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首里城の王もいやす? 沖縄にもあった「美人の湯」

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NIKKEI STYLE

2月も温暖な沖縄。日中の気温がセ氏20度を上回る日も少なくない。沖縄といえば、夏のリゾートのイメージだが、むしろ冬こそ沖縄という人もいる。記者が四半世紀ぶりに那覇へ飛び、琉球王国の旧王宮、首里城を訪ねてみると、そこには日本と中国の文化を融合したかのような不思議な空間が展開されていた。

城は小高い丘の上

「イー、アー、サン(1、2、3)」。首里城に向かう坂道は中国人の観光客だらけ。幼い子供と手をつないで、はしゃぐ家族連れの姿も目立つ。一方、記者はグロッギー気味。那覇空港から首里城に行くモノレールがあると聞き、飛び乗ったはいいが、最寄りの首里駅から1キロメートルほどの坂道をてくてく歩く羽目になったためだ。

首里城は那覇市を見下ろす海抜120~130メートルの丘の上の立つ。1945年の沖縄戦で破壊されたが、92年に沖縄の本土復帰20年を記念して復元された。記者が前回、沖縄を訪れたのは復元の直前だったので、首里城に来るのは初めてだ。

冬なのに日差しも強く、スマートフォン(スマホ)で気温を確認すると、21度。汗もにじんできた。大声でしゃべる中国人の旅行者らを横目にみて、ぼやいていると、目の前に赤色鮮やかな守礼門が見えてきた。実はこの門、尚氏といわれた琉球王国の国王が中国からの使節を迎えるために創建したという。今この門をくぐり抜けている8割方が中国人旅行者なので現在も従来の役割を果たしているわけだ。

琉球オリジナル、曲線美の城壁

門を抜けると、首里城独自の城壁がつらなっている。むろん、本土の城の石垣とは全く異なる趣だ。この首里城跡は世界遺産にも登録されている。石と石の間に隙間がなく、城壁は見事な曲線美を描いている。優れた石組み技術や石材の加工技術がうかがえる。首里城は中国文化の影響を強く受けているといわれるが、この城壁も中国人の技術者らが主導して造り上げたのだろうか。

復元作業に携わった琉球大学の高良倉吉名誉教授に尋ねると、「いいえ、これは琉球オリジナルです。沖縄の石灰岩というのは非常に加工しやすいんです。この城壁も琉球王国の人たちが造ったのです」と答えてくれた。

この城壁の階段を上り、さらにいくつかの門をくぐる。目指すは正殿だ。

紫禁城に似ている正殿

入場券を買って、奉神門を抜けると、目の前に広がる正殿は想定した以上に荘厳だ。全体は赤く塗られ、京都や奈良などの寺院とも異なる木造建築物だ。ただ、どこかで見たような気がする。ガイドの男性に聞くと、「北京の宮殿、紫禁城に類似しているといわれます」という。

高良名誉教授に正殿の由来を尋ねてみた。

「確かに紫禁城を模して造られました。しかし、この正殿を設計し、造ったのもあくまで琉球の大工さんたちです。表向きのデザインは中国の影響を受けていますが、書院造りや庭園など本土の文化も取り入れています。うまく融合させていますね」。高良名誉教授はこう説明する。

琉球王国は450年間、朝貢貿易などを通じて明や清と深い関係を結んでいた。中国南部、福建省の福州に「琉球館」が置かれ、琉球から毎年200人ほどが派遣された。うち20人ぐらいが北京などの都を訪問し、皇帝らに謁見していたという。

琉球畳、和の空間も

琉球から何度も紫禁城を訪れた使節団一行やその関係者が正殿の設計に携わったようだ。正殿は3階建ての木造建築物。1階は主に国王が政治や儀式を執り行う場、2階は国王と親族・女官らが儀式を行う場、3階は通気を目的とした屋根裏部屋だといわれる。国王が座る玉座。左右を2匹の黄金の竜が守っている。

