実は、ハードCL長期使用者の眼瞼下垂(がんけんかすい:まぶたが下がって、目が十分に開きにくくなった状態)のリスクは、非使用者のおおよそ20倍から100倍になることを示した研究結果があります。ソフトCLについても、リスクの上昇が報告されています。まぶたが気になるなら、今日から、レンズの取り扱いと着脱の方法を変えてみてはいかがでしょう。
眼瞼下垂の診断基準は、国によって異なり、日本国内でも一つに定まっていません。例えば、黒目の中心(瞳孔中心)から上のまぶたの縁(上眼瞼縁:じょうがんけんえん)までの距離が3.5ミリメートル未満となった状態、という基準を用いる医師もいます。
TV番組で取り上げられ、関心が集まる
眼瞼下垂には、先天性のものと後天性のものがあります。後天性の眼瞼下垂は加齢により発生しやすくなりますが、実は、ハード、ソフトの別にかかわらず、CLの長期使用が下垂リスクを驚くほど高めることを示す研究結果が蓄積されています。
眼瞼下垂について広く知られるきっかけになったのは、NHKの「ガッテン!」ではないでしょうか。同番組では、2008年4月2日と2016年5月25日の2回にわたって眼瞼下垂を紹介しています。2回目の放送では、まぶたをたるませる生活習慣として、まぶたを強くこする(花粉症・アレルギー・メーク落としなど)ことと、ハードCLの長期着用を挙げていました。
米国ではヤフーが取り上げ不安が広がる
CLの使用が眼瞼下垂のリスクを高めることを示した研究の結果は、2015年6月5日に米国版Yahoo!Beauty[注1]で取り上げられて、CLユーザーの間に不安が広がりました。
Yahoo!Beautyが紹介した論文は、2015年3月24日に「Aesthetic Surgery Journal」誌に発表されたものです[注2]。

この研究の目的は、後天性の眼瞼下垂の重症度に影響を及ぼす要因を明らかにすることにありました。研究者たちは、2008~2010年に双生児の写真を収集し、一卵性双生児の眼瞼下垂の程度を比較しました。一卵性双生児を研究対象に選んだのは、比較の際に遺伝的な背景を考慮する必要がなくなるからです。
対象となった一卵性双生児のうち、96組(192人)において、2人の間で眼瞼下垂の程度が異なっていました。この96組を分析した結果、2人のBMI(体格指数)や喫煙習慣、日焼けの程度、飲酒習慣、仕事でのストレスの程度、睡眠習慣などの違いは眼瞼下垂の程度とは無関係でした。一方、下垂に関係することが明らかになったのは、ハードCLとソフトCLの使用でした。
CL利用者の目瞼下垂リスクを報告する論文はほかにも
この論文以外に、CLの使用と眼瞼下垂の関係について分析していた論文をいくつか紹介しましょう。