検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

ゴルファー憧れのマウイ島 道楽もここに極まれり

米シアトル在住のスポーツライター 丹羽政善

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

マウイ島の旅。前編「ゴルファー憧れのハワイ・マウイ島、ウミガメの姿も」に続き、後編は世界的にもゴルフリゾートとして知られるカパルアを中心に紹介したい。前回、ウエストマウイのラハイナが元ハワイ王国の首都だったことには触れた。それは1800年代前半のことだが、ちょうど同じ頃、宣教師であり医師でもあるドワイト・ボールドウィンが布教のためラハイナを訪れ、定住した。

東京ドーム2087個分の土地を所有

後に貢献が認められると、国王から現在のカアナパリとカパルアの中間辺りの土地2675エーカーを与えられたそうだ。その後、ボールドウィン一家は、徐々に北のカパルア方面へ土地を買い足し、1902年には所有する土地の広さが約2万4000エーカーに達したという。東京ドーム1個分の広さが約11.5エーカーなので、2万4000エーカーは実に東京ドーム約2087個分となる。

その場所に農業に適していると考えたのは、ボールドウィンの次男ヘンリー。デビッド・トーマス・フレミングという園芸家と一緒にコーヒー、タロイモ、アロエ、マンゴーの栽培に乗り出し、やがてフレミングの発案でパイナップルを植えると、辺り一面にパイナップル畑が広がるのに時間はかからなかった。後にリゾート開発を考えたのは、ヘンリーの孫娘の息子にあたるコリン・キャメロン。1970年代に入ると、ゴルフ場(ベイコース、1975年開業)、テニスコート、コンドミニアムなどを建て、これが現在のカパルアリゾートの原点となる。

やがて毎年1月に米PGAのトーナメント「SBS チャンピオンズ」が行われるプランテーションコースが1991年にオープン。翌年、リッツカールトンホテルが開業するとハイエンドリゾートとして認知されるようになった。

さて、ゴルフ合宿4日目にそのプランテーションコースを回ったが、コース脇に住む陽気なビリオネアと一緒になった。

78歳の億万長者、ケタ違いの道楽

聞けば78歳だというが、ずいぶん若々しい。ラウンド後にクラブハウスでお酒をおごってくれたのは、そう言ったことに気を良くしたからかもしれないが、さりげなく、すごいことを口にする。あるホールのグリーン脇に家があると教えてくれて、そこへ行ったとき「あの左から3番目だ」と指を差した。ところがその"3番目"には傾斜を利用して上下に2つの家が建てられている。どちらかと聞けば「両方だ」。

上の方がメインで、下はオハナ(ハワイではゲストハウスの意味)だという。メインの方はベッドルームが9つもあり、オハナの方には3つ。それだけで立派な家である。庭には練習グリーンがあると話したが、60ヤードまでならアプローチショットも練習できるというから、道楽もここに極まれり、といった感じか。

ただ、それ以上にぜいたくなのはその眺望。見とれていると、横で「どうだ」とでも言わんばかり。そこからはホノカフア湾、ホノルア湾が一望でき、その先にモロカイ島が見えた。冬は、湾からさほど遠くないところにクジラが繁殖にやってくるため、海を眺めているといたるところでクジラが潮を噴き、尻尾で海面をたたいているのが分かる。また、ときに豪快にブリーチングをして、波しぶきを上げていた。

前出のキャメロンがなぜ、ここにリゾートを開発しようと考えたのか。この眺めこそが、その答えかもしれない。

ちなみにビリオネアの方は、1年のうちに4ヵ月ぐらいしか滞在しないとのこと。8ヵ月は空き家だ。

その間も、この辺りに別荘を持つと、日本でいう共益費、プールの管理、庭の手入れ費用などが月に100万円単位でかかるよう。ずいぶんもったいないが、だからこそステータスもあるのだろう。そもそもビューを遮られないよう、海側の隣の土地を買ってしまう人がいるというから、みなさん、ケタ違いのスケールである。

米国ナンバーワンのビーチ クジラも

それにしてもカパルアは息をのむような美しさを持ち、魅力あふれたリゾートだ。

リゾート内にあるリッツカールトンからビーチへ下りていくとそこには、2006年に「アメリカ・ベスト・ビーチ」でナンバーワンに選ばれたD.T・フレミングビーチがある。先ほど紹介したようにパイナップルをこの地に広めたフレミングにちなんで名付けられていて、写真を撮りにいった日は波が荒かったものの、普段は穏やかで波の音だけが聞こえる日常のけんそうとはかけ離れた世界がある。

建設前の調査でお墓がでてきたことから、そこを避けるためオリジナルの設計通りには建てられなかったリッツカールトンだが、傾斜が巧みに利用され、ここからもホノカフア湾が一望できる。海面に目を凝らせば、やはり冬から春にかけてはクジラが見えるが、そんな眺めを楽しみながら食事ができるのが「テラス」というホテルのレストラン。朝から客が絶えないが、理由はビューだけではない。

朝食の評判が良く、特にベーカリーコーナーはアメリカに長く住んでいる日本人が、日本で食べた懐かしい味を求めて訪れるほど。それもそのはず。ここのペイストリーシェフは、木津慶和さんという日本人なのである。日本では、ディズニーのアンバサダーホテル、東京のリッツカールトンなどでもシェフを務め、繊細な日本の味がカパルアでも再現され、アメリカ人にも好評だ。

最高のシェフ、木津さんの「パイナップルパフ」

いや、味そのものは、日本での経験うんぬんを超えているのかもしれない。10年から6年間、フロリダ州オーランドのリッツカールトンで働いた木津さんは、14年にアメリカでもっとも権威のあるペイストリーコンテストで優勝。「ペイストリー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれた実績を持つ。カパルアに引っ張られたのもそうしたクリエイティビティが必要とされたからだが、ある意味、日本でも食べられないペイストリーの数々が堪能できる。人気の、ローカルの食材だけで作られたパイナップルパフも彼のオリジナルだ。