和の空間もある。政治や儀式を執り行う場の奥側には、畳を敷いた書院造りの部屋がいくつもある。窓からは庭園も垣間見れる。ガイドの女性は「この空間は結構、和風ですね。『琉球畳』と呼ばれた畳があり、和の雰囲気が漂っている」と話す。

ただ、この首里城は過去に何度も消失・再建を繰り返した。実はいつ創建されたかも判明していないという。高良名誉教授は「発掘調査したのですが、正確な創建の年は分かっていません。おそらく14世紀の初めごろには首里城の元になる城が築かれたのではないかと考えられます」という。

14世紀の初めといえば、鎌倉時代の末期だ。室町時代に移行する頃に、首里城が徐々に造られてきたのだろう。

23代目は本土在住

琉球王国の初代国王は尚巴志(しょうはし)とされ、1429年に国内を平定して統一した。「第一尚氏王統」と呼ばれ、6代の国王を出した。次の王朝は「第二尚氏王統」と称され、明治政府による沖縄併合「琉球処分」まで19代続いた。高良名誉教授は「国王の尚氏は明治政府の命令で、華族になり、東京に移り住みました。今の直系の方は23代目ですが、確か岡山に暮らしていると思います」と話す。首里城は復元されたが、国王の直系は沖縄から遠く離れてしまった。

沖縄の観光地といえば、この首里城のほかは、本島北部の「沖縄美ら海水族館」(本部町)など海のリゾート施設が中心だ。実際、入域観光客数も8月が最高で1月が最低。16年8月の92万人に対して同1月は58万人だった。やはり沖縄といえば、夏の人気が高い。

しかし、首里城で偶然出会った、東京から来たという3人組の女性観光客はこんな話をしてくれた。「最近、冬の沖縄が人気になっている。寒くないし、そんなに観光客で混んでいないから、ツアー代も比較的安い。しかも温泉がある」という。気になったのは最後の一言。「沖縄にも天然温泉があるのですか」と問うと、「ここ数年で次々温泉施設がオープンしています。私たちもこの2日間で3カ所回りました。この那覇の近くにも人気の湯がありますよ」という。

美人温泉は空港の南隣に

そこで女性観光客がすすめる温泉に向かうことにした。なんとその温泉は那覇空港のすぐ南隣にあった。瀬長島ホテルにある「琉球温泉 龍神の湯」だ。空港から車で約20分。那覇の市街地からもモノレールなどを経由すれば、簡単に行ける。

瀬長島は今、沖縄の新たなリゾートとして開発が進んでいる。空港の南に位置する陸続きの小島で、小高い丘の上にホテルが建設され、複合商業施設などの開発も進行中だ。温泉施設もまだ真新しい。地下1000メートルから湧き出る天然温泉で、泉質はナトリウム-塩化物強塩泉だという。沖縄の「美人の湯」といわれている。圧巻は沖縄の青い海を見下ろす露天風呂だ。しかも那覇空港を離着陸する航空機の様子を眺めることができる。

通常の温泉施設であれば、年配者の姿が目立つ。しかし、ここは若年層が多い。半数以上は中国人の親子連れや若い観光客だ。20代の中国人は「沖縄の温泉は中国でも知られてきている。中国人は富士山が好きだから、温泉といえば、箱根だが、ここもいい」と話す。沖縄でキャンプインした群馬出身のプロ野球選手もこの温泉に来ていたが、「さすがに草津の湯ほどじゃないが、まあ、いい湯だね」と満足そうだ。確かに温泉につかっていると、ポカポカとからだも温まるし、血行も良くなってきた。

沖縄に温泉があるとは意外な事実だった。実際、那覇市の目抜き通り「国際通り」で地元の女性に聞くと、「昔は沖縄に温泉なんてなかった。だから年配の人には温泉につかるなんて習慣はないけど、内地の人や中国人は好きだよね」という。確かにかつての沖縄は温泉どころか、水を確保することにも汲々(きゅうきゅう)としていたという。首里城の王様たちも温泉とは無縁の生活だったのだろう。だが、旅の疲れを癒やすにはなんと言っても温泉は効果的だ。冬こそ沖縄、温泉の旅もありかもしれない。

(代慶達也)

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