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プーチン大統領もいやした山口の宿 大谷山荘

長門湯本温泉 ライター 飯田敏子

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NIKKEI STYLE

寒さ厳しい1月も末、豊かな緑と湯のぬくもりを求めて、山口県・長門湯本温泉を訪ねた。長門湯本温泉は、今から約600年前の室町時代に地元・大寧寺の禅師が住吉大明神からのお告げで発見したとされる。山口県で最古の歴史を持つ温泉だ。音信(おとずれ)川の川べりに温泉宿や昭和レトロなたたずまいの元湯が立ち並び、タオル片手に湯客が行き交う風景は、どこか懐かしさを感じさせる「日本の湯町」そのものだ。

旅館の風情と和のもてなし

温泉街から少し外れたところに、1881年創業の名宿「大谷山荘」がある。昨年末、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が日ロ首脳会談を行った場所として記憶に新しい。安倍首相はこの温泉は疲れがとれると紹介したといわれる。

スタッフに案内され宿を進んでいくと、随所に日本らしさが詰め込まれている。エントランスに続く坪庭に鹿威(ししおど)し。窓際や廊下のコーナーのあちこちに、季節の移ろいを伝える生け花。そして、柔らかな物腰でこちらの要望をいち早く察してくれる和服姿の女性スタッフ。ゆっくりした時間が流れるロビーラウンジからは岩肌を流れる水と緑が望め、厚いじゅうたんが敷かれたパブリックスペースは隅々まで清潔。老舗旅館の風情と和のもてなしの快適性が盛り込まれており、ゲストに安心感を与える。

大谷山荘の心地よいにぎわいをいったん離れ、「別邸 音信」へと案内してくれた。「別邸 音信」は今年で開業10周年を迎える。111室550人を収容できる大型の大谷山荘に隣接する、わずか18室だけの小さな宿で、玄関も別だ。別邸 音信の宿泊客は大谷山荘の各施設を自由に利用することができるが、別邸への出入りには専用カードキーが必要。それだけに別邸の館内に一歩足を踏み入れると、大勢の人が行き交う大谷山荘とは別世界の静謐(せいひつ)さが守られている。

しっとりした和のアプローチを経て重厚な木製の扉をくぐると、水の上に樹木が浮いているかのような水盤のある回廊が現れる。通り抜けた先は、オープンエアのホール。高い天井は竹と丸木を組み合わせた造りで、アジアンリゾートを思わせる開放感がある。ガラス戸もない開け放たれた空間なのだが、フローリングに床暖房が入っているため、真冬でもラタン(とう)の椅子に腰かけて端正な庭を眺めていたくなる快適さだ。

早くもこの段階で、平凡な日常とは切り離された心持ちになれる。さあ、これから始まる滞在を楽しむぞという、その感覚に集中できるような、ずっといたいと思わせるような居心地のよさを感じるのだ。この感覚は、その先にあるラウンジやライブラリー、回廊に面したバー、客室へと続く廊下でも続いた。客室はメゾネット形式や和洋室タイプ、和室など6タイプがあり、全室テラスに露天風呂が付いている。ゲストは木々の緑や川のせせらぎを聞きながらのゆったりしたバスタイムをたのしむことができる。部屋でのおこもりに飽きたら、センスのよい品を集めたショップ&ギャラリーや、エステやマッサージが受けられるスパ、フィットネスジムもある。小さな宿というくくりで収まり切れない多彩な楽しみが用意されている温泉リゾートといえる。

地の食材を堪能 地酒はプーチンさんも舌鼓

別邸 音信のもう一つの魅力は食事である。長門周辺は、日本海の新鮮な海の幸が水揚げされる漁場。かまぼこで有名な仙崎はヒラメや、ハタの仲間である高級魚・アコウ(キジハタ)の産地でもあり、油谷湾は良質のクルマエビの養殖場として日本屈指。日本料理「雲遊」の武田純一料理長はそうした希少な旬の食材を熟達の腕で味わわせてくれる。春まで旬が続く本場の「ふぐ」も冬の山口を旅する目的の一つ。この日、宿泊したのは大谷山荘だったが、取材ということで別邸 音信の宿泊客だけが味わえる「雲遊」の夕食をいただくことができた。

