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生保、高齢契約者の所在確認に力 保険金未払い防ぐ 高齢で保険契約

2017/2/21

 相続税の節税になると勧められて一時払いの終身保険に加入しましたが、受取人に指定した子ども2人には保険のことを伝えていません。自分の死後、確実に保険金が出るのか気に掛かります。

 生命保険の死亡保険金は法定相続人1人につき500万円まで相続税がかからないため、高齢になってから節税目的で大きな契約をする場合がある。日常生活の親子関係に影響したり、受取人同士のトラブルの火種になったりしないよう、生前は保険契約の存在を伏せておく人も少なくないようだ。

 契約者が死亡しても、受取人が生命保険会社に請求の手続きをしなければ保険金は出ない。契約者が生前に時機をみて受取人に伝えるか、遺言などに記載しておけばいいのだが、契約者が認知症になるなどしてそのまま死亡すると、保険契約そのものが宙に浮いてしまいかねない。

 とりわけ一時払いなど保険料の支払いがすでに完了している契約は、保険会社も死亡に気づきにくい面がある。こうした保険金の未払いを減らすため、ここにきて生保各社が高齢契約者の所在確認に積極的に取り組んでいる。

 明治安田生命保険は2015年度に「MY長寿ご契約点検制度」を開始。90歳以上の契約者の一部1万8000人余りについて往復はがきと電話、営業職員の訪問で99.6%の所在を確認。うち契約者本人か被保険者が死亡していた契約が数百件あった。

 同社はもともと年1回、契約者に契約内容を記した確認書類を封書で郵送し、宛先不明で返送されたものについて所在確認をしてきた。しかし、この方法では仮に契約者が死亡していても「遺族がダイレクトメール(DM)と勘違いして読まずに捨てていたり、老人ホームに入って空き家になった自宅に届いたりすると、確認対象から漏れてしまう」(事務サービス企画部)という問題があった。

 一般に契約の住所が更地になっていたり、すでに他人が住んでいたりした場合、保険会社は契約者の住民票を取得して消息を探ることができる。死亡や転居の届け出があってから5年以内であれば「除票」にその記録が残っているからだ。

 ただ住民票にも手がかりがないと所在確認が難しい。住友生命保険では90歳以上の契約者のうち約5%がまだ確認できていない。

 所在不明による保険金の未払いを防ぐには、第二の連絡先を保険会社に登録しておく選択肢もある。第一生命保険は15年7月から契約者に連絡がつかない場合に受取人などに確認する制度を立ち上げ、全契約件数の半数近い633万件で登録が済んだという。

 アメリカンファミリー生命保険(アフラック)は日本郵政と提携し、郵便局員が70歳以上の契約者の所在を確認するサービスを一部地域で試行中。アフラック担当者への相談がないかどうかも質問し、保険金請求のサポートにつなげることを検討している。

 保険会社が保険金の未払いをチェックする方法にはおのずと限界がある。住所変更の手続きや第二連絡先の登録、遺言の作成など契約者の側でも万全を期しておきたい。

[日本経済新聞朝刊2017年2月15日付]

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