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キャリア女子ラブストーリー

東京は独特な場所 かけがえのない人を探して [中原聡子さん(仮名) 第4回]

2017/2/24

(写真:鈴木愛子)

こんにちは。ライターの大宮です。この記事を読んでくれているあなたはいまどこにお住まいでしょうか。大都会ですか? それとも郊外? 夜になると周囲は真っ暗になって野生動物が出没する、という場所に住んでいる人もいるかもしれません。

僕は40年前に埼玉県所沢市で生まれて、小学生のときにお隣の東京都東村山市に引っ越しました。どちらも東京のベッドタウンで、西武鉄道沿線の町。都心に比べると畑や空き地があり、一戸建ての家も多いのが特徴です。社会人になってからの一人暮らしで最も長く住んだのは東京都杉並区の西荻窪。今では文化系女子が好きな町として有名ですね。

5年前に結婚してからは、妻の仕事の都合で愛知県蒲郡市に住んでいます。低い山に囲まれていて、山の斜面ではみかんがたくさん栽培されています。かつては繊維産業と観光で栄えましたが、いまでは少しずつ人口が減っているたそがれの地方都市です。

でも、僕はこの町に親しみや懐かしさを覚えています。僕が生まれ育った所沢市と東村山市は関東平野にあるので山も海もありません。でも、雑木林やドブ川はありました。そして、いつも土の匂いがしたのです。人口は増え続けていたものの、東京23区ほどの密集度はなく、一方では駅や商店まで歩けないほどの田舎でもありませんでした。だから、いまの蒲郡市での生活になじみ深いものを感じているのかもしれません。

都内の人材紹介会社でマネジャー職に就いている中原聡子さん(仮名、42歳)は、北海道生まれの北海道育ちです(前回記事:「笑いのツボが似ている人 でも「遠距離」の壁は厚く」)。東京本社の懇願によって上京したのはわずか3年前です。東京での生活は慣れてきたものの、「ここが自分の町」だとは思えないと明かします。

■東京は「逃げ場」がある場所

「東京は日本の中でも独特な町だと思います。こんなに人口が集中しているところは他にありませんから。魅力があるから多くの人が集まっているのでしょう。でも、働こうと思えば地方でも働けるので、私は東京にずっと身を置く覚悟はできていません。たくさんの見知らぬ人がいても『いいな』と思える男性との出会いはありません」

聡子さんは「東京人が嫌いだ」と言っているわけではありません。1000万人以上もの人が全国から集まってきて形成されている大都会では、「こういう人が多い」という傾向はありませんからね。野心がある人もいれば、まったくやる気がない人もいます。心がすごく温かい人もいれば冷めきっている人もいます。

ただし、これだけ人が集まっていると、人と人との関係性には特徴があると僕は思います。良くも悪くも代替可能なこと。いくらでも逃げ場があるのです。あるグループでの人間関係が悪化してしまったら、それを切り捨てて別のグループに入ればいいだけ。学校も会社も無数にあるので、転校や転勤も容易です。この身軽さが都会の魅力だともいえるでしょう。

地方暮らしではそうはいきませんよ。気の合う人や好きな飲食店などの数は限られているため、「友だち」や「良き店」がとても貴重なのです。交流サイト(SNS)ではなく口コミであらゆる人がつながっているので、あるグループでの評判は地域全体にじわじわと広がります。人と人の関係が近くて深いし、匿名性も低いのです。

「大好きだったスキーも東京に来てからはほとんどやっていません。自家用車を持てる生活ではありませんから。代わりにヨガをやっています。会社にも友だちはいます。東京には本当にいろいろな人がいますね。でも、表面的な関係になりがちです。何でも話せるのはやっぱり地元の友だちですね」

毎朝6時半までに起きて、8時半までにオフィスに向かっている聡子さん。夜は8時ぐらいまで働いて会社を後にします。社内の人間関係は良好ですが、女性が多い職場であり、魅力的な男性はほとんどが既婚者。合コンを企画してくれる同世代もいないので、上京してから恋人はいません。

「いよいよ結婚相談所に行かないといけないかな、と考えては落ち込んだりしています。やっぱり結婚はしたいです。1人より2人のほうが、人生が豊かになる気がするから。仕事をしているといろんなストレスがありますよね。何でも話せる相手がいたら乗り越えられると思うんです」

聡子さんの結婚観には僕も共感します。親兄弟や友だちも大切だけれど、一番の味方であり人生の相棒でもあるのは配偶者です。外では絶対に話せないようなえげつない悪口も夫婦ならば共有できたりします。笑いあって慰めあってすっきりするからこそ、家の外では「いい人」でいられるんですよ。もちろん、楽しいことも2人で経験すれば喜びが増します。

恋愛経験も含めて、北海道での生活が忘れられない様子の聡子さん。東京で暮らし続ける気持ちがないことが、東京での婚活に力が入らない一因になっている気がします。

でも、僕は思うのです。気が合う人と出会うことが何よりも大事で、住む場所などは大人2人がじっくり話し合えば良き解決策がいくらでも見つかります。意外と相手もアウトドア好きで、北海道に居を構えることに大賛成するかもしれません。

結婚相談所に登録することをためらう必要はありませんし、いろんな集まりに顔を出すのもいいでしょう。失敗しても大丈夫。旅の恥と同じぐらい、大都会での恥もかき捨てですから。人間関係の取り替えがきく東京で、かけがえのない男性を見つけてください。

(「キャリア女子ラブストーリー」セカンドシーズン終わり)

大宮冬洋(おおみや・とうよう)
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/

「キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論」バックナンバー

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