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認知症の診断で一時金 保険金請求をサポート 認知症と保険(下)

2017/2/14

認知症保険の加入者数が伸びている

 認知症と診断されると一時金が支給される生命保険があると聞きました。どんな仕組みなのでしょうか。要介護認定を受けると、保険金が受け取れる介護保険商品とは違うのですか。

 親が認知症になると治療や介護の費用に加え、子どもが離職して世話をしなければならなくなるケースもあり、家族の負担が増す。家計経済研究所(東京・千代田)などによると、重度の認知症患者の在宅介護費用は年間約110万円で、認知症がない介護(約52万円)に比べて約60万円の負担増になるという。

 このような経済負担に備える「認知症保険」の加入者数が伸びている。太陽生命保険が昨年3月に発売した認知症保険の契約件数は今年1月、15万件に達した。過半数が60代以上で、「将来、家族に迷惑をかけたくない」と加入する人が多いという。

 太陽生命が発売したのは少ない告知事項で契約できる「ひまわり認知症治療保険」。脳の組織の変化による認知症と診断され、所定の状態が180日継続すると認知症治療給付金を一時金で受け取れる。

 「保険期間終身、一時金300万円、入院一時金2万5000円」などの条件にすると、月額保険料は60歳男性で5112円、同女性は8167円。がんや心筋梗塞、糖尿病など七大疾病による入院や手術、骨折も保障するので、シニア層向けの医療保険としても使えるのが特徴だ。

 朝日生命保険は昨年4月、介護保険の中に認知症を保障する「認知症介護終身年金保険」と「同一時金保険」を加えた。要介護1以上に認定され、かつ所定の認知症と診断された場合に、終身年金か一時金、または両方を受け取れる。

 「保険期間終身、年金額60万円、一時金300万円」の場合、月額保険料は60歳男性9807円、同女性1万4637円。要介護1以上の認定で、その後の保険料払い込みが不要になる。

 認知症保険の場合、認知症と診断された加入者本人が保険金の請求手続きをできるのかが気になるところだ。太陽生命、朝日生命とも家族登録制度があり、家族の連絡で手続きに入る。

 太陽生命は契約者の元に「かけつけ隊」という職員を派遣し、その場で請求手続きをする。かけつけ隊は認知症保険以外にも同社が販売するすべての保険の請求手続きを支援し、これまでに1万5000件を超える利用があったという。

 また、70歳以上の契約者を毎年1回訪問する「シニア安心サポート活動」を展開。例えば白内障の手術をしたというような話を聞くと、契約者の了解のもと、保険金請求を支援する。

 朝日生命も「シニアにやさしいサービス」として、要介護認定を受けた契約者を対象に診断書取得代行サービスなどの支援をする。

 認知症と診断されても、適切な治療を受ければ、その進行を緩やかにできるといわれる。また健康体の人が認知症を発症すると、徘徊(はいかい)がもとで他人とトラブルになる可能性もある。治療やトラブル防止などにまとまったお金が必要になることも多く、一時金でもらえるメリットは大きいといえそうだ。

[日本経済新聞朝刊2017年2月8日付]

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