成り立たない」という切実な思いからだ。

起業する前は富士通でシステムエンジニアとして働いており、結婚・出産後も仕事は続けていきたいと考えていた。在職中にビジネススクールで学ぶ経験もし、将来の起業も意識した。

ただ、出産後、フルタイムで職場復帰すると、仕事と育児で手いっぱい。家事は後回しで、積み上がる洗濯物を見てはしゃぐ息子を目にして罪悪感に押しつぶされそうになった。「仕事や育児は他人任せにできないが、家事は誰かに頼めるはず」

そこで家事代行を探したが、満足できるサービスがなかなかない。たまたま、通っていた英語教室の先生から「個人で直接契約できるフィリピン人のプロのハウスキーパーがいるよ」と教わった。

「この出会いで世界が変わった」と和田さん。友人にも紹介したいと思い、ひらめいたのがタスカジの仕組み。インターネット経由の仲介サービスづくりにはエンジニア経験も生かせる。退職して2013年に会社を設立した。

「時短勤務からフルタイムに戻す決断の後押しになった」「断ってきた昇進に挑戦してみようと思えた」。感謝の声が支えだ。ハウスキーパー仲間にも「自分のペースで働けて助かる。頑張って続けて」と励まされる。

託児付きオフィス運営 高田麻衣子さん

仕事と育児の両立の悩みをバネにしてシェアビジネスに踏み出した女性は他にもいる。東京・世田谷。東急田園都市線の用賀駅から15分ほど歩くと、個性的な外観の「マフィス馬事公苑」がみえてくる。託児サービス付きのシェアオフィスだ。

「行ってきまーす!」。保育士に連れられて元気に散歩に出掛ける子どもたちを笑顔で見送ったオクシイ(東京・渋谷)社長の高田麻衣子さん(40)が14年に開業した。認可外保育所を併設。今では待機児童対策として保育サービスを主に利用する人もいる。

不動産業界で営業の最前線に立ち、30代で管理職になってからも、深夜まで働く日々が続いた。出産後もフルタイムで働きながら家事や育児にと駆け回っていた11年、東日本大震災が転機になった。保育所への送り迎えでも仕事でも築いていた生活のリズムが崩れ、追い詰められていった。

折しも2人目の出産から復帰して間もない時期。仕事は好きだった。ただ「自分がいなくても仕事は誰かが引き継いでまわっていくのでは」と不安もよぎる。子育てにも仕事にも中途半端になっている気がした。

子どものそばで仕事に集中

「私と同じ境遇の女性はたくさんいるはず。子どもの近くに居て、いつでも駆けつけられて、仕事もできる場所ができたらいいな」。それから3年。事業計画から物件探しまで一歩一歩準備を進めて開業にこぎつけた。

今では利用者が毎月延べ400人ほどと当初に比べ倍増。マフィスを拠点に育児休業中に資格取得の勉強をしたり、フードアナリストとして活躍したりする人まで現れ、利用者同士が交流する場にも育ちつつある。

「こんなに集中して仕事ができたのは出産してから初めて」。喜びの声を耳にするたび、共感の輪が広がっていると実感する高田さん。「子どももいる。でも仕事も諦めたくない。一時はペースを落としてもまたやり直すのが難しくない社会づくりに少しでも役立ちたい」。決意を新たにする。

生活者目線に共感 持続性が課題に

海外で先行したシェアエコノミーは日本でも空き部屋に有料で旅行客を泊める「民泊」の米エアビーアンドビーの参入などを機に関心が高まってきた。市場も広がっている。矢野経済研究所の調査では日本での2015年度の市場規模は前の年度に比べて22%増えて285億円。20年度にはさらに倍以上の600億円になると予測する。

16年に発足したシェアリングエコノミー協会には女性がトップを務める企業も名を連ねる。空き時間に仕事をしたい人と依頼したい人を結ぶサイト運営、空きスペースや駐車場の貸し借りの仲介サービスなど多岐にわたる。

「生活と仕事の両立に悩む女性から生まれた『生活者目線』のアイデアには共感が集まりやすい」。協会理事を務める子育てシェアのアズママ(横浜市)の甲田恵子社長もこう分析する。比較的少額の投資から始められるのも利点だという。

もちろん課題もある。甲田社長も「シェアサービスが増えるなかで、これからは淘汰も避けられない。持続的な事業モデルを描けているか絶えず検証していかなければならない」と自戒する。共感をビジネスとして長続きさせられるか。次のハードルはすぐそこにある。

(河野俊)

〔日本経済新聞朝刊2017年2月18日付〕

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

企業:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_