前菜に出された仙崎アコウの手まり寿司は繊細な味わい。お造りの仙崎ヒラメはよく身がよく締まりきめ細かな舌触り。低温の海で育つクルマエビは濃厚な甘みが特徴。ふぐ刺しのおいしさも特筆ものだ。とらふぐは会席コースの後半でも空揚げとなって再びお目見え。

魚介だけではない。長萩(ちょうしゅう)和牛の炭火焼きや長州赤地鶏の治部煮、萩佐々並九郎米といった山口の美味も堪能できた。ちなみに、大谷山荘でも3月末までの冬会席の品書きには、とらふぐの刺し身に空揚げ、長門近海の甘鯛(あまだい)若狭焼きなど土地の美味がふんだんに登場する。

食事の話題では、日本酒「東洋美人」にも言及しないわけにいかない。東洋美人にはいくつもの種類があるが、そのなかで最上級のものが、プーチンさんも味わった「壱番纏(いちばんまとい) 純米大吟醸」だ。

もともと少量生産であるのに加え、日ロ首脳会談で用いられたことから話題となり、地元の酒店でも完売したところが続出。入手困難な状態が続いている。その酒をスタッフがようやく入手したとのことで、夕食でいただくことができた。

酒米の最高峰である山田錦を40%まで磨き上げた「壱番纏」は品のあるふくよかな吟醸香と透明感ある味わい。続いても山口の地酒「貴(たか)」を頼んでみた。こちらも山田錦を半分にまで磨いて仕込んだもの。フローラルな香りがあり、これもまた料理を引き立たせる酒だ。

食後はThe Bar OTOZUREへと移動。水盤がライトアップされ昼間とは違った幻想的な表情を見せる空間で、居心地のよい椅子に座りグラスを傾ける。まさに大人の楽しみだ。

湯冷めしにくい美肌の湯

この日、泊まった大谷山荘の部屋も、テラスに露天風呂が付いたタイプ。全館のなかでスイートルーム以上の8室しかないぜいたくな部屋だ。24時間掛け流される温泉に何度もつかり、大浴場での入浴も楽しんだ。肌に軟らかい美肌の湯だ。

大谷山荘には、宿には珍しく天体ドームもあり、担当のスタッフによる解説付きで天体望遠鏡をのぞくことができる。長門市生まれの詩人・金子みすゞの詩に、星をうたった「星とたんぽぽ」という作品がある。ドームは、オーナーがその詩に触発されて設置したものだという。若くして世を去った詩人の優しい詩に接するとき感じる安らぎ、目には見えないけれども存在するものを慈しむ気持ち。そうした心情に思いをはせることができるような気がして、ぜひ参加してみたかったが、バータイムや湯めぐりの時間が楽しく、あっという間に夜が更けてしまった。天体観測はいつかまた来たときの楽しみにするとしよう。

大谷山荘と別邸 音信。どちらも、わかりやすい豪華さというのとはちょっと違う。目配りの行き届いた空間、陰影が美しい照明、和のもてなしとプライベート感――。そうしたことのバランスが心地よさにつながっている。とりわけ別邸 音信はリピーターが多いというのもうなずける。

CMロケ地として知られる観光スポットも

長門湯本温泉から車で約35分のところに、観光スポットの「元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社」が、車で約50分のところに同じく「角島大橋」がある。チェックアウトした翌日、せっかく来たのだからと、この2カ所を回ってみることに。

湯本温泉から「元乃隅稲成神社」へは、経路の要所要所に看板があり、迷うことなくたどり着くことができた。「元乃隅稲成神社」は、米国のニュース専門放送局CNNが2015年に、金閣寺や厳島神社と並び「日本の最も美しい場所31選」に取り上げたことから注目されるようになった。海を背にした高台に100メートル以上にわたって123基の鳥居が並ぶ。1955年に島根県津和野町の太鼓谷稲成神社から分霊された神社だ。青い海と朱塗りの鳥居のコントラストが日本らしい幻想的な景観をつくり出している。肌寒い日だったが、大勢の人が写真を撮っていた。

一方、角島大橋は数々の車のCMロケ地として有名。離島にかかる橋のうち、無料で渡れる一般道路としては日本屈指の1780メートルという長さを持つ橋だ。この日はあいにく小雨模様だったが、晴れた日には真っ青な海をまたぐ一本道が景観とよく調和し、まさしく絶景が出現する。飛行機を利用して山口宇部空港から宿を目指すなら、レンタカーを借りて、こうした見どころへ足を延ばすのも一興だ。

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