高カカオのチョコレートは脳によい影響を与える?

日経Gooday

高カカオチョコレートを毎日25g摂取すると増えるBDNFって?(c)Monika Adamczyk -123rf
高カカオチョコレートを毎日25g摂取すると増えるBDNFって?(c)Monika Adamczyk -123rf
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2月のバレンタインデーシーズンは世界中からチョコレートが集まるおいしい季節。プレゼント用のみならず自分用に購入する人も多いのでは? そんな折、高カカオのチョコレートが、もしかすると脳にいい影響を及ぼすかもしれないという研究報告が出てきた。はたして、チョコの成分と認知症の関係はいかに。

チョコレートを食べると増えるBDNFに認知症予防の期待

甘くておいしいチョコレート。そのルーツは紀元前後の中南米といわれ、最初の頃はカカオにスパイスを加えた甘くない飲み物を作って、それを皇帝が薬として飲んでいたとか[注1]。その後、チョコレートはヨーロッパに渡り甘いお菓子として発展していくわけだが、現代になって再びチョコレートの健康効果が注目されている。

「近年、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには抗酸化作用があり、コレステロール値の改善、血圧低下など、生活習慣病の予防と改善に期待できるとする研究報告が数多く出されています」と話すのは桜美林大学老年学総合研究所所長の鈴木隆雄さん。

そうした中、チョコレートの摂取が脳に何らかの効果があるかもしれないという研究が報告された。この研究は日本人を対象にした調査研究で、愛知県蒲郡市、愛知学院大学、菓子メーカーの明治が産学共同で実施したもの。蒲郡市内外の45~69歳までの347人(男性123人、女性224人)に4週間(2014年6月から7月中旬)、カカオポリフェノールを多く含むチョコレート[注2]を毎日25g(5gを5枚)、合計約150キロカロリー摂取してもらい、摂取前後の血圧測定や血液検査などで身体の状態の変化を検証したものである。

この研究の結果、チョコレートの摂取前(0週)と摂取後(4週)を比べると、BDNF(脳由来神経栄養因子)の血中濃度が有意に上昇していたことが分かったという[注3]

実はこのBDNF、認知症と深く関係があるのではないかといわれている。

「BDNFは、脳の神経細胞の発生や成長に関与する神経栄養因子の一種。記憶の形成を司る『海馬』に多く存在して、脳の活動を支えていると考えられています。近年、このBDNFがうつ病やアルツハイマー型認知症を予防する可能性があるとして注目されています」と鈴木さん。そのことを証明するような研究報告も多く、例えば、実験的に脳のBDNFを減らしたマウスでは学習能力の低下が見られたという[注4]

BDNFは加齢とともに減るが増やす方法も!

DNFを増やす食品はチョコレート以外にもあるのか?(c)Jaroslaw Pawlak -123rf

認知症の予防に効果が期待されるBDNFだが、65歳以上では加齢とともに減少していくことも分かっている。

では、減ってしまったBDNFはもうどうすることもできないのだろうか。そこで期待されているのが、記事の前半で説明した通り、チョコレートというわけだ。現在、BDNFを増やす食品はチョコレート以外にもあるのではないかということで、研究が進められていると鈴木さんは話す。

また、運動をすることでもBDNFが増えることも分かっているという。「いくつかの臨床試験の結果、適度な運動がBDNFを増加させるとともに、認知機能を高めることが分かってきています」と鈴木さん。

ただし、BDNFと認知機能の研究はまだ始まったばかりで、分からないことも多いそう。「今回の研究ではチョコレートを食べると血液中のBDNFが増えることが分かりましたが、それが本当に脳のBDNFを増やすかどうか、また、脳のBDNFが増えると認知症が予防・改善されるかどうかまでは証明されていません。しかし可能性は大いにあると思います」と鈴木さんは話した。今後の研究に期待したいところである。

[注1]日本チョコレート工業協同組合ホームページ
[注2]カカオ分72%のチョコレートを使用
[注3]「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」レポート (愛知県蒲郡市、愛知学院大学、 明治の産学共同)
[注4]Linnarsson S, Bjorklund A, Ernfors P: Learning deficit in BDNF mutant mice. Eur J Neurosci. 1997.9:2581-2587.
■この人に聞きました
鈴木隆雄(すずき・たかお)さん
桜美林大学老年学総合研究所所長。1951年、札幌市生まれ。札幌医科大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。札幌医科大学助教授、東京大学大学院客員教授、東京都老人総合研究所副所長、国立長寿医療研究センター研究所長などを経て現職に。専攻は骨の老化と疫学や古病理学。主な著書に「超高齢社会の基礎知識」(講談社現代新書)、「骨から見た日本人―古病理学が語る歴史」(講談社学術文庫)、「骨量と骨粗鬆症」(主婦の友社)などがある。

(ライター 伊藤左知子)

[日経Gooday 2017年2月9日付記事を再構成]

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