アマゾン河口に「まさか」のサンゴ 常識覆した生物礁
2016年、南米アマゾン川の河口付近で、サンゴを含む色鮮やかな生物礁が発見された。今回、その写真が環境保護団体グリーンピースによって初めて公開された。英紙「ガーディアン」によると、グリーンピースの船に搭載された潜水艇が撮影したものだ。
礁があるという噂をもとに調査を行い、科学者たちは2012年にこの礁を発見し、2016年4月に論文を発表した。アマゾン川河口のような濁った海に礁が存在することに彼らは驚愕した。
「教科書的にはありえない場所で生物礁を発見したのです」と、論文の共著者でブラジル、リオデジャネイロ連邦大学のファビアノ・トンプソン氏は、2016年春にナショナル ジオグラフィックの取材に答えている。
生物礁は、サンゴをはじめ石灰質をもつ生物によってつくられる。「アマゾン礁」は水深50~100メートルの海底にあり、地図を作成した南米の研究者たちは、約9500平方キロにわたって広がっていると考えている。しかし、海水が濁り、流れが速く、荒れた海での潜水は命にもかかわりかねない危険なものであるため、海中での写真撮影は困難を極めた。
研究者たちは、何年かをかけてこの海域から生物を収集する中で、さまざまな種類の魚やヒトデ、海綿動物を見つけている。ほとんどの魚は肉食で、なかにはゾウの赤ちゃんほどの重さの巨大な海綿動物もいた。
ところが、この礁はすでに危機に直面している。英BBCの報道によると、この海域での石油探査の認可手続きが進んでいる。採掘が行われるようなことになれば、石油が流出して環境に影響が出るリスクが恒常的に発生するとして、グリーンピースは礁を守るための抗議活動を開始した。
(文 Heather Brady、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年2月2日付]
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