WOMAN SMART

グルメ・トラベル

日本人はわからない?外国人が「鉄ちゃん」になる理由 インバウンドサイト発 日本発見旅

2017/2/14

春夏の北海道観光に外国人からも人気の「富良野・美瑛ノロッコ号」(写真:japan-guide.com)

「鉄道の国」スイスに生まれ育ち、小さいころから鉄道ファンだった夫のステファン・シャウエッカー。約20年前に初めて来日してからは、日本の鉄道システムにすっかり魅せられ、筋金入りの「鉄ちゃん」となりました。

日本の鉄道は、輸送人員数では世界1位、輸送旅客キロ数でも3位です。路線網がほぼ全国をカバーしており、国内を旅するには欠かせない公共交通機関。利便性と安全性では諸外国からも高く評価されています。ことに外国人にとって日本の鉄道は驚きを感じることが多いようです。

■「ラッシュ時の山手線」に驚く

日本の鉄道は運行時間が正確であるとよくいわれます。日ごろ、通勤などで利用していると「よく遅れたり止まったりするけど……」と思いがちですが(私もそうでした)、実はその頻度は非常に少なく、時折、悪天候や事故などで遅延が発生したりはしますが、ほとんどダイヤ通りに運行されているのです。

そしてわずか1~2分の遅れでも車内放送でおわびのアナウンスが流れたりします。十数分の遅れは当たり前という国もあるため、多くの外国人は驚きを感じるようです。

もう一つ、その正確さに驚くのが、駅での停車位置。ホームにはドアの位置に線が引かれ、乗客はそこに整列して次の電車、またその次の電車を待ちます。以前、運転士の訓練用の施設を見学させていただいたことがありますが、そこで所定の位置にピタッと止める練習を何度も繰り返すというお話を伺いました。停車時刻も15秒きざみで定められており、定刻に発車および停車する練習も行なわれています。ゆえに1~2分でも遅れると「遅延アナウンス」があるのです。

こうした正確さがあって初めて実現しているのが、日本人にとってはごく当たり前の光景である通勤ラッシュ時の電車の運行なのです。夫が初めて日本に来たとき、11両編成の山手線が約2分間隔で次々とホームにすべり込み、正確に停車し、スムーズに流れていく運行状況を見ていたく驚き、感動したといいます。確かに、少しでもどこかにミスが生じるとラッシュ時の乗降客の多さには対応できないでしょう。

日本人には当たり前のラッシュ時の山手線の運行が、外国人には大きな驚きだった(写真:japan-guide.com)

■やはり新幹線は人気!

日本の鉄道について外国人観光客に聞くと、よく返ってくるのが、駅も電車もきれいである、という言葉です。これも日ごろ利用している私たちはそれほどでもないのにと思ってしまいますが、年末にスイスに帰省した時、改めて鉄道の駅や車内を観察してみました。すると、タバコの吸い殻やチューインガムの黒い跡がそこここに見られますし、駅舎や線路周辺のフェンスなどの落書きの多さには驚かされます。さらに電車内のほとんどの窓に、誰かがイタズラで付けたような引っかき傷があるのに気づきました。スイスの鉄道といえば日本人には憧れの存在でもあるので、非常に残念に感じました。

鉄道の清掃スタッフの評価も高いです。目にする機会が多いのが、新幹線の折り返し時の清掃でしょう。限られた時間の中でテキパキと動き、あっという間に座席の向きを変えて仕上げていくスタッフの動きに、ホームから見入っている外国人をよく見かけます。終了後、ホームに整列しお辞儀をして引き揚げていく姿もすがすがしいですね。

新幹線は外国人にとても人気があります。実は夫も「新幹線鉄」を自称しています。その理由を聞いてみると、「速いし、かっこいい」という言葉がまず挙がってきました。

外国人観光客が新幹線を利用するのは東京―京都間がいちばん多いのですが、その本数の多さは驚異的です。時期にもよりますが東京発で京都まで行くのぞみ・ひかりは、午前6時の始発から午後9時半ごろの最終までで1日に180本以上。5分に1本ずつ発車していく計算です。これも正確で安全に運行する技術があってこそ可能になっているのです。

新幹線の車内サービスも、外国人にとっては印象的なのです。丁寧な言葉づかいや接客態度はもちろんのこと、車掌も車内販売スタッフも、車両に入るときと出るとき、乗客が見ていようがいまいが必ず一礼していますね。新幹線で外国人の家族連れが近くに座っていると、仕事柄つい心配になって様子をうかがってしまいますが、車内販売のワゴンから問題なく飲み物やスナックを買って楽しんでいるのを見るとホッとします。

