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post 2020~次世代の挑戦者たち

五輪ボランティアで心身健康に 社会とつながるシニア シニアマーケットコンサルタントの堀内裕子氏に聞く(2)

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

2017/2/8

シニアマーケットコンサルタントの堀内裕子氏

東京五輪・パラリンピック後の「post2020」の日本を揺るがす高齢者医療費の膨張。国民が税と保険料で負担する医療給付費は2025年度に54兆円となり、13年度の約1.5倍に膨らむ。国民負担を減らす鍵は高齢者の健康増進だ。シニアマーケットコンサルタントの堀内裕子氏は20年東京大会のボランティア活動は高齢者が社会に参画する「大義名分」になり、それが高齢者の健康増進につながると指摘する。(聞き手は公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司)

藤田 「post2020」時代に備え、日本は高齢者の健康増進が大きなテーマになります。

堀内 高齢者の健康増進を考えるには、まず老化についての正しい理解が必要です。老化は「心」「身体」「社会」の3つの要素が相互にリンクしています。例えば、退職した人は仕事をしなくなると家にこもりがちになり、社会から遠ざかります。家にこもると活動量が減るため、身体が衰え、人との会話も減り、ふさぎ込みがちになります。このため鬱や認知症になる確率も上がります。あるいは、体の衰えを感じ、外出しなくなる人も同じです。社会から遠ざかって人と会わなくなり、その結果、心の病につながります。このように老化は「心」「身体」「社会」がそれぞれに影響し合っています。これは「虚弱」を「心・身体・社会」の観点からとらえた「フレイル」という考え方です。

藤田 「健康増進のために運動が大事」といわれても、普段から運動する習慣のない人が介護予防のために、すすんで運動するかというと、疑問ですね。むしろ社会との接点を積極的に持ってもらった方が結果として高齢者の運動量は増えるのではないかと思います。

堀内 高齢者の健康を保つためには「きょういく」と「きょうよう」が大事だといわれます。「きょういく」とは「きょう、行くところがある」、「きょうよう」とは「きょう、用事がある」という意味です。こうやって社会との接点を持ち続けることで、心や身体を健康な状態に保つことができます。しかし、今まで仕事一筋で趣味を持つ時間がなく、あまり職場以外での付き合いがないシニアにとって、「きょういく」と「きょうよう」を持ち続けるのは簡単なことでありません。

藤田 社会との接点を持つように、シニアの背中をポンと押すことが、これからの時代には求められますね。

社会との接点を持つことで、心や身体を健康な状態に保てる(都内で外国人向けに活動するボランティア)

堀内 はい。何かの活動に参加する「大義名分」が必要です。それがあれば、家から出て、社会との接点を持ち、人と会って活動量が増えるため、身体も心も健康になり、時として消費にもつながります。こういった大義名分を社会がつくっていくことは、高齢者の健康増進を後押しして医療費を削減し、さらにはシニアマーケットを活性化させていくうえで極めて重要だと思います。

藤田 前回、シニアから「20年の東京五輪・パラリンピックにボランティアとして関わりたい」という声をよく聞くという話がありました。東京五輪は大義名分になりますね。

堀内 その通りです。なかなか家から出ることなく悶々(もんもん)としているシニアの男性の多くは、もともと企業の第一線でバリバリ働いていた人です。そのプライドはすぐに色あせるものではありません。そこに「誰でもできるような仕事ですから、ボランティアでやってください」と依頼しても、プライドが許さなかったり、物足りなさを感じたりして、なかなか引き受けてもらえない場合も多いのです。しかし、東京五輪・パラリンピックのボランティアとなれば、これほど立派な大義名分はないでしょう。世界が注目する国を挙げての一大イベントです。1964年に思春期を迎えていたシニアにとって「東京オリンピック」は青春の象徴で、特別な思い入れがあるのです。

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