喫茶店など室内は公衆無線LAN「Wi-Fi」が使えますので、都市部にいる限りはインターネットにつながることもできます。ただし、問題は1日2、3回、必ず停電が起こること。すると、ネットの接続も切れてしまう。現地の人はみんな慣れっこです。

私たちのような外国人が住むアパートの場合、発電機が整備されていますから停電してもそれほど問題はありませんが、スーパーマーケットでキンキンに冷えた牛乳を買ったはずなのに、飲もうとしたら腐っていた、ということは何度かありました。

「きょう・あす」に重きを置くケニア人の金銭感覚

循環型無水トイレはオガクズで便の発酵を促進させる。

ケニアに赴任した時点では研究所に所属していましたが、2016年10月の組織再編で部署ごと「ソーシャルトイレット部」へと名称が変わり、研究というよりも、より現地での事業化に軸足が移った感じです。担当している循環型無水トイレシステムの特徴は、水がなくても使えること。穴を掘らず、地上で堆肥化して回収し、それを肥料として使うことを目指している点です。

担当はほかに数人いますが、ケニアに常駐しているのは私だけなので、日常的な仕事はほとんど現地のパートナーと組んでやっています。トイレそのものの開発は日本にいるエンジニアにお願いし、私は現地でそれを使っているモニターさんたちの声を聞きながら、必要な改善点を日本にフィードバックしたり、改良したバージョンが送られてきたらそれを対象地域に設置したり、という作業をしています。

ケニアの住宅街にも、日本でいう「くみ取り式」のトイレはあります。政府からライセンスを受けた民間のバキュームカーも走っていますが、その回収料金は現地の人たちにとっては高く感じる。そのため、バキュームカーを呼ばずに、空いた土地に別の穴を掘って次々とトイレを作り続ける。仮にくみ取って回収できたとしても、業者はそれを指定された場所に処理しないまま捨てるだけですから、トイレがあっても衛生状態は非常に悪いんです。

そうした状況を改善するために、私たちはまず人間が出した排せつ物を堆肥化し、無害な状態にして自然界に戻そう、と考えました。まずは大便と小便を分け、できるだけ臭いを抑える。レバーを引くとおがくずが出てきて自動的に大便と混ざる仕掛けになっていますから、回収するころにはすっかり見た目が変わって、抵抗感がなくなります。すると、回収する人たちも楽になる。

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「トイレ」から「社会全体」へと視野が広がった