慰謝料、財産分与、養育費 離婚のお金の常識弁護士 志賀剛一

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Casa5-2:前回の「離婚を検討中 お金の前に知っておくべきこと」(2月9日付)で離婚の基本についてはわかりました。では、離婚の際に取り決めておくべき財産の問題、夫婦間の子どもの問題について教えてください。

 前回お話ししたように、夫婦双方の合意がない場合、最終的には裁判で離婚事由が認定されない限り、離婚は成立しません。ただし、離婚自体に双方の合意があったとしても、実務上は慰謝料や財産分与の金額、また夫婦間に子どもがいる場合には親権の存否や養育費の金額で、なかなか折り合いがつかないケースが多く見受けられます。

相場を語るのが難しい「慰謝料」

 相談を受けるなかで、誤解が最も多いのがこの「慰謝料」です。慰謝料とは、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。すなわち、自らが不貞を行った、あるいは暴力を振るったなど離婚する当事者に責任がある場合に、他方に支払うのが慰謝料であり、双方ともに何らの責任もない場合(例えば性格の不一致で協議離婚するような場合)、どちらも慰謝料を支払う必要はありません。

 また、必ず男性から女性に支払われるものだと思っている人もいるようですが、そうとは限りません。週刊誌などでは芸能人の離婚に際し、億単位の慰謝料が報じられているのを見かけることがありますが、私はそのような高額な慰謝料の案件に当たったことはありません。次にお話しする「財産分与」と混同して論じている例も少なくないように感じます(もっとも、慰謝料的財産分与という概念もあります)。

 さらに、相談者の方から「このような場合、慰謝料の相場はいくらでしょうか」と聞かれることがありますが、有責行為の態様、期間、程度、婚姻の年数、相手の職業、資産などなど、様々な要素や状況によって千差万別であり、詳しいお話を聞かずして一般的な相場を語ることはできません。ただし、私の扱った案件で慰謝料単体で金額が1000万円を超えたケースは記憶にありません。

貢献度が「財産分与」を左右

 財産分与は婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配する手続きです。基本的には「善しあし」は一切関係ありません。離婚の原因をつくった方にも請求する権利があります。

 夫婦の共同名義で購入した不動産、夫婦の共同生活に必要な家具や家電製品などが財産分与の対象となるのはもちろん、夫婦の片方の名義になっている預貯金、自動車、有価証券、保険解約返戻金、退職金など婚姻中に夫婦が協力して取得した財産といえるものであれば、すべて財産分与の対象となりえます。

 夫婦が保有する財産のうち婚姻中に取得された財産は、「共有財産」であることが推定されることになっています。「婚姻前から片方が有していた財産」と「婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産」は「特有財産」と呼ばれ、原則として財産分与の対象にはなりません。

 例えば、結婚前に妻の実家の親が買い揃えてくれた嫁入り道具のタンスや、婚姻後に親が亡くなって相続により取得した不動産などは「特有財産」に入ります。

 財産分与の割合は財産の形成や維持に、夫婦がどの程度貢献したのかという視点から決められます。分与の割合は夫婦共働きの場合も専業主婦(専業主夫)の場合も、基本的には2分の1ずつとお考え下さい。

 「専業主婦に対する財産分与割合は2~3割程度」とされていた時期がありましたが、現在は違います。夫が外で稼ぎ、妻は家で家事労働をして共同で財産を形成したということになるため、割合は平等という考え方が一般的です。この2分の1をスタートラインとして、夫婦間の個別具体的事情に応じて割合を修正していきます。

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