ベッドもヘアブラシも「スマート」に 最新IoT機器
2017年1月に米国・ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2017」。展示会自体も世界最大級の規模だが、開幕2日前から前々夜祭ともいえる、世界中の企業がユニークな新製品を展示する事前イベント「CES Unveiled」で盛り上がるのが通例だ。
IoT(モノのインターネット)の進化で年々ヒートアップするこのイベントに、2017年はどのような最新ガジェットが登場したのかを紹介する。
ついに「スマートベッド」登場
毎年、CES Unveiledには、予想を超える奇抜な製品が展示される。2017年、特に来場者の目を引いたのが「スマートベッド」だ。
「Sleep Number 360」は見た目は普通のダブルベッドだが、マット内にさまざまなセンサーを搭載する。就寝中の姿勢に応じてマットの空気圧を調整。ベッドに入る前には足もとを保温し、眠りにつきやすくする湯たんぽ代わりの機能も備える。片側だけを引き起こし、いびきを防止することもできるという。
限られた睡眠時間の質をいかに高めるかは、誰もが関心のあるテーマといえる。だが、寝ている最中だと、自分では何もできない。そこでIoTのようなテクノロジーの支援が期待されるというわけだ。将来的には、あらゆるベッドがスマート機能を搭載する日が来るのかもしれない。
ヘアブラシもスマート機能を搭載
これまでガジェットといえば、デジタル機器を好む男性向けの製品ばかりというイメージがあったのではないだろうか。だがIoT時代には、ガジェットという特別な枠ではなく、日常生活にスマート機能が当たり前のように組み込まれる世界が到来するはずだ。
そこで近年、急激に注目を浴びているのが、ヘルスケアや美容のように、老若男女にとって関心の高い領域。なかでもCES Unveiledで目立っていたのが、ノキア傘下となったフランス企業・Withingsが、同じくフランスのL'Oreal(ロレアル)と共同開発したスマートヘアブラシだ。
使い方は、普通のヘアブラシのように片手で持ち、髪の毛をとかすだけ。すると中央に内蔵したマイクがブラッシング時の音を収集し、髪のダメージを分析。加速度計とジャイロセンサーはブラシの動かし方を計測する。これらのデータをアプリに集約することで、髪の健康状態が分かる仕組み。2017年中盤に200ドル以下で発売予定だ。
猫の食べ過ぎを防ぐ機器も
IoTによって進化するガジェットは、人間だけのものではなくなりつつある。その一端が見えたのが、フランスのスタートアップ企業による猫用のスマート給餌器「Catspad」だ。
給餌器と給水器が一体になっており、ドライフードと水をセットしておけば定期的に猫に与えることが可能。スマホアプリから任意のタイミングで与えることもできる。
猫が実際に食べた量を測定しグラフ化できるスマート機能もある。食べ過ぎによる肥満を防ぎ、健康管理に役立つというわけだ。複数の猫がいる場合には、首輪にチップ内蔵のタグをつけることで、個々の猫を識別して記録できるという。
クラウドファンディングサイトのKickstarterで出資を募ったところ、目標の3万ユーロを突破。定価は299ユーロだが、原稿執筆時点では219ユーロの出資で入手できる。
ストレス社会を生きる多忙な現代人にとって、ペットに癒やしを求めようとしても世話に時間を割けない現実もある。IoT機器やスマート機能の進化は、人間とペットの共生にも役立つものになりそうだ。
(ライター 山口健太)
[日経トレンディネット 2017年1月25日付の記事を再構成]
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