速くて快適、そしてモデルごとにユニークなデザインも人気の新幹線(写真:japan-guide.com)
荷物スペースも確保された北陸新幹線車両(写真:japan-guide.com)

■多種多様な列車が観光目的にも

近年、外国人観光客の間でもたいへんな人気を呼んでいるのが豪華寝台列車の旅です。火付け役となったのは、2013年10月に運行を開始した九州旅客鉄道(JR九州)の「ななつ星」。内装のゴージャスさや食事のクオリティーの高さが話題になりましたね。コースは半年ごとに変更され、料金も変わってきます。2017年3月~9月出発分は、1人あたりの料金が1泊2日・2名1室利用で30万~45万円となっています。それでも予約の倍率はいまだに高く、外国人枠が設けられているものの、かなりの難関となっています。

「ななつ星」の成功で、今後も豪華列車が続々と誕生する動きが見えています。西日本旅客鉄道(JR西日本)の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」、東日本旅客鉄道(JR東日本)の「TRAIN SUITE 四季島」など。また、豪華寝台列車にはなかなか手が届かなくても、特別車両の電車や季節列車は既に多くの外国人観光客に利用されています。

JR九州は特にアジア(台湾、韓国)からの旅行者が多く、「ゆふいんの森」「A列車で行こう」「あそぼーい!」など楽しいネーミングの特急列車が人気です。

そのほかの地域では、夏のラベンダー観光に便利な「富良野・美瑛ノロッコ号」、青森と秋田を結ぶ五能線の「リゾートしらかみ」、京都嵐山の保津川沿いを走る「嵯峨野トロッコ列車」などが、外国人の間でもよく話題になっています。世界的に見てもこれほど多種多様な列車が走る国は珍しく、日本への旅行の目的のひとつが鉄道という外国人は少なくありません。

京都・保津川沿いを走る嵯峨野トロッコ列車はジャパンガイドのサイトでも話題になる(写真:japan-guide.com)

■多言語対応サービスには課題

さて、訪日外国人にとって欠かせない存在なのが「ジャパン・レール・パス(以下JRパス)」です。観光で日本を訪れる外国人だけが購入できる特別企画乗車券で、とてもお得な料金設定のため利用者は年々増えています。

現在は海外在住の日本人も利用できるのですが、今後は利用資格が変更になり、2017年3月31日の引換証発売分をもって、外国のパスポートを所有する人だけが購入できることになります。海外での永住権を持つ日本人や、国際結婚で配偶者の国に住む日本人で、帰省するときに利用する人も多いのですが、残念なことに今後は使えなくなります。利用可能期日にも十分ご注意ください[注]。

安全性、正確さ、きれいさで人気の日本の鉄道ですが、多言語でのサービス展開にはまだまだ課題があります。

たとえば、現在、海外から英語で指定席の予約ができるのは、JR東日本のウェブサイトだけです。最も需要がある東海道・山陽新幹線の予約は、日本に来てから窓口に行かなければできません。旅のプランを立てた時点で指定席が海外から買えるようになると、さらに便利になると思うのですが……。

また、事故やトラブルで列車が緊急停止したり、何らかの遅れが出たりしたとき、現状ではほとんどのアナウンスが日本語だけです。理由が分からないまま長時間停車していると不安にもなりますので、簡単でも外国語のアナウンスがあるとよいと思います。

2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて日本の鉄道がますます利用しやすくなり、その魅力がさらに認知されることを願っています。

[注] 「JAPAN RAIL PASS」 http://www.japanrailpass.net/

シャウエッカー光代(シャウエッカー・みつよ)
ジャパンガイド取締役。群馬県生まれ。海外旅行情報誌の編集者を経て、フリーの旅行ライターとなり、取材などで訪れた国は約30カ国。1994年バンクーバーに留学。クラスメートとしてスイス人のステファン・シャウエッカーと出会い、98年に結婚。2003年、2人で日本に移住。夫の個人事業だった、日本を紹介する英語のウェブサイト「japan-guide.com」を07年にジャパンガイド株式会社として法人化。All About国際結婚ガイド、夫の著書『外国人が選んだ日本百景』(講談社+α新書)『外国人だけが知っている美しい日本』(大和書房)などの編集にも協力。

WOMAN SMART 新着記事

WOMAN SMART 注目トピックス
日経DUAL
医療保険 「マストではない」理由をFPが解説
日経doors
嫌よ嫌よはマジで嫌 NOも言えない、こんな世の中じ
日経ARIA
40代からの歯科矯正はあり? 失敗しない歯科医選び
日経DUAL
手軽なツールSNS 疲れずに仕事人脈をつくるコツ
ALL CHANNEL