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10億円あれば…未来への投資は空想から(藤野英人) レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

2017/2/7

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「10億円の使い道を空想することは、自分の本音ややりたいことを探る手立てでもある」

 唐突な質問をして驚くかもしれません。「もし突然、10億円をもらえることになったら、みなさんどうしますか?」。相続であれ宝くじであれ、何でもいいのです。あとで説明しますが、この問いには意図があります。

 実は同じ質問をわたしのフェイスブックで行ったら、たくさんの意見をいただきました。

 ご興味がある方はこちらを参照してください(https://www.facebook.com/hideto.fujino/posts/10156001554543438)。

 このコラムを読んでくださっているみなさんも少しだけ考えてみてください。わたしのフェイスブックには「旅をしたい」「障害者のための施設をつくりたい」「投資をしたい」「複合型の学生寮をつくりたい」「起業をしたい」など多様な意見が寄せられました。

 10億円が手に入れば、よほどぜいたくな生活をしない限りは一生働かなくても生きていけるでしょう。それも家族全員、何不自由なく暮らすことができると思います。つまり、10億円が手に入るということは、生活のために働くことから解放されたとき、自分がどうしたいかという問いかけでもあります。

■10億円の使い道を空想することで自分の本音がわかる

 一般的に人は稼ぐときよりも、自分でお金を使うときの方が本音が出るようです。自分が買いたいものは多くの場合、自分の本音に基づきます。10億円を持ったときにどう使いたいかというところにも本音が出てきます。

 実はわたしもよくこの問いを考えます。あれこれ空想するのですが、いつも結論は一緒です。ほんの少しだけ趣味のピアノのスタジオにお金を使い、残りは未上場企業と大半をひふみ投信へと投じたいです。これが自分の本音です。自分はそういう意味で幸せです。なぜなら、今は自分がやりたいことをやれているからです。

 ところが、したいことが思いつかない人は意外にたくさんいるようです。そういう人は現状にとても満足している人でない限りは、不安を感じているけれども諦めている人でしょう。これはかなり問題だと思います。ひょっとしたら自分以外の誰かに責任を転嫁することで、自助努力を諦めて「不満や不安を感じること」によって自分を正当化しているだけかもしれません。

 夢や目標や志を持つことはお金があるかないかとは関係ありません。お金があっても志はなかなかわいてくるものではないと思います。ぜひ自助努力を諦めず、不満な現状を変えるために一歩を踏み出してください。

 わたしのフェイスブックに寄せられた「10億円持ったらやりたいこと」の数々は、よくよく見てみると、お金がなくても挑戦できることです。もちろんお金がなければできないことはあるでしょう。しかし、お金がなくてもできることは意外に多いのです。情熱や具体的なノウハウ、やりたいことを実行するための仲間の方がお金よりよっぽど貴重だからです。

 会社を株式上場させたり、自分の会社を売却してお金を得た人たちがいます。彼らが口をそろえていうのは、お金があるからといって幸せになるわけではないということです。お金を得てわかる人として一番楽しいことは、信頼できる仲間と楽しい時間を過ごすことです。それはとても貴重であり、お金で得られる部分はごく少ししかないということです。

■10億円なくても将来への「投資」はすぐにスタートできる

 お金を得たことで友達や恋人が増えるとしたら、それはあなたのお金を目当てにした人が増えたということです。ということは今、10億円を手にしていないあなたを大切にしてくれている恋人、家族、友達を大切にしなければいけないということです。

 現時点で10億円を持っていないとしても、あなたがやりたいことの大概はすぐにスタートできるはずです。つまり、本当にやりたいことを探すよい方法が、もし10億円を持っていたらと妄想をすることなのです。そうすれば、自分がいろいろな言い訳でやっていなかった人生の目標や目的が見えてくるでしょう。

 未来のために今、エネルギーを投入することがわたしの考える「投資」です。投資は早く行動をすればするほど将来のリターンが高くなります。リターンとは未来からのお返しです。ぜひ本音を発見し、やらなくてもよいことを減らし、本当にやりたいことにもっと集中しましょう。

 デジタル機器を活用した仕事術を紹介するウェブサイト「Lifehacking.jp」を主宰する堀正岳さんも私のフェイスブックを見て、おなじような考察をされました。

 そちらも参照してみてください(http://lifehacking.jp/2017/02/billion-yen-question/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook)。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムです。原則火曜日掲載で、レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者(CIO)の藤野英人氏と楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジストの窪田真之氏が交代で執筆します。
藤野 英人(ふじの・ひでと) レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者(CIO)。1966年生まれ。早稲田大学法学部卒。90年野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)に入社。96年ジャーディンフレミング投資顧問(現JPモルガン・アセット・マネジメント)に入社。「JF中小型オープン」は1年間の上昇率219%を記録。驚異的なパフォーマンスを上げ、「カリスマファンドマネジャー」と呼ばれた。2000年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントに入社。03年レオス・キャピタルワークス創業。CIOに就任。09年取締役、15年10月社長就任。明治大学非常勤講師なども務める。著書に「投資家が『お金』よりも大切にしていること」(星海社)など多数。

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