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post 2020~次世代の挑戦者たち

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司
2017/2/15

post 2020~次世代の挑戦者たち

藤田 こうした分類を踏まえて、シニア市場を活性化させるポイントは何でしょうか。

堀内 注目すべきは、26.8%と最大の比率を占めるセカンドライフモラトリアムです。お金も体力も時間もあり、「何かをしたい」と思ってはいるものの、現役時代に仕事を優先してきたために仕事以外は何をやってよいのか分からない。これは潜在的な消費のポテンシャルが非常に高いグループだといえます。

藤田 6グループを見ると、「積極的」な活動状況のグループよりも、「慎重・控えめ」の方が圧倒的に多いのが気になります。消費にも「慎重・控えめ」のシニアが多い状況が続けば、今後の日本経済の大きな課題になりますね。

(5)アクティブトラッド=消費や行動は積極的でも変化や刺激を望まないタイプ
(6)淡々コンサバ=現在の生活に不満を持たず、淡々と平穏に暮らしているタイプ

堀内 特に、意欲はあるのに、やることがないセカンドライフモラトリアムのシニア層が「積極的」に動き出す第一歩を後押しする社会的な仕組みづくりが喫緊の課題でしょう。

藤田 「モラトリアムおじさん」の第一歩。これを後押しするには、どうすればよいのですか。

堀内 セカンドライフモラトリアムの男性は終身雇用制度のもとで会社に勤務することを通じて、適度に束縛されることが当たり前になっています。退職して誰からも指揮命令を受けなくなると、自由すぎて居心地が悪くなる傾向にあります。彼らが居心地よく過ごすには、規則正しい生活リズムを守り、適度な束縛を得るために何らかのコミュニティーに属することが効果的です。このタイプの男性はコミュニティーに属するために自ら積極的に動こうとはしませんが、他者からのきっかけがあって、動かざるを得ない「大義名分」があれば動きます。自分のプライドを満たし、妻や友人に顔が立つ理由があれば「仕方ないなあ」と言いながら動いてくれますよ。

藤田 前回、20年東京五輪・パラリンピックはシニアがボランティア活動に参加し、社会と接点を持つ大きなきっかけになり得るという話を聞きました。3年後、東京大会のボランティアに参加して活躍するのは、このセカンドライフモラトリアムのシニア層かもしれませんね。

堀内 東京五輪・パラリンピックのボランティア参加で形成されるコミュニティーは大切な財産になるでしょう。これを20年だけで終わりにさせるのではなく、その後もシニアが何らかの形で社会と接点を持ち、社会に貢献するための「器」として機能させ続けることができればよいですね。シニアの活動を増やすとともに消費を促していくことが、超高齢化社会を迎える日本の経済を活性化する上でも、非常に重要な取り組みになると考えています。

藤田 次回は介護や年金に関する不安を抱える高齢者の消費行動などを老年学(ジェロントロジー)の観点から話してもらいます。

ほりうち・ゆうこ 1967年生まれ。高齢者住環境研究所(東京・渋谷)で要介護者向け住宅改修の設計・施工・管理を手掛けた後、コンサルティング会社に転職。桜美林大学大学院老年学研究科修了、独立して老年学に基づくシニア市場の分析を専門領域とするシニアマーケットコンサルタントとして活躍する。桜美林大学老年学総合研究所連携研究員、東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員。
 ふじた・こうじ 1978年生まれ。公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学を体系化し、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

前回掲載「五輪ボランティアで心身健康に 社会とつながるシニア」では、シニアが20年東京五輪・パラリンピックのボランティア活動に参加する「効果」などについて聞きました。

「post2020~次世代の挑戦者たち」は原則水曜日に掲載します。