そのパイナップルパフについては、裏話がある。木津さんに朝食の営業がおわってから話を伺うと、約1年半前に赴任して来たときに「ローカルの食材だけを使ったメニューを作れないか」と相談されたそう。そこでさっそく試作したが、なかなか最終的なゴーサインが出ない。理由を聞くと苦笑しながら教えてくれた。

「ホテルのGM(総支配人)はアメリカ人。ヘッドシェフはドイツ人。だから好みが違う。最終的には間をとって、ということになりましたが、何度も作り直しました」

そもそもハワイという土地は特殊なところ。当初、日本ともアメリカ本土とも違う環境に戸惑ったそうだが、今ではそれを理解している。

とはいえ、どうしてもハワイ暮らしで納得できないことがあるようだがーー。

「スキーが出来ないですからね(笑)」

景観の話から外れてしまったが、脱線ついでにもう少しハワイの"食"をたどると、リッツカールトンの西側にカパルア・ベイコースがあるが、そのクラブハウスに併設された「パイナップルグリル」も連日、多くの人でにぎわっている。店名はすでに触れたようにこの辺り一帯がパイナップル畑だったことに由来し、レストランの入り口では実際にパイナップルが栽培されている。

ハワイで食べたくなる「ポケ」

おすすめは、ランチならフィッシュタコス。ハワイやアメリカ西海岸ではおなじみだが、白身魚のフライとタコスの相性が実にいい。ボリュームもあるのでラウンド前の腹ごしらえにピッタリ。夜なら、リブアイステーキ、ポークチョップが人気。いずれも量が多いので、何人かでシェアすることをお店に伝えれば、事前に切り分けてくれる。この店のシグネチャーは、「パイナップル・アップサイドダウン・ケーキ」というデザート。パイナップル、マカデミアアイスクリーム、キャラメルラムソースが絶妙に絡み合い、ローカルの味が楽しめる。過去、20回以上も国際大会が開かれたコースを眺めながらそんなケーキを食べる、というのもなかなかない機会だ。

なお、パイナップルグリルのメニューにもあったが、ハワイに来ると食べたくなるのがポケ。マグロをしょうゆ漬けしたり、海藻とあえたりして食べる伝統的料理である。ハワイスーパーに行けば、生鮮食品のコーナーに必ずといっていいほど売っているが、味に差がある。どの店がおいしいかは好みにもよるが、カパルアに住む友人に聞くと、「TAMURA'S FINEWINE AND LIQUORS」という店を教えてくれた。

場所は、カパルアから南に下りたところにあるラハイナで、町外れの意外な場所にあり、酒屋の中にひっそりと売り場があるのも予想外だった。知らなければそこにポケが売っているとは分からないのではないか。ズラリと並ぶポケは10種類以上。試食をさせてくれるのでそれから決めてもいいが、オリジナルのポケがあっさりしておいしかった。その他、生姜(しょうが)しょうゆと絡めたものも日本人の口に合う味付け。白いご飯があれば、それでだけで十分箸が進みそうだ。

穴場的なビーチも

さて、最後になったが、カパルア周辺のリゾートに目を向けると、豪華リゾートのイメージが強いカパルアとは対照的な穴場ビーチも点在する。中でもナピリビーチは、ベイコースの南側にある小さなリゾートだが、プライベートビーチのような雰囲気を持つ。訪れた日は波が荒く、ビーチに出るのも禁止されていたが、普段は波も穏やかで、以前訪れた時には、ウミガメがゆったりと波に揺られていた。

海辺にはいくつか小さなホテルがあり、いずれもやや時代を感じるが、いたるところで開発が進む今、人の手が最低限にしか入っていないその姿は、むしろ貴重ですらある。何から何までそろった大型ホテルとは一線を画すものの、なかなか部屋が取りにくく、リピーターも多いようだ。

ここを訪れる上での問題は駐車場。限られているので苦労する。しかし、その分、ビーチに人があふれることがなく、静かに過ごすことができるともいえる。

周辺にはマカデミアナッツパンケーキが有名なガゼーボ、ナピリカイビーチ・リゾート内にあるシーハウス、そして、特別な機会向けのメリマンズというレストランがあり、ガゼーボは並ぶことを覚悟で。メリマンズは予約必須である。シーハウスはホテル併設のレストランだが、カジュアルな雰囲気で子供連れも多い。夕方、まだ混む前に入店すれば、モロカイ島に沈む夕陽を眺めながら食事を取れる。カパルアへ行くなら、ぜひナピリビーチにも立ち寄りたい。

ところで、冒頭で紹介したビリオネア。ラウンド後、一緒に飲もうというので、夕方から暗くなるまで一緒に飲んだ。彼は建築家で、世界中にプロジェクトを抱えているそう。本来の家はシアトル郊外レドモンドにあり、夏になったらシアトルで一緒にゴルフをしようということになった。その後で寄ってくれと話した家には湖があるという。彼の話は、どこまでも壮大だった。

丹羽政善(にわ・まさよし)
立教大学経済学部卒業。出版社勤務ののち1995年に渡米。インディアナ州立大学スポーツマーケティング学部卒業。著書に「メジャーの投球術」(祥伝社)、「MLBイングリッシュ~メジャーリーグを英語のまま楽しむ!」(ジャパンタイムス)、「メジャーリーグビジネスの裏側~本当に儲かってるのはこの人達~」(キネマ旬報社)、「夢叶うまで挑戦―四国の名将・上甲正典が遺したもの」(ベースボール・マガジン社)がある。シアトル在住。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_