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「ポケモンGO」で歩数はどれだけ増えた? 米で検証

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2017/2/12

積極的に出歩くことによる、健康増進効果が期待されたが…。(c)Tadeas Skuhra -123rf
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 2016年7月に配信が開始された、スマートフォン用のゲームアプリ「ポケモンGO」の全世界でのダウンロード回数は、その後2カ月で、5億回を超えました。このゲームは運動量を増やして、健康に役立つと考えられていますが、それを示した研究はこれまでありませんでした。

 そこで、米ハーバード公衆衛生大学院のKatherine B Howe氏らが、米国の若年成人を対象に、ポケモンGOをインストールしてから6週間の歩数の変化を調べたところ、増加は大きくなく、徐々に減少して、6週後にはダウンロード前と同じレベルに戻っていました。

■米国の若いiPhoneユーザー約1200人を調査

 研究者たちは、クラウドソーシングサービスのAmazon Mechanical Turk(MTurk)を通じて、米国の若い成人に調査への参加を呼びかけました。基本的な条件は、米国在住で、iPhone 6シリーズのユーザーである18~35歳の人々で、あらかじめ端末にインストールされているHealthアプリの歩数データのスクリーンショット(スマートフォンの表示画面を写した画像)などを、ネットを通じて提供できる人としました。なお、ポケモンGOをインストールしていた人(プレーヤー)については、トレーナーレベルが5未満だった人々は除外しました。5以上でないとチームに所属してバトルすることができないからです。

 条件を満たしたプレーヤー560人と、非プレーヤー622人を分析対象にしました。プレーヤーの90%は、米国での配信開始から10日以内にこのゲームをダウンロードしており、ダウンロード時期の中央値は2016年7月8日でした。

 プレーヤー群については、ポケモンGOインストール前4週間とインストール後6週間の毎日の歩数の申告を、非プレーヤー群には、7月8日の前4週間と、7月8日以降の6週間の歩数の申告を求めました。

■1日の平均歩数、一時的には増加したが……

 プレーヤー群の、インストール前4週間の1日当たりの歩数の平均は4256歩でした。インストール後1週間には1日当たり5123歩に増加していましたが、2週目は4994歩、3週目は4693歩、4週目は4499歩、5週目は4108歩、6週目は3985歩と徐々に減少しました。

 非プレーヤー群では、7月8日までの4週間の1日当たりの平均歩数は4126歩で、7月8日以降も歩数に変化はありませんでした。

 分析対象となった人の性別や、年齢、人種、体重、都会暮らしかどうか、居住地域が歩きやすい環境になっているかどうか、といった要因が、ポケモンGOのプレーヤーの歩数に及ぼす影響も調べましたが、意味のある影響は見られませんでした。

 インストール後1週間に限定して、プレーヤーの歩数から歩行時間を推定したところ、インストール前に比べ1日当たり11分増加しただけでした。その週の歩行時間の合計は、WHO(世界保健機関)が推奨している「週150分以上」には届いていませんでした。

 著者らは、「このゲームは、精神面にも利益をもたらす可能性があるが、少なくとも運動量の増加に対する影響はわずかで、期間限定だった」と述べています。

 論文は、2016年12月13日付のBMJ誌電子版[注1]に掲載されています。

[注1]Howe KB, et al. Gotta catch’em all! Pokemon GO and physical activity among young adults: difference in differences study. BMJ 2016; 355 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i6270 (Published 13 December 2016)

大西淳子(おおにしじゅんこ)
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年1月27日付記事を再構成]

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